70歳まで働ける社会の議論について

 年明けの通常国会で、審議が予定されている70歳までの就業機会確保の努力義務化に向けた労働政策審議会内の部会での議論の方向性が11月29日に公表されました。今後、12月に取りまとめられる全世代型社会保障検討会議の中間報告に盛り込まれ、その後法案としてまとめられる予定となっています。労働力人口の年齢構成予測では来年度には20%、5人に1人が60歳以上になり、10年後の2030年には22.8%となれば企業にとっても高齢従業員の戦力化に「覚悟」をもって取り組まざるを得ない課題になりつつあります。

 

 先日、公表されました高齢者を65歳まで雇用するための「高齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計した「令和元年 高齢者の雇用状況」によりますと、65歳までの雇用確保措置のある企業は99.8%となり、65歳定年企業の割合も17.2%と前年より1.1ポイント増加しています。66歳以上働ける制度のある企業も30.8%と中小企業を中心に増加していますが、定年前の仕事を継続するとしても仕事上の責任と求める成果は低下する、転勤・残業をしないなど場所と時間の制約が強まる働き方になるようです。福祉的雇用・現役並みの活躍を期待しない人事管理をどのように取り組むのかという課題の反面、成果を上げる高齢労働者の賃金面での不満・労働意欲の低下を防ぐ制度への取り組みも大事です。

 

 2018年の未来投資会議では、希望する高齢者の70歳までの就業社会の確保を図りつつ多様な選択肢を許容し、その仕組みを検討するとして以下の7つの選択肢は示され、今回の検討会議では具体的なポイントがいくつか示されています。

 

   ①定年廃止

   ②70歳までの定年延長

   ③継続雇用制度導入(現行65歳まで制度と同様子会社等服む)

   ④他の企業(子会社等以外)への再就職支援

   ⑤個人とのフリーランス契約への資金提供

   ⑥個人の企業支援

   ⑦個人の社会貢献活動参加への資金提供

 

 高齢者の人材活用のついて具体的な役割期待(双方のニーズのすり合わせ)の明確化と賃金面での処遇等について、現役世代とのバランスを考えながら検討する時期を迎えているようです。今後の議論の行方に注目していきたいと思います。