
年明けから福祉事業向けの人事制度セミナーを開催することとし準備を進めています。セミナーの内容は、キャリアパス制度の構築についてですが、給与決定を仕事の価値で決め転職を繰り返す米国のスタイルを、法人の組織内で行い職員の長期雇用と能力開発を制度として確立する方法を提案しようと思っています。福祉の組織では、近年慢性的な人手不足となっています。特に介護では、緊急な対策の必要があります。
国の進める施策もあり、多くの法人ではキャリアパスの構築を行っています。日本では、太平洋戦争後の人手不足を補う人事制度として昭和50年代位まで「職能資格制度」という等級人事制度が主流でしたが、生産人口構造の変化とともに姿を消していきました。キャリアパス制度は、その制度に近いイメージでリメークすれば使えますが、給与体系を含めた人事制度の大改革ですので一筋縄ではいきません。処遇改善加算や職場定着支援助成金の対象となる「介護キャリア段位制度」がありますが、人材の育成には有効だと思います。しかし人事制度に使うには無理があります。

キャリアパス制度は、給与と職位変更を仕事の価値で決める制度ですので、各職位層の「仕事の価値」を決める「ものさし」が必要になります。これは、組織ごとに違いますので汎用のの制度は存在せず、組織ごとのオーダーメイドで作る以外に方法がありません。給与体型は職務・能力型の変更が必要となりますが、福祉法人では属人給与体系(号棒給等)が主流となっていますので、現在の職員の離職を避け、またコンセンサスを得ながら進めるには最低2年を要します。これらの話を約2時間に納める資料作成中です。
今年度、社会福祉の4法人において「職場環境向上研修」事業、リーダー職員の方々へマネジメントの研修を行ってきました。聞きなれない単語の連発で受講された方々は戸惑われたと思いますが、グループワーク、演習を通じて彼らのマネジメント能力の高さには驚かされました。人事制度の改定作業には、職員さんと一緒に作るのが理想です。プロジェクトチームの立ち上げから改定作業のプロセスでコンセンサスを得ながら進めることもできますし、その力を職員さんたちは持っています。介護の事業ではすぐに進めなければ組織崩壊の危機があると感じますが、職員さんたちの使命感、責任感を持ってすれば何とかなりそうです。