2022年

5月

11日

在宅勤務の満足度が過去最多に・・

キッチンでテレワークをする女性

 調査研究や提言、実践活動により生産性向上を目指す公益法人日本生産性本部は、22日に第9回「働く人の意識調査」発表しました。この調査は新型コロナ感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査で、2020年5月以降四半期毎に実施しているものです。働き方の変化としてのテレワークの実施率では、過去最低を記録した前回1月調査の18.5%から20.0%と微増となっており、企業規模では従業員101名以上の企業で増加が見られ、100名以下の企業では前回同様に11.1%と変わりませんでした。在宅勤務を実施している従業員の満足度は、「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計が2020年5月調査の57.0%から84.4%(過去最多)と大幅に増加した結果となりました。部屋や机・椅子などの物理的環境の整備、通信環境の整備などが進み、テレワーカーの執務環境は快適なものになりつつあると分析しています。

 

 その他の項目についても回答を得ていますが、景況感については、現在の景気、今後の見通しともに悲観的な見方が強まっています。新型コロナの新規感染者が高止まり、円高や物価高が生活に影を落とすなど働く人には悲観的にならざるを得ないような要因が横たわっています。労働時間の変化について、前回(1月)と比べて労働時間、業務量、余暇時間、家事時間の増減について、各項目を「増加した」(増加、どちらか言えば増加)から、「減少した」(減少、どちらかと言えば現象)を引いた割合(D,I)を余暇時間以外がすべてプラスとなりました。業務D,Iは+8.8、労働時間D,Iは+4.5と調査開始より最多を記録し、経済活動がコロナ禍以前に回復しつつある一方で余暇時間が削られる構図になっているようです。

性別の家事時間は前回よりの増加していますが、女性の家事時間増加が大きく上回っており負担の公平性が解消できない状況が継続しています。今後もこのような傾向が続くと思いますが、働き方改革の目指す企業のありかたについて工程表に照らして課題化する必要があると思います。 

 

 

2022年

4月

27日

新型コロナウィルスに関する企業活動の影響

 東京商工リサーチは4月20日、第21回「新型コロナウイルスに関するアンケート」の調査結果を発表しました。感染が企業活動に影響をしているかを尋ねところ「影響が継続している」70.0%で、前回2月調査比は2.4ポイント減少しています。しかし、コロナ禍前の同時期(2019年3月)と売上高を比較すると53.4%が減収しています。まだまだコロナ禍が企業活動に影響を及ぼしている現実の中、政府が取り組みを支援する「事業再構築」について、「既に行っている」が14.0%と2021年4月調査から3.2ポイントと増加としており、支援を受けながら激変する外部環境へ対応しようとする企業が出始めていることが調査で判りました。一方、事業再構築に取組んだり、これから取り組むという企業に、既存債務の影響を尋ねたところ、影響の大小にかかわらず約4割の企業が「足かせ」と考えていることも分かりました。

 

  今後の事業再構築(新分野展開・業態移転・事業業種転換・事業再編など)について「今後1、2年で大幅な事業再構築を行うことを考えている」「今後1,2年で部分的な再構築を考えている」も含めた「実施・検討率」は44.1%になりました。業種別(中分類)にみると、映画館や劇場、フィットネスクラブなどの「娯楽業」が84.6%(26社中22社)がトップで、「飲食店」は69.6%(33社中23社)となりました。多くの業種で事業再構築を実施・検討を行っており、上位15業種では検討・実施率が50%以上になっています。事業再構築の内容に関する問いには「コロナ禍の状況にとらわれず新たなビジネス領域への進出」(49.2%)、「ウィズコロナに対応できる事業形態への転換」(28.8%)「危機的状況でも事業が存続できるよう事業の多角化」(28.1%)と続きます。コロナ禍以前より、AI・ICT技術の発達や経営環境の変化などから事業再構築が叫ばれてきました。社会保険労務士の仕事でも「手続き」「規則作成」などの専業分野から「コンサルタント」への転換を図る同業者が増えてきましたが、実施・検討は早い方が良いです。当事務所では10年以上前から準備を進めてきましたが、今では「組織変革・人材育成」等のコンサルタント業務が8割、社労士業務等が2割と業態を変えることができました。変えざるを得ない時代かと思います。

