
先日、「平成29年版労働経済の分析」(「労働経済白書」)が公表されました。
分析テーマは「イノベーションの促進とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた課題」で、少子高齢化により労働供給制約下にある日本で、経済成長を実現するためには労働生産性の向上とともに供給制約の解消を図ることが重要であるとの認識下で、イノベーションの進展への対応及びワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組などについて分析を行っています。
少子高齢化による労働力の不足、経済成長の低下の現状から、日本では、イノベーションの進展と女性等(高年齢者)の働き方の多様化の対応を「車の両輪」として双方を取り組む必要性を訴えています。一つは、産業の高付加価値化、人材の活用・能力開発の強化、所謂「労働生産性の向上」です。もう一方は、AI等による業務の効率化、育児・介護等の制約を抱える雇用者に対する働き方の選択可能な就労環境の実現、所謂「ワーク・ライフ・バランスの実現です・

日本における労働生産性の伸び悩みは、イノベーションの創出やその成果の活用の遅れが原因と考えられています。生産性の向上には、イノベーションの実現が重要で、長期的な国際比較において、日本は1980年代に高い水準にあった全要素生産性を、1990年代に大幅に低下しています。その後も、日本のイノベーション活動は主要国の中でも低水準で、OECDオスロマニュアルに従えば、組織改革やマーケティングのソフト面(非技術的イノベーション)では熱心な取り組みが見られますが、新商品開発、生産工程改善などの(技術的イノベーション)実現割合は主要国と比べて低いようです。
人材活用において、中小企業で取り組みが必要イノベーション活動は「人材育成」「従事者のモチベーション維持」「働きやすい環境の整備」などの組織マネジメントの実施です。採用等の外部からの人材の確保が困難な時代ですので、教育訓練実施に向けた課題の解消に取り組み、自社の社員へのスキル向上に向けた方向性を示されたら良いと思います。人事評価もモチベーション維持に重要ですし、近年、製造業などで成果給を割合が高くなっているようです。それと働きやすい環境の整備です。裁量労働制やフレックスタイム制の導入、「オープンイノベーション」活動の導入など自社のあった制度の検討が必要かと思われます。