時間外労働の上限規制について

 日本の長時間労働は、健康の確保のみならず、仕事と家庭生活との両立を困難にし少子化の原因や女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因として、働き方改革の一環として労働基準法が改正されました。時間外労働の上限が法律で規定され、違反した場合には、原則6か月以上の懲役または30万円以下の罰金が科せられるという厳しいものです。

 

 法律で定められた労働時間・休日の原則は1日8時間、週40時間、毎週少なくても1回の休日を与えることになっています。これを超える場合、「時間外労働を行う業務の種類」「時間外労働の上限」を決めて、労使協定(36協定)を締結して所轄労働基準監督署への届け出が必要です。今回の改正では、時間外労働の原則は月45時間、年360時間となり残業ありきで仕事のスケジュールを決める働き方はできなくなりました。今までは臨時的な特別の事情がる場合には、大臣告示により定められた基準で可能であった時間外労働にも上限が定められました。(パンフレットをアップしておきます)

 

 改正労基法の施行は、今年4月から施行されます。中小企業に対しては1年間の猶予がありますので、施行に向けての準備を進める必要があります。仕事の見直しを行わずに労働時間の短縮だけを叫んでも、現場が混乱するだけですので、仕事を細分化(課業)して業務の範囲を明確にして業務改善の余地がないか検討する必要があります。AI化やクラウドシステムの導入などまだまだ中小企業の普及率が低い施策について、来年度に向け助成金を絡めて検討するのもよいのではないでしょうか?