
政府の「新型インフルエンザ対策行動計画」では、1、感染拡大を可能な限り抑制し、健康被害を最小限にとどめること。2、社会経済を破綻に至らせない。という2つの目的が明示されています。事業者が事業継続計画(BCP)を策定する目的も同様であり、企業の生き残り戦略ともいえます。事業継続計画は、地震災害など緊急突発的な事柄に備え策定するものもありますが、被害内容は地震の場合は施設、設備、社会インフラなどの被害を想定しますが、鳥インフルエンザは直接的に「人」の被害であり長期にわたる事業稼働率の低下です。したがって事業継続の考え方に大きな差異があります。
事業継続計画とは、事業資産の損害を最小限にとどめ、或いは従業員の健康と安全を確保しつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことを言います。
新型インフルエンザ対応の事業継続の代表的な戦略は、感染リスクを抑えながら重要業務を継続すること、業務を一時休止・縮小して感染拡大を防止すること、そして何よりも感染予防3原則を平常時から従業員に周知・徹底して感染から従業員をまもることの3点が大きな柱になります。
また、感染拡大期において想定される法的リスクについても準備する必要があります。安易な事業継続によってインフルエンザにり患した従業員からの安全配慮義務違反による指摘、また顧客との損害賠償請求、取引先等からの債務不履行に基づく損害賠償請求など経営者の善管注意義務の履行として対策を講じることは必須です。