「残業代ゼロ」議論は的外れ

甘利明経済再生担当相は名古屋市の講演で、「1日原則8時間」などと定めた労働時間の規制を一部の労働者に対し撤廃するため、政府が検討している労働法制の改正案について、「労働者に選択肢を与えるということで、労働基準を害することなどみじんも考えていない。残業代先取り法案だ」と強調したようです。産業競争力会議に、4月に当初案を提案した経済同友会代表幹事らが修正案を出すようで、中核・専門的な職種の「幹部候補」などを対象とする案が浮上しています。。具体的には、新商品の企画開発や会社の事業計画策定の現場責任者を指す「担当リーダー」、ITや金融分野の専門職「コンサルタント」などとし、年収の条件を外し、高年収者でなくても導入できるようにするようです。

 

 

 

 

政府の考えている労働法制改正案は、アメリカモデルを基本に考えているようですが、そもそもアメリカ人の職業観は自由・平等を基調として大学在学中にキャリア目標を固め必要な専攻科目を履修、就職はキャリア目標達成のための手段であり、おなじ企業にいることを前提としていません。日本では多くの人が、企業にキャリア形成を依存しており、採用後に組織の経営目標、戦略の応じ個人の能力により部門配属、課業を配分します。

 

アメリカでは個人の職務記述内容に応じた責任と権限が明確とされており能力に応じて高い所得を得ることができます。日本では職務内容は経営戦略の応じて個人の能力によって決定しますので配置転換がし易い反面、責任と権限が不明確な上、チームプレーを重視するがため昇給、昇格の速度もアメリカより10年遅いとも言われています。

 

両国とも、長年培ってきた労働文化がありますので単純にジョブ・カード(職務記述書?)による成果主義人事を取り上げてみても、労働生産性向上につながるのか、ましてアメリカのような成果賃金を日本の企業がとりいれることができるのかが、甚だ疑問です。