 

 

2022年

4月

17日

多様化する労働契約のあり方について

労働政策研究・研修機構ではタイトルに関する調査を行い、このほど結果を公表しました。この調査は、労働契約法18条の規定に基づく無期転換ルールや多様な正社員の雇用に関して雇用ルールの明確化など多様化する労働契約のあり方について、実態などを的確に把握するために行われたものです。将来の生産年齢人口の減少に伴い、多様な働き方の選択肢を提示する企業も増えてきています。今回の調査でも「勤務地限定の正社員がいる」割合が9.6%、「職務限定の正社員がいる」が9.8%、「勤務時間限定の正社員がいる」7.5%おりいずれかのの限定正社員いると回答した企業の割合を集計すると、全体の18.3%となることが分かりました。今後、この傾向は増えてくると考えられますが、地域・職務・時間の限定される正社員と無限定の正社員の待遇等をどうように考えるかは、企業の課題となってきます。

 

 企業が正社員の定着が図るために導入する「勤務地限定の正社員」、職務を限定することで専門性や生産性の向上を促すための「職務限定の正社員」、育児・介護等と仕事との両立への対応のための「勤務時間限定の正社員」など導入の目的は違っても、これからの人出不足・ワークライフバランスの効果を考えると導入しない選択肢はないと考えます。多様な正社員の限定内容を変更した理由は、どの区分でも労働者の希望という割合が最も多く、事業所の閉鎖、人出不足等の企業理由をうわまっています。多様な正社員の労働条件の限定内容の変更した際の手続き(複数回答)としては、「個別の従業員の同意を得て、個別の契約により変更した」「個別の従業員の同意を得て、就業規則等に則り変更した」のいずれかを選択した企業が8割超えとなっています。家庭の事情等により無限定の正社員から、やむを得ない理由で限定正社員の転換を希望する正社員も増えることが予想されますが、就業規則による変更規定と個別の事情にあった労働契約の準備が必要な時代になりつつあると感じました。

 

 

2022年

4月

09日

社会意識に関する調査

 内閣府は3月31日、「社会意識に関する世論調査」の結果を発表しました。現在の社会において満足している点を尋ねたところ(複数回答)「良質な生活環境が整っている」(47.2%)が最多となり、次いで「心と体の健康が保たれる」(19.8%)などがある一方、「特にない」と答えた者の割合が25.9%と比較的高い結果となりました。都市別規模でみると「良質な生活環境が整っている」と回答した割合は大都市で高くなっています。また年齢別の割合では18歳から29歳、40歳代で高い割合を示し、「心と体の健康が保たれる」を挙げた割合が70歳以上で高くなっています。

 

 現在の社会で満足していない点は何かを聞いたところ「経済的なゆとり見通しが持てない」を挙げた割合が55.5%と最も高く、以下、「若者が社会での自立を目指しにくい」(30.1%)、「働きやすい環境が整っていない」(28.6%)、「女性が社会での活躍を目指しにくい」(27.9%)と複数回答ながら上位4項目はいずれも高い結果となっています。コロナ禍で日本の働き方の弱点が見えてきましたが、その弱点克服であるはずの働き方改革の推進も社会全体で止まってきているような印象もあります。女性活躍推進法により女性が活躍するシーンが増えると想われましたが、「女性が社会での活躍を目指しにくい」を挙げた割合が性別では女性が高くなっています。女性活躍には企業のワークライフバランスを意識した制度改革が必要であることは多くの人が意識されていると思います。働きやすい職場環境とは・・・人出不足などの現状の克服、収益の確保・・仕事ですが日々、私自身も考えさせられる課題でもあります。

 

 

