キャリアの方向性

 先日、元労働政策審議会会長の諏訪康雄先生の雇用政策に関する論文・寄稿を目にしました。論文で述べられていることは、個人も組織も活気づく雇用政策を望むが、その方向性が失われて久しく、バブル崩壊後の「失われた四半世紀」、議論を重ね、さまざまな新規政策措置が導入されたが、いまの行方も混沌の状態にあるとしています。誰しも事業活動と職業生活の明るい見通しが立ち、安心して各人の仕事に励める基盤を願っています。

 

 過去において、日本的経営と雇用のメリットを基軸として政策を論じていた時代には、組織あっての個人という視点に傾きがちで、どうしても組織主眼になっていました。それが従来の雇用慣行に疑問符が投げかけられ、そのデメリットが指摘された時期には、市場と個人の再認識が盛んになり「個人主義」という主張もされました。組織は有する人的資源について最大限活用しようとするとき、個人に割り振られた業務が、当人の想い描くキャリアに適合すれば、マッチングは成功したといえるとしています。

 


 仕事か組織かというジレンマは、両者が不等号で結ばれた関係から生まれます。仕事も組織もという両立の関係を目指すには、「仕事=組織」または「仕事≒組織」という形で結ばれることを志向することです。そのためには、組織の側が従来の方式を蔓延と続けるのを改め、仕事、専門性、多様性をより尊重することにより、これらを組織最適に統合し、事業を活性化する方策を考える必要があると述べています。

 

 具体的な方策として、幾つかの考え方を示されていますが、その中で特筆すべきは労働力平均年齢の推移データです。少子高齢時代の象徴として日本の職場で働く人の半数以上が45歳以上の中高年になっていることです。今後もこの傾向は続きことは明らかですので、この世代には時代の変化に対応し、自ら考えて工夫する知識労働者となってもらう必要があります。知識労働では専門性が問われ、いかに付加価値の高い仕事を効率的にこなせるかが重要になってきます。現在、私が行っている管理職研修でもこの視座をもって望んでいます。講師・受講生と悩みながらも1つ上のキャリアを目指す研修としたいと思っています。