
高度成長期における日本的な仕事の進め方については、12日のブログでも書きましたとおり、組織のあらゆる階層において組織全体の観点から考え、それぞれの階層において意思決定の責任を分担することが期待されていました。今回は、では、どのようにすれば労働者が仕事への責任をもつマネジメントが可能なのか考えてみたいと思います。
第一の条件として、労働者の 仕事そのものに焦点を当て、仕事に「やりがい」を持たせなければまったく意味がありません。労働者が組織において成果をあげ、成長の実感、自己実現をし、組織における自己の価値を見出すことが仕事の「やりがい」ではないでしょうか。(26/7/31当ブログ参照ください)。仕事そのものを分析し、プロセス化し、管理手段を組み込み、ツールを設計して仕事自体をより生産的なものとせずに、責任のみを持たせることは不可能なことです。

第二の条件は、成果についての情報をフィードバックし、労働者を仕事の自己管理が可能な状況におくことです。労働者はフィードバックされた情報によって自らの行動を修正していくことが科学的にも明らかにされています。仕事に対して知らないこと、知っていること、得意とすること、労働者自身が自らのしごとぶりを評価して方向づけることができます。
仕事に責任をもたせる第三の条件は、継続学習です。労働者は仕事のスキルについてトレーニングすることは必要ですが、ここでいう継続学習は別の意味で、学んだことを生かして、自分の仕事ぶり、仲間の仕事ぶり、仕事の方向性を向上させようとする意志のことです。労働者に責任のある仕事をしてもらうには、造られた仕組みを押し付けるのではなく、これらのプロセス化、管理手段等の仕組みつくりには、最初から労働者が自ら参加しなければ意味がありません。インダストリアル・エンジニアになる必要はありませんが、作り上げる過程における基本となるものを理解することが最も重要なのです。