
インフルエンザウィルスとは、そもそもどのようなものなのでしょう。
インフルエンザウィルスの大きさは、直径わずか1万分の1ミリ、ウィルスから見ると人間は地球の3倍という目に見えない微小な生物なのです。また、人類がウィルスを発見したのは19世紀末のことで、まだまだわからないことが多いのですが、ウィルスは自分の力だけで増殖することができず、他の生物の細胞に潜り込んでその細胞の機能を借りて子孫を増やします。特にインフルエンザウィルスは、さまざまな動物に適応して潜り込むことができる厄介な特徴を持っています。
インフルエンザウィルスは、A型、B型、C型の3種に分類されますが、毎年のように人の間で流行しているのがA型、B型です。近いうちの新型インフルエンザを出現させ人間を襲うことを危惧されているのがA型です。「ウィルスを絵に描いてください」というと多くの方が円球の表面をスパイクのような突起を書かれると思います。
ウィルスが細胞に侵入するときに働くのがHA(赤血球擬集素)という突起、細胞から出ていくときに働くのがNA(ノイラミニダーゼ)という突起です。HA(16種)NA(9種)の組み合わせで同じA型でもさまざまな種類(亜型)があり、最も恐れられているのが「H5N1」と呼ばれる亜型です。 今回、中国で感染が広がっているのは弱毒性とされていた7番目のHAと9番目のNAを持つH7N9型のインフルエンザウィルスです。
インフルエンザウィルスは、子孫繁栄のために増殖しようとしても、自分の力で増殖できなので、人間の中に強引に潜り込み細胞機能を乗っ取って破壊しながら増殖して子孫を増やします。インフルエンザ治療薬で、タミフル、リレンザなどががあります。ウイルス放出時に突起にふたをするように作用することで増殖を防ごうとするものです。しかし、インフルエンザウィルスは、増殖を優先するが故に単純構造をしており、人間ならば100万年かかる進化を1年でやってしまいますので、僅かな期間でタミフル、リセンザの抗体を作ることが可能です。同じ亜型でも変化し続ける生物であることが、人類にとっての脅威でもあるのです。