労使コミュニケーションは経営資源

 良好な労使関係を築くことは、企業の発展や働く人の労働条件にとって大切です。

 過去における日本の労使関係において、労働組合がその役割を担い、団体交渉で労働条件を決め、決めた以上は労使ともにそれを守り、その間はお互いに争いはしないという産業平和が確立し、日本の経済成長に大きく寄与しました。

 企業が経営活動を行う上で、労使が一体感と共通の方向性を持つことは重要であり、信頼関係と良き緊張感のある労使コミュニケーションは、「経営資源」といえます。

 

 JILPT双書「労使関係のフロンティア労働組合の羅針盤」より、労使コミュニケーションが経営資源である認識の必要性を説く調査結果を紹介します。全国2440社(2006)回答の調査結果ですが、「企業は一般従業員の意向や要望を十分に把握して経営を行うべきだ」(A意見)、「経営は経営者が行うもので、経営については一般従業員に要望をあえて聞く必要がない」(B意見)、の質問について経営者の回答を得ています。この意見のどちらに近いかとの聞いたところ、A意見に近い(28.2%)どちらかというとA(44.4%)、どちらかというとB(20.9%)、B意見に近い(5.4%)となりました。

 1990年以降業績悪化により経営危機「あり」の質問では、B意見(近いを含む)の企業が、A意見(近いを含む)企業の比べ13.4ポイント高くなっています。経営危機にあって経営側が課題を抱え込む構図が浮かびます。

 

 A意見、B意見のコミュニケーション方針での4タイプについて、経営情報開示についての設問では、A意見(労使コミュニケーション肯定派)ほど役員報酬、交際費、利益を含めた経営情報開示率が高いようです。また、従業員管理上の困難度については、社員定着、職務技能や職務効率、チームワーク等の問題で、B意見(否定派)ほど、対応等に苦慮してる結果になっています(A対B:約40Pの差)。結論として、A意見肯定派のように社長が、一般従業員の意見要望を聞く姿勢があれば、従業員の管理上の困難も少なく、協力も得れるし、経営の危機も少ないとあれば労使コミュニケーションは「経営資源」といえます

 

 正社員の多い中堅・中小企業と比べ、パート社員、アルバイトの多い中小企業では違うといわれる経営者の方もいらっしゃると思います。労使コミュニケーションは事業規模を問わず必要であり、規模あったコミュニケーションのスタイルをあると思います。従業員が考える職場の問題について労使が一緒に話し合い、解決に向けた対策を講じるなどやれることはたくさんあります。5S、3Sの活動から業務改善へ・・・TQC活動から、利益向上、職場環境の向上へ・・想像以上に従業員の皆さんの反応は良いです。コンサルタント、研修講師をしてみて実感しています。