社会保障制度改革と生命保険の役割(2)

 介護保険制度の不安が増してくると都市伝説のように出てくるのが「介護の現物給付保険」の話です。昭和30年代後半には、某生命保険会社で一時払年金保険の特約で年金ホーム入居の現物給付を行う保険がありました。また、2010年4月施行の保険法改正の審議過程で現物給付保険の可能性は審議されたようですが、決定は見送られた経緯があります。しかし、今から30年ほど前に、当時の大蔵省の要請で生命保険会社、損害保険会社の複数社で特別部署を創設して、世界で初めて介護現物給付の保険を作ろうとしていた事実を、私は某損害保険会社の中止を余儀なくされたプロジェクト・リーダーである人物から聞いています。

 

  当時、私は某損害保険会社の代理店開業を目指す研修社員でしたが、本社代理店部長から「今後の仕事に役立つと思うので、中止になったプロジェクトの責任者の話を聞いてみないか。」との電話をもらい、福島に来てくれたのがそのプロジェクト・リーダーでした。セミナー形式で仲間数人と彼の話を聞いたのですが、30年後の日本人の高齢化問題と日本の人口減少に伴う労働力減少の影響と及ぼすであろう社会保障の諸問題など熱く説明してもらいました。日本の高齢社会の問題に真摯に取り組んできたことが伝わりましたが、医療機関等を所管する厚生省の協力を得られなかったことが断念せざるを得ない要因であることの話になった時の、彼の成し遂げられなかった想いの悔し涙が今でも忘れられません。当時、私は某生命保険会社の千葉県に建設予定のツインタワー高層老人施設の青写真も保険会社の先見の明に驚愕しながら見た記憶があります。今、30年後の現代に彼らの危惧した高齢者福祉の現実があります。