

働き方をめぐる環境の変化とともに、子育て世代の女性の労働参加が進み、共働きの世帯が増加しています。2016年「労働力調査」によれば、25歳~44歳までの女性の7割以上が働いており、2000年比で10P以上増加しています。
一般労働者の長時間労働は減少傾向にあるものの、ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の両立)が実現されいていないと感じる共稼ぎの世帯は、専業主婦世帯より夫婦より感じるストレスが強いようです。
今後、雇用の担い手となる団塊ジュニア世代(40歳前後)の介護のニーズが大きくなっていくことを考えた場合、ワーク・ライフ・バランスに向けた取り組みがより重要になります。
2017年10月より育児介護休業法が改正となり、子が1歳6か月以降も保育園に入れない場合、2歳までの育児休業が延長されました。
また、育児休業制度など対象となる社員に制度の概要や休業中、休業後の待遇や労働条件など知らせる動力義務が創設されています。
初めて出産を迎える社員さんにとって、出産そのものの不安、休業中、休業後の待遇に関する不安など知りたいことが多くあります。中小企業におけるワークライフバランスの実現は、そのような不安に寄り添って手続きやアドバイスを行う、そのような当たり前のことからだと思います。
親の介護で、今後の不安、不安定な精神状況にある社員さんに介護保険制度や育児介護休業法に関するアドバイスなど、離職せずに介護ができる方法を一緒に考える。これからの企業には求められる取り組みです。

内閣府「ワーク・ライフ・バランスに関する企業調査」によると、共働き世帯と専業主婦世帯で、夫の家事時間はほとんど変わりませんが、長時間労働者を中心に、男性は家事・育児参画のために残業が少なくなりことを要望する割合が高いです。また、働きながら育児をする方の協力したいと考えている人は多く、職場において協力を求められたら協力すると答えた人が多い結果もでています。
労働時間が短いほど労働生産性が高くなる関係は一般的に知られていますが、長時間労働の削減に向けた取り組みについては企業によって様々です。「実労働時間の正確な把握」「長時間労働を是とする上司・本人への注意喚起・助言」「仕事内容・分担の見直し」「ノー残業デー設定」など、多くの具体的取り組みがありますが、優秀な人材の確保には、ワーク・ライフ・バランスを意識した人事・労務の制度は必要です。

技術革新に伴う新たな働き方に注目が集まっていますが、テレワークなど情報技術を活用した働き方の導入促進が、労働生産性の向上やワーク・ライフ・バランスの実現に貢献することが期待されています。実際に導入が進んでいる企業では、テレワークにより仕事の生産性向上やストレスの軽減、家族とのコミュニケーションの確保など、企業と労働者双方にメリットが報告されています。
テレワークの導入モデルの期待として、企業全体での業務革新ニーズ(BPRモデル)と育児や介護の抱える従業員に対するニーズ(CSRモデル)があります。モバイル勤務、在宅勤務などそれぞれの就業形態の組み合わせ等により既存の就業規則の変更や別個の規程作成の必要性などテレワークに関する社内ルール作りが必要です。
情報技術を活用した労働参画の促進による効果として、「働き方・ワークスタイルの多様化」「既存従業員の労働参加率の向上」「組織や人員配置の見直し」「従業員の満足度・モチベーションの向上」などが調査結果として報告されています。
「人材不足の時代」に、社員さんに長く働いてもらう仕組みつくり、これからの企業経営には、最重要課題です。