企業のハラスメント防止体制

平成30年度民事上の個別労働紛争の相談件数では、いじめ・嫌がらせに関する相談が7年連続で最も多く、増加傾向にあります。また、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に寄せられた男女雇用機会均等関係の相談では、セクシャルハラスメントに関する相談が最も多く、次いで婚姻、妊娠・出産等に関する不利益扱いなどハラスメントに関する相談が多く、企業にとっても社会的信用を失うなど経営上のリスクとして看過できない問題となりつつあります。
今年6月に労働施策総合推進法が改正され、パワーハラスメントやセクハラ、妊娠・出産をめぐるマタニティーハラスメントに関して雇用管理上必要な措置を講じることが会社の義務になります。
法施行は大企業は来年春までに、中小企業はその後3年間は努力義務となりますが、ハラスメント行為は働く人の個人としての尊厳を傷つける許されない行為であると同時に企業にとっても損害賠償請求等の判例を多く経営上のリスクとして準備すべき課題です。
パワーハラスメントと業務上の叱責に関して、境界が分かりにくく部下指導を躊躇するなど業務上の指導がおろそかになるのも問題ですので、パワハラの定義について理解が必要です。
パワハラは①職場内での優位的な関係を背景に・・②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により・・③労働者の就業環境を害する行為をいいます。①の優位的な関係とは、職責上の上司・部下の関係のみならず仕事ができる・できない、職場内の人間関係の優位性なども含まれます。②の業務上必要かつ相当の範囲を超えるとは、たたく、殴るなど身体的な攻撃は当然として、同僚の目の前で必要以上、長時間にわたり叱責するなども含まれます。③については自宅療養を要する抑うつ状態および身体化障害と診断された裁判において、明らかに就業環境が害されたとする判決があります。
厚生労働省では、職場のパワーハラスメントの予防解決に向けた7つの取組に向けてマニュアルを作成しています。また、法に基づき事業主が講ずべき措置については、厚生労働大臣の指針により定められています。必ず実施すべき内容は以下の5つのなります。
1、事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
2、相談(苦情を含む)に応じ、適切の対応するために必要な体制の
整備
3、職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
4.職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や拝啓と
なる要因を解消するための措置
5、併せて講ずべき措置
何よりも「ハラスメントは絶対行ってならない」とするトップのメッセージと就業規則などのルール化が大事です。そして教育・周知も一体として行ってこそ予防・防止の対策となります。パワーハラスメントマニュアルはこちらからダウンロードしてください。