平成30年1月1日からの「新・求人ルール」のポイント

平成30年1月1日から職業安定法、省令・指針の改正に伴い労働者の募集や求人申し込みの制度が変わりました。
2013年、厚生労働省が全国544か所のハローワークに寄せられた9380件の苦情を調査したところ、その40%が「求人内容と違う」というものでした。数年前までは、求職者が求人を上回る状態が長く続き、ハローワークでは企業の求人は原則的にすべて受け付けていました。あまりにも実態に、2016年3月から法令違反や不当な就労を強いる「ブラック企業」の求人をハローワークでは受つけないことになっています。この時点での基準は、労働基準法および最低基準法に係る規定に是正指導等を受けた企業が対象とされていました。
今回の職業安定法の改正では、ハローワーク等(求人情報提供事業者含)に求人の申し込みをする際やホームページなどで労働者の募集を行う場合、契約期間、就業場所、賃金等の求職者が労働契約締結の判断できる最低限明示すべき労働条件の事項を定めています。労働基準法に定める絶対的明示事項(労基法第15条1項)と類似しています。また、明示する労働条件は、虚偽または誇大な内容を禁じています。当初の明示と異なる、または明示の範囲内での労働条件の変更がある場合、労働契約締結の判断が可能な時点で変更箇所を明確にして伝える必要があります。「募集時の労働条件内容」と「実際の労働条件」が違うとハローワークへの苦情となれば、必ず調査が入りますのでご注意ください。
働き手不足の時代に、誠実な求人募集・採用を心掛けねば、せっかく入社した人も早期退職という悲しい結果になってしまいます。それまでの人件費は無駄なコストになりかねませんし、働く人にとっては持っていた労働意欲や人生をかけた夢の就職が最初からつまずくことになります。正職員の入社関係書類は比較的整えていると思いますが、アルバイトやパートタイマーには、労働契約時に契約締結の約束事として「雇用契約書」「労働条件通知書」の交付をされない企業様も多いと思います。今後、労働条件の誤解によるトラブルを避けるためにもこの機会に交付される方向で確認されたらいかがでしょうか。
今回の職業安定法改正では、交付日より3年以内の時期に、一定の労働関係法令違反を繰り返す企業の求人を受け付けないことも可能とする法律が施行されます。通常は労務管理上の問題がないのが一般的かと思いますが、頻繁に変更される労働関連法規ですので、労働基準法・関連法令・労使協定など就業環境に関連する働きやすい職場づくりを見直す機会、または点検をされたらいかでしょうか。