
日本商工会議所では、今年3月から約一か月間をかけ、「人手不足等への対応に関する調査」を行い、全国47都道府県2,776社から回答を得て、集計結果を7月3日付では発表しました。
それによりますと、全体では6割以上の企業が「不足している」と回答しており、業種別では「飲食・宿泊業」83.8%、「運輸業」74.1%、「建設業」67.7%と昨年より深刻化しているようです。
「介護・看護」は、70.0%と相変わらず高い結果となっていますが、昨年度の調査より人手不足感が若干和らいだ結果となっています。
従業員規模別では、101人以上の規模での「不足している」と約7割が回答し、規模5人以下での46.5%と比べても差が大きくでており、従業員規模が大きくなるほどその傾向が強いようです。
不足していると回答した企業に「求める人材」について尋ねたところ、「即戦力となる中堅層・専門家」62.0%、「一定の経験を有した若手社員」30.3%と、40%前後となる新卒者(大卒・高卒)よりも社内教育を要しない人材を求める傾向が強まっています。

人員不足が企業経営に与える影響について(不足と回答した企業)尋ねると、受注を逃したり営業時間に短縮等の影響が出ているとした企業は24.0%、今後、懸念されるとの回答が44.7%と深刻な状況にあるようです。
3年程度将来において人員の充足感の見通しについては、不足している企業で「不足感が増す」39.8%、過不足はないとした企業でも34.5%が「不足感が増す」と近い将来において、人手不足が企業経営の不安要素である懸念を持たれているようです。
現在、政府が推進している働き方改革に伴う「長時間労働是正の向けた取り組みについて」は、「影響はない(現行のままで何も対応しなくてもよい)」と回答した割合が49.5%と最も高かったのですが、事業規模51人以上企業では、「影響がある」とする企業は規模が多きほど高いようです。国の支援として望むこととして「人手不足の解消」52.3%です。
「同一労働同一賃金ガイドライン案」についての理解は、ほとんどの企業で理解できない、対応が不明確との回答が多かったようです。
今後の労働力減少の傾向では、企業の人事戦略見直しは必須で国の政策を待たずに一定の方向性を検討されたほうが賢明ではないかと思ってしまいます。