
日本能率協会は変化の厳しい経営環境の先頭にたつ理想の経営者に求められる資質について、企業の取締役、執行役員を対象とした経営者のコンピテンシー(能力や資質、適性)に関するアンケート調査の結果を発表しました。28項目の選択肢の中から、回答者1人につき2つ選択してもらい、「これからの経営者」に求められる資質のトップは「イノベーションの気概」でした。
「今までの経営者」に求められていた資質には、1位「統率力」、2位「本質を見抜く力」、3位「強烈な意志、4位「人心掌握力」、5位「胆力(覚悟・腹の括り方)」が挙げられました。
「これからの経営者」に求められる資質については、1位「イノベーションの気概」、2位「変化への柔軟性」、3位「本質を見抜く力」、4位「ビジョンを掲げる力」、5位「過去からの脱却」という結果になり、「本質を見抜く力」以外はすべて入れ変わるという明確な違いが現れました。

「イノベーション」といえば、ドラッカー先生のイノベーション理論が浮かびますが、企業家、新規事業の立ち上げや事業改善を目指す経営者の方にはおすすめしたい内容です。
イノベーションを起こすための資源 (resource) である「イノベーションの 7 つの機会」についての概念が重要です。ただし、この機会を手に入れたらすぐさまイノベーションが起こるというわけではありません。その機会から着想を得て、「こんな商品・事業を創ろう!」と企画を立て、取り組みを行い、初めてイノベーションが起こる(かもしれない)というもので、ヒントやアラームと受け止めれば良いと思います。
現在、ドラッカー理論であるマネジメントを中間管理職向けにアレンジして研修を行っています。内容としては多くの人が自分のこととして感銘を受ける本質的な概念、理論が多いことは事実ですが、実際の仕事にどう生かすかとなるとなかなか難しいようです。実際の仕事を通じて習得する成果を重視する理論なので座学を主とする大学で教えられないことが良くわかります。目標と成果という仕事に直結する実践的内容だからこそ今こそ必要なスキルだと思います。