「多様な正社員」有識者懇談会

厚生労働省の「『多様な正社員」』の普及・拡大のための有識者懇談会」は11日、会合を開き、これまでの議論をまとめた報告書案を公表しました。懇談会では、「多様な正社員」の雇用管理をめぐる課題について計14回の議論を行い、労使関係者が参照できる雇用管理上の留意事項や、就業規則の規定例を整理した内容となっています。

 

限定正社員の効果的な活用が期待できるケースとして、勤務地限定正社員、職務限定正社員、勤務時間限定正社員の3分類としています。注目されていた「事業所閉鎖等による整理解雇」「均衡処遇」についての見解については、従前の解雇ルールや非正規雇用等の均衡処遇に関する努力義務を踏襲するのに留まり踏み込んだ内容にはなっていないようです。

 

 

解雇に関しては、勤務地や職務が限定されていても、事業所閉鎖や職務廃止の際に直ちに解雇が有効となるわけではなく、整理解雇法理(4要件・4要素)を否定する裁判例はないとしています。解雇の有効性は、人事権の行使や労働者の期待に応じて判断される傾向があり、解雇回避努力を尽くすことには変わりありません。

 

均衡処遇については、多様な正社員といわゆる正社員との双方に不公平感を与えず、又、モチベーションを維持するため、多様な正社員といわゆる正社員の間の処遇の均衡を図ることが望ましいとしています。また、多様な正社員の賃金水準については、いわゆる正社員の9割超~8割とする場合が多いとして、具体的な数値が示されました。

 

今年に入って、採用難を背景に、非正規従業員を限定正社員化する動きは強まっていますが、今回の有識者会議の全体的な印象としてはあまり踏み込んだ内容になっておらず、限定正社員制度の普及・拡大はそれほど進まないかもしれません。報告書には限定正社員制度導入に関しての就業規則、労働契約書の規定例が示されていますので、参考として確認されたほうが良いでしょう。