「働き方改革関連法」施行に向けて中小企業が備えること・・

画像;駅の改札風景

 働き方改革関連法が6月29日、可決・成立しました。働き方改革関連法は1つの法律ではなく、労働基準法や労働契約法など合計8つの法律で構成されています。この中で企業、社員ともに注目されるのは、(1)残業時間の上限規制、(2)高度プロフェッショナル制度、(3)同一労働同一賃金の3つではないかと思われます。

 

 高度プロフェッショナル制度は、年収1075万円以上の高度なスキルを持つ社員を、労働時間の規制対象から外すもので、一般的には、研究職やコンサルタント、アナリストなど、年収が高く、かつ専門性の高い職種が該当するとされています。現行の労基法では高度専門職は、有期雇用の上限5年の特例、年収要件の1075万円以上の業種があるなど似ていますが、以前廃案になったホワイトエグゼンプションの焼き直しの法案のようです。

 

 来年4月から施行される関連法案の項目ですが、中小企業では①年次有給休暇の年5日取得義務、②高度プロフェッショナル制度、 ③フレックスタイム制の清算期間の見直し ④長時間労働者(100→80時間)の医師面接指導の見直し ⑤労働時間の状況把握について企業の義務化 ⑥勤務時間インターバル(努力義務)などです。翌年には、大企業に1年遅れて、罰則付きの時間外労働上限規制の適用がありますので、時間をかけて働き方を見直す必要があります。勤怠管理がますます重要になります。

 

 人手不足から長時間労働になりがちですが、厚生労働省は昨年、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を公表しました。企業はこのガイドラインに基づいて、労働者の労働時間を適正に把握することが必要です。また、管理監督者など適用対象外となる社員についても、企業においては適正な労働時間の管理を行う責務があることに留意が必要です。

 

 

 企業は賃金台帳を作成し、労働者ごとに労働日数や労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければなりません。賃金台帳にこれらの事項を記入していない場合や虚偽の労働時間数を記入した場合には、労働基準法により30万円以下の罰金に処されます。近年、労基署の調査でも指摘さることも多いようですので、賃金台帳の適正な調整から始めるのもよいのではないでしょうか。