AI等の普及による雇用・労働への影響について

 将来、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、人工知能やロボットへの代替可能という試算結果が発表されています。そのような中で、企業はIoT、ビッグデーター・AI等の普及・進展をどのように捉え、雇用や労働への影響をどのように考えているのかを調査した報告書が、この度厚生労働省において発表されました。今後の雇用政策実施へ向けた調査であり、「働き方改革」への分析、検討の資料としても有用な報告だと思われます。

 

 AI等への企業の関心の高まりは、ここにきて急速に高まっており調査の過半数の企業が将来的に活用する意欲を持たれているようです。企業経営や雇用量のへの影響については、人手不足と相殺される部分があるため、人事・総務等の既存業務の効率性・生産性を高めるなどの活用により全体的な雇用量を減らすほうに働くと考えているようです。しかし、既存業務の質的向上等や新規事業の創出などの分野の雇用が拡大するため、今働いている人が失業する意味ではないとしています。

 

 個々の従業員への影響については、AI等の普及は、担当業務の全部を代替するものではなく業務遂行の支援をする、あるいは業務の一部を代替し人手不足の緩和、生産性向上、新たな業務・役割を担う余地を生むものと捉えられているようです。社内においては、総務、人事、調達・仕入、生産の各部門で従業員の担当業務の内容変更や役割が大きく変わるであろうと考える企業が多いようです。

 

 AI等の普及・進展による雇用・労働の影響は、企業内での「新規業務への移動の可能性により変わる」として、能力開発機会の提供を含めた従業員の再教育が必要と考える企業が多いようです。しかし、必要性を感じながら対策を講じえていない企業が42.9%に及びます。企業も個人ももっと危機感を持つべきと有識者検討会では締めています。私たち社会保険労務士の仕事でも「電子申請」など、AI等の普及・進展が社会保険・労働保険の手続き業務の効率化を可能としています。その分、「人手不足対策」「収益向上の制度構築」などのコンサルタント分野の新たな仕事を生み出しています。どの業種でもAI等を活用した業務・組織変革が可能だと思われます。