健康保険の取り扱い変更について(実務編)

 健康保険の任意継続は退職しても、希望すれば2年間に限り退職しても今の健康保険をそのまま引き継げるシステムです。独立開業する方などは国民健康保険と違い一人分の保険料で家族全員分の保険が適用され、また在職中の標準報酬月額が高額だった方は任意継続保険料最高限度額により保険料が安くなるケースもあります。

 

 任意継続の要件として資格喪失日から20日以内に手続きを行い(会社手続き)、日本年金機構に提出される「健康保険被保険者資格喪失届」の処理後に、協会けんぽにおいて資格喪失を確認してから保険証発行の手続きがされていました。令和元年10月から任意継続の資格取得申出時に退職日の確認できる書類(会社で発行する退職証明書写し等)を添付することにより、会社の退職手続きを待たずに任意継続の保険証発行の手続きが行えるようになりました。

 今後、会社の資格喪失届を待たずに任意継続の添付書類として「退職証明書」を求められるケースが増えると考えられますので、事務担当者は事前に様式等を準備されたほうが良いと思われます。ちなみに、退職証明書は労働者が申請した場合、発行が義務付けられています。(労基法22条1項)

 

 

  

 今月、もう一つ取り扱いの変更があります。

 

 日本年金機構に届け出る健康保険被扶養者(異動)届では、すでに本人署名押印の取り扱いが変更になっていますが、9月21日から加入者および事業主の事務負担の軽減を図る目的から、署名・押印の取り扱いが変更になりました。以下の4届出が本人署名又は押印の省略対象となります。

 

 

l  被保険者証再交付申請書

l  高齢受給者証再交付申請書

l  高齢受給者基準収入額適用申請書

 

l  被保険者証回収不能届

 

事業主が届け出の記載を行う場合、申請者(被保険者)本人に対し、記載誤りがないか確認を求め、申請者(被保険者)が内容について確認した旨を届出の備考部分に記載することになります。すぐに押印できない時も多いので事務負担の軽減が図れそうです。