
厚生労働省では、平成24年度以来となる「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」を実施し、このほど、平成28年度報告書を取りまとめましたので公表しました。この調査は、平成24年3月に厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」から「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」が公表されて4年あまりが経過したことを踏まえ、この間におけるパワーハラスメントの発生状況や企業の取組状況などを把握し、今後の施策に反映させることを目的として実施しています。
「パワーハラスメントの相談があった職場に当てはまる特徴として、該当するののがあればすべて教えてください」という設問に対する回答について結果報告をしています。「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」(45.8%)「失敗が許されない/失敗への許容度が低い職場」(22.0%)「残業が多い/休みが取り難い職場」(21.0%)「 正社員や正社員以外(パート、派遣社員など)など様々な立場の が一緒に働いている職場」(19.5%)となっています。社内のパワハラ防止対策を推進する上でも貴重なデーターかと思います。

予想通りですが、「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」が圧倒的1位となっています。最近の「上司」は、実務とマネジメントに追われ、なかなか部下とのコミュニケーションに時間を割くことができないということが多いのではないかと思います。また労働時間短縮の動きも、良い意味での無駄な時間を奪っていきますので、この傾向は続くことになるでしょう。仕事の進め方を見直したり、目標設定と経過を部下と共有したりと工夫が必要になります。
人材不足の中、人材の定着は非常に重要な課題になっています。しかし、現実的に社員が退職する最大の理由は上司を中心とした社内の人間関係であると言われています。その意味からもハラスメントがない、風通しの良い職場作りが求められています。小規模の企業様からの相談では、働く人の得意分野での職務分担などで、従業員間のコミュニケーションが図られ職場の風通しが良くなった事例があります。風通しの良い職場では、企業の生産性が向上するというプロとしての確信があります。