日本から非正規雇用がなくなる!❓

 働き方改革関連法が成立し、通称「パート労働」といわれる法律が、労働契約法との再編がされ「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(以下「パート・有期雇用労働法」といいます」に改められました。従来、有期雇用労働者の均衡処遇については、労働契約法中(20条)に規定が置かれていましたが削除され、短時間労働者と有期雇用労働者の双方を対象として、均等、均衡ルール等を統一的に規定する法律になりました。

 

 新パート・有期労働法の「通常の労働者(正社員)と同視すべきパート・有期労働者を対象として、差別的扱いを禁止しています。差別的扱いの適用する考え方は、「職務内容」「人材活用の仕組み(雇用期間が終了するまでのすべての期間が対象)」が通常の労働者と同一である場合禁止されています。また、改正前は「事業所単位」で比較して同一か否かを判断していましたが、改正後は「企業単位」で比較されます。「職務内容の同一性」について、厚労省職業分類の細目分類を目安とし、職務の業務分担、中核業務の抽出から、責任程度の相違などから改正前は判断されていました。派遣労働者についても新たに派遣先労働者との均等・均衡待遇または一定要件を充足する労使協定により待遇の確保が義務付けらました。

 

 6月のハマキョウレックス事件最高裁の判決では、トラック運転手という職務内容は同一であるが人材活用の仕組みは違うことが認定されましたが、就業規則が別個に存在していても「無事故手当」「作業手当」などの差異が問題とされ労働契約法20条に違反するとされました。通常の労働者に対する手当の名称や良し悪しの問題ではなく、手当の目的・趣旨がポイントとなります。採用の際に、会社側が働き方に違いがあることを明確にして、労働条件の相違について説明できることが必要です。実務対応としては、採用の際、求められる役割を明確にして職制規程において職務の習熟・習得要件などの等級を可視化、明記する必要があります。

 

 中小企業のパート・有期労働契約法の施行は2021年4月1日と時間があるように思うかもしれませんが、制度の整備等にそれだけ時間がかかる裏返しです。法律とは現状の問題点や社会の要請などが課題化されて施行されるものですので、これからの人材活用の仕組みは求められる役割や期間などを考慮して「通常の労働者」「短時間の労働者」「期間の定めのある労働者」「専門業務に従事する派遣労働者」など、正規・非正規の区分を超えた制度構築が求められるものと思います。