なぜOJTで人が育たないのか?

 最近、企業や組織でのOJT(実際の仕事を通じた能力開発)を実施しているが形骸化しており、人が育たない相談を受けます。現在、実施している社会福祉法人向けの管理職研修も職員のキャリアアップ支援を目的として行われていますが、うまく機能していないケースが多いようで、職場での苦悩が伝わってきます。繰り返される問題ですが、私の時代でも「今の若者は・・・」と言われてきました。いつの時代も繰り返される不毛な議論をするよりも、どうすれば組織で人が育つのかを考え、工夫することが大事なことだと思います。

 

 OJTのメリットは、実際の仕事を仕事中に上司が部下に対して、職務遂行に必要な知識、技能などを直接教える訳ですので、職業教育としては実践的かつ効率的です。業務を標準化することで、能力開発のみならず品質向上の活動にも寄与します。このように組織にとって大きなメリットを持つ部下の職業教育の役割は、直属の上司である管理職の双肩にかかってきます。多くの企業では、管理職自身も業務を持ち、かつ組織の管理を行うプレイングマネジャーが一般的ですので、加えて部下指導の重責がメンタル不全、管理職の離職へとつながっていくケースも多々あるようです。

 

 

 産業能率大学が2013年の発表した企業、組織における人材育成の現状によると、人材育成の方法として87.4%の企業が「OJT中心」と回答しています。また、OJT機能の度合いとなると。OJTが「機能している」と回答した企業は12.6%にとどまっています。計画的OJTがうまくいかない主な理由として、指導する側の時間不足、指導者の能力不足、人材育成の重要性が社内に浸透していないなどが挙げられています。4番目として「OJTを行う行うための仕組みやツールが整備されていない」回答が出ています。

 

 仕事を進める上で、業務をマニュアル化したりルーティーン化してサービスの質を均一化、能力の質の均質化、効率化はどの業種でも行われていることでメリットは十分あります。しかし、このままOJTに使ってしまうとマニュアルだけの仕事を覚えて対応力が不足したり、仕事の改善方法を考えない、緊急時の対応ができないなどのデメリットが生じてしまいます。せっかくの能力開発ですので、教育の目標の道筋を示し、必要な知識力、実務力を具体的な習得レベル・習熟レベルを示して納得させるプログラム(仕組み)が必要になります。「人」は企業の大事な経営資源です。