
労働政策研究・研修機構では、この度、人手不足が顕在化している実態を把握し、効果的な対策を探るとともに、人口減少下における労働力確保の在り方等を展望するために企業とそこで働く労働者を対象にアンケート調査を実施しました。30人以上規模の企業1.2万社(産業・規模別に層化無作為抽出)を対象に調査票を配付し、2,406社より有効票を回収。また、同企業を通じて正社員6万人分の調査票配付を依頼し、7,777人より有効票を(直接)回収しました。人手不足を生じている企業(52.1%)に、企業経営に及ぼす影響を尋ねると、何らかの影響があると答える割合が3分の2に及びました。
具体的には、「需要の増加に対応できない」、「技術・ノウハウの着実な伝承が困難になっている」「事業経営上に支障を来している(業務の遅延、ミス、クレーム多発等)」、「募集賃金の上昇や既存人材の処遇改善、時間外労働の増大等で人件費が増加している」など多く事実が浮かび上がりました。
また、人手不足が職場に及ぼす影響として(複数回答)、「時間外労働の増加、休暇取得の減少」(69.8%)、「従業員間の人間関係や職場の雰囲気の悪化」(28.7%)、その他、能力開発機会に減少、労働意欲の低下や離職の増加など、それぞれに約3割弱の回答があり、約9割の企業が影
響ありと答えています。

人手不足を生じている企業に、緩和対策の取組状況を尋ねると61.9%の企業が取り組んでいると回答しています。具体的には、中途採用の強化などの外部人材調達や正社員化や定年延長などの内部人材活用、業務の効率化などの業務見直しを挙げています。人材不足の緩和対策に取り組んでいる企業にこれまでの効果を尋ねると、「大いに効果があった」(0.9%)、「一定の効果があった」(39.3%)、「いまだ実感できる効果がない(よく分からない含む)」(59.3%)となりました。
私なりに、具体的な対策の効果を検証してみると、外部調達においては「採用チャンネルの多様化・応募要件の緩和などの中途採用の強化」高い効果があるようです。企業内部の対策としては、正社員化などの処遇改善についても一定の効果が見られるもの、無駄な業務の削減・仕事の分担・進め方の見直し等、業務の効率化を進めることに高い効果があるようです。いずれしても、労働時間から職務基準の働き方改革は必要かと思います。
社員研修を通じて感じることですが、業務改善・企業開発の仕組みが分かれば、働いている人の業務改善、自己成長の意欲は素晴らしいものがあります。