
企業に成果をあげさせるのがマネジメントの役割ですが、特定の社会的目的を持つ企業(組織)おいて、アウトプットである成果の具体的目標は何かという疑問がでてきます。この疑問にドラッカーは「現代の経営」の中で「顧客の創造」という有名な言葉を示しました。
社会的機関である企業(組織)は、社会やコミュニティー、顧客のニーズを満足させるために存在し、満足させ続けなければならない宿命を負っています。個々の企業(組織)は、固有の社会目的(使命)に従って組織に成果をあげさせるのがマネジメントであり、また企業に顧客を創造させる役割もマネジメントです。いわゆる常連客であっても、自分のニーズを満足させることが出来なければ別の商品(サービス)を求めます。リピーターを増やす努力も顧客の創造であり、新規顧客は見つけることはもっと努力がいります。

顧客創造の機能として、ドラッカーはマーケティングとイノベーションの二つしかないとしています。マーケティングとは顧客というものを知り、理解し、製品やサービスがニーズに叶いひとりでに売れてしまうことと定義しています。顧客のニーズを探って顧客を満足させられる価値(商品・サービス等)を提供することに他なりません。
また、顧客の顕在化するニーズだけを提供しているだけでは限界があります。そのためには今まで知られていなかった価値を生み出し顧客を造りだしていく活動、それがイノベーションです。人的、物的あるいは社会的資源に対して、新しい、より大きな富を生む能力を与える仕事と定義しています。イノベーションの7つの機会についてはまたのお話となりますが、近年のマーケティングで言われている「顧客志向」を既に1950年代後半からドラッカーは指摘しています。凄いことだと思います。