キャリアパスとは、企業における職業人としての社員の進路、道筋をいいます。一般的には社員の職務や役割から企業の求める職務の達成レベルや期待される管理能力などが具体的に書き出されたモデルを指します。キャリア段階的に応じて求められる能力(スキル)組織性に関する能力(マネジメント)が、事前に示されていることで企業の期待する水準に従い自己の成長目標を定めることができます。

 

 各ステップからの昇格モデルは期待される能力を充足したことでキャリアアップする仕組(昇格)を基礎として上位のステージへ進むことになります。昇給の仕組(賃金制度)も連動することで、将来の仕事の目標と人生設計が希望のあるものになります。「長期の雇用」を望む若い社員の獲得・定着には欠かせない制度になりつつあります。

 

 

 キャリアパスの要件・定義は「企業の理念」「中長期経営計画」の達成目標から導き出された「人材能力の期待値」に関する職務・階層別の能力要件です。したがって人事考課に関する評価要素とも連動し、全体・部門の組織目標と個別に期待される個人目標の達成度に応じて公正な評価がなされることが必要です。キャリアパスには、昇給・昇格に係る「人事考課制度」が必要です。

 

 「賃金制度」は、「人事考課制度」を補完する役割を持ち、職務・階層別の賃金テーブルが最も適当な昇給昇格モデルになります。働き方改革での基礎となる「同一労働同一賃金」の定義も充足し、多様な就業形態の補完機能を持ちえます。

 

 キャリアパス本来の考え方は、「課業管理」にありますが、知識・技能要件(テクニカル・スキル)の書き出しには、現場社員の協力なしでは不可能です。成果物である「職務要件書」が、組織・就業管理や社員配置・部下育成に日常的の使用するものですので、この使い方含め構築には、当初の職務分析からプロジェクト参加をお願いしています。

 

 キャリアパス(人事制度)の運用には、現場社員の人事評価者としての能力や課業分担・職務分掌の理解と実践が必須です。部下の育成に関しては「目標管理」の基礎知識やコーチングスキルの研修など、人事制度の関連性において一体的運用が必要です。

 

 人事制度は一貫性があって動き出すものです。