
過去のブログで、平成26年11月に発表された日本生産性本部・メンタル・ヘルス研究所の第7回「『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査」を紹介しました。「心の病」が最も多い年齢層は、前回調査(2012年)に続き30代、40代となっており、また、「心の病」が増加傾向にある組織の58.9%で「職場のコミュニケーションが減った」と回答しています。個人で仕事する機会が増えた組織での「心の病」の増加傾向と、「心の病」との因果関係をうかがわせる結果となっていました。
平成19年度国民生活白書(内閣府)で、第3章、職場のつながりの中で職場内のコミュニケーションを取り上げています。今から8年前においても、調査対象者の4分の1は、社内コミュニケーションがとれていないと回答しています。部署を超えたコミュニケーションでは、経営層、他の部署の社員間においては6割強の人が不足であると回答しており、また、同じ部署の上司と部下においても4割がコミュニケーション不足を答える組織の在り方としては異常な調査結果だったようです。

企業組織において、特に知識労働の発達した企業では労働者が自発的に自分自身をマネジメントするために、上司と部下という階層が曖昧になる傾向があります。しかし、どのような組織であっても、組織にとってチームワークは欠かせませんし、組織に目標達成への強い意欲を生み出すのが、メンバー相互の目標をベースにしたコミュニケーション力であり、それこそが目標へ向けたメンバーにとって重要な位置づけとなります。
目標をベースとしたコミュニケーションは、単なる情報とは異なり、知覚であり、期待であり、要求です。メンバー相互が、目標を理解し、自分が何をすべきかを知り、それぞれが目標を公開して、その情報を共有しうることで、仕事の食い違いを知り、修正することも可能になります。また、他のメンバーから必要な資源を受け取り、自分のできることを示すことでより高度な仕事をこなすことができ、新しい仕事を生み出す原動力になります。