
一昨日、白河地区での福祉職員・人事評価者研修を終えました。私は研修の場でも、コンサルタントの場でも、日本型キャリアパス制度(等級人事制度)ほど人手不足の時代に、人材の確保と育成を可能とする制度はないと思っています。職能資格人事制度の生みの親である楠田先生が講演で、アジア的な人間を大事にする制度と言われたことを思い出します。
研修では、人事考課者育成訓練を主眼においていますが、特に社内教育担当者の職務行動評価の知識、評価スキル、部下指導面談の技術をビデオ・演習を交えて一緒に考えるワークを行っています。日本型キャリアパスは、企業内の人材育成・定着を主眼に造られた制度ですので、指導体制はキャリア別に複合型とすることで職員がキャリアデザインを描きやすいように設計します。また、人を育てるためには、指導者の適切な評価・指導が最も大事です。

研修を行っていると殆ど全員といっていいほど職務行動を見ずに人物評価をしてしまいます。部下を自分の感情・好き嫌いで評価してしまうと、指導どころか信頼関係は崩れ、最悪、離職へとつながります。人事考課制度と人事考課者訓練はセットで考えたほうが良いでしょう。1次考課者の技術が未熟であれば、2次考課での評定誤差の調整が必要ですし、また考課者間のレベル調整は標準偏差の計算方式が有効です。
社会福祉法人では、「業務マニュアル」を持たれているところが多いようです。通常、業務の標準化、カンファランスなどのために使っているようですが、発想の転換で、加工に少し時間をかければ日本型キャリアパス制度の構築に必要な「職能マニュアル」を造ることができます。管理職の仕事も楽になりますし、何よりも広く人材の採用ができ、教育・育成・定着が可能になると思います。常勤換算に頭を悩ませることなく、介護職員処遇改善加算の仕組みに乗っかって、企業の人事制度を取り入れ、人手不足を解消する方法の一つではないかと思っています。