労働生産性について

 現在、生産性の向上が企業における課題となっています。「労働生産性」には諸論ありますが、一般的には労働者1人あたりあるいは労働者1人1時間あたりの生産量や付加価値でみるのが多いようです。昭和30年に日本の生産性運動の推進を目的として日本生産性本部が設立され、現在は研修・セミナー、コンサルティング、調査研究などの事業を行っています。運動の基本的な考えとして①雇用の維持拡大、②労使の協力と協議、③成果の公正な分配、いわゆる「生産性運動3原則」を設定しました。生産性運動には労使の協力が不可欠との強い気持ちによるものだそうです。

 

 地球環境に保全の高まりとエコ、少子高齢化、グローバル化などの時代背景の大きな変化の中、日本の経済成長を維持し、企業の経営安定・成長を考えると生産性の向上が不可欠です。1950年代、西欧諸国に拡がった生産性運動の目的は「国民の生活水準の向上」にあり、日本においても同様かつ加えて戦後のわが国経済の自立にありました。「生産性とは、何よりも精神の状態であり、現存するものの進歩、或いは不断の改善を目指す精神状態である」(ヨーロッパ生産性本部1959.3)とされ、うる覚えですが、私は日本生産性本部が発表した「生産性向上とは、昨日より今日、今日より明日、人間が日々進歩しようとする精神状態にある」との言葉に感銘を受けた記憶があります。

 

 

 

  日本の経済高度成長期における人事制度の大きな役割を担ったのが「職能資格制度」の考え方であり、企業の生産性の向上に大きな影響を与えました。従業員の技能・能力の幅、深さによって賃金や処遇が決定されるために職業能力向上の積極な取組みが図られ、ジョブローテーションを行いやすいメリットがありました。デメリットとしては、能力主義の評価が容易ではないために年功的運用になりがちになるので、どのような能力・技能を評価すれば良いのかを検討する必要がありますが、制度構築の課題として、能力の形成と評価の維持としての機能は必要としても、人事制度としては職務主義への転換、職責給への転換が必要ではないかと思います。

 

 将来、2025年、日本の労働人口が800~1000万人不足ともいわれる現在、人口構造の変化は「すでに起こった未来」(ドラッカー)です。企業においては、組織内キャリアアップの道筋、人事制度の検討を急ぐ必要があります。来年度の新卒者の採用は大手企業を中心に増加傾向にあり、この傾向は今後も続くでしょう。業種、企業規模によってはなお一層の人材の確保が困難となる可能性があります。企業への帰属意識と生産性の向上の意識できる社員を確保するためにも、人事制度の変革が必要な時代になっていると思います。