注目されていた「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が第186回国会で成立し、平成26年6月25日に公布されました(平成26年法律第82号)。これにより交付日より1年6月を超えない範囲の期日よりストレスチェック体制がスタートします。

 

本法律案は、最近における経済社会情勢の変化及び労働災害の動向に即応し、労働者の安全と健康の一層の確保を図るため、化学物質による労働者の危険又は健康障害の防止、労働者の精神的健康の保持増進等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりです。

 

 

■特別規則の対象にされていない化学物質のうち、一定のリスクがあるもの等について、事業者に危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)を義務付けることになります。

 

■労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師、保健師等による検査(ストレスチェック)の実施を事業者に義務付け。ただし、従業員50人未満の事業場については当分の間努力義務となります。

 

■ストレスチェックを実施した場合には、事業者は、検査結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければなりません。

 

■受動喫煙防止のため、事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずることを努力義務とする規定を設けます。

 

■重大な労働災害を繰り返す企業への対応として、厚生労働大臣が企業単位での改善計画を作成させ、改善を図らせる仕組みが創設されます。(計画作成指示等に従わない企業に対しては大臣が勧告します。それにも従わない企業については、名称を公表します。)

 

■国際的な動向を踏まえ、ボイラーなど特に危険性が高い機械を製造等する際に受けなければならないこととされている検査等を行う機関のうち外国に立地するものについても登録を受けられることになります。

 

■建設物又は機械等の新設等を行う場合の事前の計画の届出(法第88条第1項)を廃止など、規制・届出の見直し等が行われます。

 

 

 

今回、法令で義務付けられる内容は最低基準ですので、メンタルヘルス対策の効果を高めるためには、指針などで示される推奨事項に加えて、自社の現状課題やこれまでの取り組み段階に応じて追加的・発展的な施策を行うことが必要です。また、努力義務とされた50人未満の事業場でも、人手不足による労働者の精神的健康の保持に配慮して現状課題からの対策を検討、実施する必要があります。法律の趣旨や今後示される指針の内容を踏まえ、自社に適したストレスチェックやその他の施策を含めた総合的なメンタルヘルス対策のあり方を検討することが重要です。