すでに起こった未来

 イノベーションの機会には、企業、産業の内部に現れるものと経済、社会、知識など産業、市場などの外部要因の変化を機会ととらえる考え方があります。特に人口の増減、年齢構成、雇用、教育水準など人口構造の変化ほど明白なものはありません。ドラッカーは「すでに起こった未来」とも言っています。


 20年後の労働力はすでに生まれている乳幼児であり、20年後に退職する労働力もすでに決定しています。人口構造の変化は、誰によって、どれだけ購入されるかに対して大きな影響力を与えますが、それらの変化がもたらすものは容易に予測可能であり、しかもリードタイムまで明らかです。その機会に向けて何らかのアクションを行わないという決定は組織の崩壊を意味します。




 「未来を築くには、今決定を行わなければならない。リスクを負い、行動をしなければならない。資源を割り当てなければならない。特に人材に割り当てなければならない。仕事をしなければならない」(マネジメント)

 今日のトレンドを単純に引き延ばしたり、今日の製品、サービス、市場技術が将来のトレンドと仮定したりせずに捨てる事業を決定していくのも重要であり、大事なイノベーションです。


 例えば、人口構造の変化で、国内の自動車保有台数は確実に変化してきます。もっとも消費を支えてきたいわゆる団塊の世代すでに70歳代を迎え、生活の変化が見えており自動車を手放す人達が増えています。影響を受ける産業としては、自動車関連のメーカー、販売店、修理工場、ガソリンスタンドや保険業界など多種多様に及びます。自動車保有の減少に向けての対策は今すぐに講じる必要があります。