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 女性の就業抑制に繋がる配偶者手当の見直しに向け、厚生労働省内にて「配偶者手当の在り方の検討に関し考慮すべき事項」として、5月9日付(基発0509第1号)通達が発表されました。配偶者手当は、夫婦間の性別役割分業が一般的な高度経済成長期の雇用慣行として定着してきた制度ですが、女性の就業が進むなど社会の実情が変化する中で、税制・社会保障制度とともに女性パート労働者の就業調整の要因になっていると指摘しています。企業において、今後「配偶者手当」の見直しを含め、男女の働き方に中立的な制度になるように労使間の真摯な話し合いについて提案しています。

 

 

 就業調整の理由として、所得税の非課税限度額(103万円)や健康保険、厚生年金の被扶養者制限(130万円)、あるいは配偶者特別控除の税制上の優遇措置を掲げています。企業の影響として、繁忙期の人材確保の問題や正社員への職務上の負担などを危惧しているようです。配偶者手当とは、民間企業において、配偶者がいる従業員に対して支給される手当のことを「配偶者手当」といいます。実際の手当の名称は、企業によって「家族手当」「扶養手当」様々ですが、女性が妊娠、出産、育児など家族形成に係る役割の中で生活の助けになっていたのは事実です。労働力人口の減少に伴う労働者としての位置づけで、一億総活躍社会の推進に向けて「配偶者手当」の廃止を正当化するのは間違いではないでしょうか?一方でワーク・ライフ・バランスを推進しながら家庭生活における女性の役割りを軽視した主張には違和感を感じます。

 

 見直すべきは、日本人の働き方です。「配偶者手当」の円滑な見直しに向けた留意点として、使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできません。(労働契約法第9条)・・使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合には、変更後の就業規則を労働者に

周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによることとされています。(労働契約法第10条)としています。いずれしても、人手不足の時代に一方的な労働条件変更は経営上のリスクが高いことは事実だと思います。

 

 

「配偶者手当の在り方の検討に関し考慮すべき事項」について (平成28年5月9日付基発0509第1号)
配偶者手当の在り方の検討に関して考慮すべき事項.pdf
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