介護職員の人手不足問題について

 現在でも介護職員の人手不足は深刻ですが、今後は要介護者がさらに増加する一方、労働力人口の減少や介護職員の離職率の高さ・新規採用のむつかしさなど、多くの介護事業所で持続的な介護サービスの提供が心配な状況にあります。福島県では、全業種の有効求人倍率1.35倍に対して介護関係だけでは3.33倍(平成29年1月)と、ハローワークに3名の募集を出してもやっと1名が確保できる状況です。ちなみの3年前の平成26年1月において全業種有効求人倍率1.20倍に対して介護関係2.24倍と3年前、他の業種と比べても、急激に人が集まらない仕事となっています。

 

 人手不足の原因として、身体的にも精神的にもきつい仕事であるにも関わらず、介護職員が低賃金で社会的評価が低いことが大きいと指摘されます。平成30年4月、約1年後には3年に一度の介護保険法の改正があり、また今年4月からは地域ぐるみで在宅の高齢者を支えるしくみ(地域包括ケア)がスタートします。ところがその訪問介護を支える訪問介護員(ヘルパー)の人手不足が深刻です。一人で各家庭を訪問して介護者とその家族と向き合わなければならないこと、とくにヘルパーとして「できること、できないこと」を伝える、介護制度上の中立性、公平性を守る精神的負担が他の介護職との違いといわれます。

 

 

 介護職員の職位、職責又は職務内などに応じた任用要件や賃金体系、人材育成の要件などのキャリアパスを定めた法人などに介護職員処遇改善加算を行ってきました。介護職員の賃金改善の原資として多くの事業所で計画の届け出を行っています。厚生労働省の目指した介護人材確保のためのキャリアパスが、実際に機能しているかといえば、私は甚だ疑問です。やる気もあり能力のある介護職員の賃上げに注力することが、効率的な人材配置や労務コストの適正な分配を可能とします。それが介護職員の社会的地位の向上につながります。

 

 介護には、大き過ぎる分類ですが「施設系」と「訪問系」があります。キャリアパスを構築する上で、両者には決定的な違いがあります。「施設系」では、チームケアとしての職務分掌を意識した制度設計が必要です。

「訪問系」では、個人の職業能力に力点を置いて制度設計をする必要があります。ヘルパーの発揮可能な職業能力を適正に評価し、それを賃金などの処遇に反映する仕組みを喫緊に作らなければ、介護ヘルパーの人材確保はますます困難になります。個々の介護業務の求められる知識・スキルに加え、対人コミュニケーション能力、緊急対応などの問題解決能力など介護ヘルパーは常に高度な介護サービスの能力が求められます。