予期せぬ成功

 イノベーションの7つの機会の中で、「予期せぬ成功」ほどリスクが小さく苦労が少ないイノベーションの種はありません。ただ困ったことに「予期せぬ成功」はほとんど無視され、その存在さえ否定されます。例えば新築住宅の販売、施工を長く仕事としてきた企業が、これからの時代、高齢化による放置住宅のリフォーム、販売を手掛けることが主力になるかもしれないとは思わないでしょうね。そのような案件が立て続けに入って仕事をしても、たまたま例外的な仕事で、今の新築住宅販売が正常であり、永久に続くと考えるでしょう。

 

 マネジメントにおいて「予期せぬ成功」を認めることは容易ではなく、勇気がいることだと「イノベーションと企業家精神」では、言っています。また、現実を直視する姿勢と自分の認識の間違いを率直に認めるだけの謙虚さが必要であるとも言っています。自分が今までやってきたことに反することは受け入れたくなく、異常であると思うのが人の常であり、私もその一人だと思います。多くの人たちの夢を新築住宅に注いできたトップマネジメントにとっては、その時代の変化を感じ、中古住宅のリフォームが「予期せぬ成功」と受け入れることは容易にできないと思います。

 

 

 

   企業のトップマネジメントの地位にある人は、大企業、中小企業、官民を問わずその特定の部門、分野の優位的能力を持って現在があります。過去の経験知や自己の法則を持っても「予期せぬ成功」には、腹立たしい思いを強く感じるかもしれません。現在の日本の現状では、多くの国民が将来の生活に対して不安を感じていると思います。新築住宅の購入で大きな借金を抱えることに不安を感じ、中古住宅の購入、リフォームに家族の将来の生活の夢を描いているのかもしれません。


 「予期せぬ成功」がもたらすイノベーションの機会を利用するのには分析が必要です。予期せぬ成功は兆候であり、新築住宅を建てるかのように真摯に顧客の要望を聞き、顧客の満足に応えるリフォームを完成させたからこそその後の立て続けの契約があったのかもしれません。予期せぬ成功は、単にマネジメントの視野、知識、理解の欠如を示していることに過ぎないのかもしれません。真実のニーズ、シーズを理解していないことが、たまたまの「予期せぬ成功」を生み出すのかもしれませんね。