継続審議となった改正労基法案について

 第193回通常国会は、平成29年6月18日に終了しました。労働関係法では、失業給付の拡充や2歳までの育児休業再延長等の雇用保険等一部を改正する法律が成立しました。一方、平成29年4月3日付で国会に提出された、高度プロフェッショナル制度の創設、年次有給休暇の強制取得や中小企業の時間外割増率の猶予措置の廃止などを含む、労働基準法の一部改正に関する法律案は成立せず、継続審議となりました。

 

 中小企業の経営にも影響するであろう改正点も多く含んでおり、秋の臨時国家において審議されると思われます。改正労基法案に関しての概要等の要点の一部を説明したいと思います。この改正案の目的は、長時間労働の抑制、労働環境の整備と多様で柔軟な「働き方改革」の実現です。政府が最も重点をおいているのが「働き方改革」の先にある企業の「生産性向上」です。先進国中、最下位の汚名返上とばかりに力をいれており、政府助成金には生産性向上を要件とするものが多々あります。

 

 

 現在、中小企業においては月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について猶予措置が実施されていますが、改正後は一定の猶予期間をもって廃止されそうです。また、10日以上の年次有給休暇を付与された労働者に対して5日について時季指定をするなど、企業として確実な実施が義務付けられます。年度初めに社員の取得日の要望を聞くなどして、業務に支障がないようにしたいものです。

 

 出退社等の勤務体系を労働者の裁量に任せるフレックスタイム制の「精算期間」の上限が1か月から3か月に延長されます。また、今回の大きな改正案、職務範囲が明確かつ一定の年収がある労働者に対しての、労働時間・休日・深夜等の割増賃金の規定を除外する特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設があります。すべての改正案が成立するのかは、わかりませんが、今後の労働行政の方向性を踏まえて準備を進める必要がありそうです。