
パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどの職場の嫌がらせに関する相談が過去最多に――東京都が取りまとめた「平成28年度における労働相談およびあっせん状況」で明らかになりました。東京都内6か所の労働者相談情報センターに寄せられた相談・あっせん状況を、この度、発表しました。
それによりますと、労働相談件数は、53019件で、前年比2.0%増で11年連続で5万件を超えています。
相談内容は7年連続で「退職」が最も多く、以下、「職場の嫌がらせ」、「労働契約」と続きますが、特に「職場の嫌がらせ」は、前年比3.7%増、9623件3年連続の2位になっています。事例としては、飲食店のアルバイト社員が同僚からの暴言を継続的に受け、ある日抗議したら体を引っ張られるなどの暴行を受けました。その後、この事実を知ったマネジャーから身を守るためとの理由で「退職勧奨」を受けたそうです。

このケースの場合、同僚からの「暴言」による継続的な「精神的な攻撃」に耐えられず、抗議したことで「暴行」を受けるという典型的はハラスメント事例ですが、その後のマネジャーの対応にも問題があります。双方から事実関係を確認して、職場でのパワハラがもたらす影響等を加害社員に理解させることが先です。どのような理由があるにせよ、職場でのパワハラは他の社員へのモチベーション低下を招くなど良いことは何一つありません。
ハラスメント(嫌がらせ)は、その事実が問題とならない限り、企業としても手の打ちようがないことも事実ですが、行為者、被行為者の「ハラスメント」の認識が薄いケースも多々あります。企業の対策として、一般的ですが、パワハラに関するポスター、マニュアルの作成、勉強会の実施、相談窓口の設置、規程の整備などがあるでしょうか。
根本的な解決に向かうのであれば、パワハラの生じやすい職場として「上司と部下のコミュニケーションが少ない」「失敗の許されない職場環境」「長時間労働」などが上位理由とする調査報告が出ています。このような職場環境の改善に向けた対策がハラスメント防止に最も必要ではないでしょうか?