
今国会で成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律」は、雇用保険法のほかに、労働保険徴収法、育児・介護休業法、男女雇用機会均等法等の改正も盛り込まれ、盛り込まれたすべての法律が改正されました。この内、育児・介護休業法では、介護休業の分割取得が、男女雇用機会均等法ではマタハラ対策に関する項目が盛り込まれています。施行は来年(2017年)1月1日となっていますが、改正の全体像を説明します。
1、介護離職を防止し、仕事と介護の両立を可能とするための制度整備
*対象家族1人に3回を上限として、通算93日まで、介護休業を分割取 得することができることとする。
*介護休暇の半日単位の取得を可能とする。
*介護のための所定労働時間の短縮措置等を介護休業とは別に、利用
開始から3年の間で2回以上の利用を可能とする。
*所定外労働の免除を介護終了までの期間について請求することの
できる権利として新設する。
*有期契約労働者の介護休業取得要件を緩和する。
2、多様な家族形態・雇用形態に対応した育児期の両立支援制度に整備
*子の看護休暇の半日単位の取得を可能とする。
*有期契約労働者の育児休業の取得要件を緩和する
*特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子
その他これらに準ずるものについては育児休業制度等の対象に追加
する。
3、妊娠・出産・育児・介護休業をしながら継続就業しようとする男女
労働者の就業環境の整備
*妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする、上司・同僚など
による就業環境を害する行為を防止するため、雇用管理上必要な
措置を事業主に義務づける。
これまでは、育児に関する対応が先行して進められてきましたが、今回は、介護に対しても対応が検討され、実務上大きな影響が出てくることが予想されますので、早期の準備が必要です。