2022年

3月

27日

社員研修の必要性

 強い組織、高い成果を上げる組織を作るためには、実務のキーパーソンになる中堅社員やマネジメント層の育成が欠かせません。人事階層ごとの研修も特にマネジメント層にたいする研修は、求められる能力を理解してもらう意味でも重要な機会になります。ある調査によりますと中堅社員研修の目的としては「リーダーシップ・フォロワーシップスキルの習得」「実務のキーパーソンとしての役割認識」がともに6割を超す企業で導入されています。東京商工会議所では、3月22日1000社を対象とした2021年「従業員研修の実施状況に関するアンケート」の調査結果を発表しました。それによりますと2021年度研修費用は、「変わらない」(45%)の回答が最も多く、「増加」(38%)が目立ち、「減少」(9%)に留まるも、2020年「増加」(16%)に比べると大幅に増加しています。

 

 東京商議所では、感染症の影響が色濃く残る状況下でも、人材育成を重視する企業の姿勢が見え、特に従業員30人未満の企業での増加傾向が著しいという感想を述べています。2022年度の研修費用の予測として2021年と比べて「増加」させる企業が26%と人材育成の投資姿勢は維持され、理由としては「人材育成への経営者の関心の高まりのため」(36%

)「研修対象者の拡大のため」(35%)を挙げています。企業の経営資源として「ヒト」「モノ」「カネ」とよく言われますが、特に中小企業では「ヒト」が最も重要な経営資源です。人事階層では、特に中堅職員やマネジメント層に対する研修が重要ですが、新人・一般社員層でもマネジメントに関する研修は必要です。今の仕事をより効果的に効率的に行うための知識・スキルが「マネジメント」です。これからは社員の自主的なキャリア形成の企業の仕組み、企業風土の醸成が研修の目的の一つになりそうです。

 

 

2022年

3月

20日

所得向上と人的資源の強化

 政府は3日、「第2回経済財政諮問会議」を開催し、所得向上と人的資源の強化等について議論しました。会議では、過去25年間で働き盛りの世帯所得が100万円以上減少していること、非正規雇用の若年者単身世帯の割合が大きく上昇していることなどのデーターが示されました。現状を踏まえ、一人ひとりの付加価値生産性を高めるような「人への投資」の拡大、ワークライフバランスを重視した多様な働き方の推進、成長の果実を享受できる制度の3つの柱を中心に、それぞれの世帯の置かれた状況にあわせたきめ細やかな行動の必要性を提言しています。企業が進めるべき人事・労務上の課題と同様と考えられる内容ですが、政府として行うことなので子育て世代における106万・130万の壁の見直しにより、更なる配偶者の労働参画を促し人材育成・子育て支援、働き方改革を一体として進める内容を考えているようです。

 

 また、年齢階層別に所得や就業構造特徴を念頭に置きつつ、デジタルを徹底活用し、きめ細やかな支援が可能となる仕組みの構築をすべきとしています。政府の行う施策は、企業にとって大なり小なり人事・労働の仕組みに影響を与えることになります。45歳~54歳(壮年期)の世帯では25年前の世帯所得の大幅減が要因となって、世帯年収の中央値が約200万円減少し1000万円以上世帯も減少している実態がわかりました。一方、40~50代の兼業・副業からの収入は増加傾向にあり、40代では転職後に賃金が増加する割合が高いことから、壮年期の適材適所の労働移動を促し、所得の向上を実現できる施策を推進すべしと提案しています。企業としては、基幹業務の中核を担う40歳~50歳代の突然の退職とならないように制度自体も整備する必要があります。働き方の自由度を高めながら企業収益をいかに確保するかは、人的資源の強化の仕組みを企業制度の取り込んでいく以外にないと思います。

 

 

2022年

3月

06日

ワーケーションに関する提言

 経済同友会では、新型コロナの感染拡大を契機にテレワークの浸透、地方で余暇を楽しみつつ仕事を行うワーケーションに注目が集まっていることから、「地域共創のさらなる推進に向けて~ワーケーションを呼び水の関係人口の創出を~」というテーマで提言を行いました。企業としては、働き方改革や人材戦略の観点からワーケーションを導入する動きもありますが、目的や運用方法が曖昧など課題が散見されるようです。地方企業のメリットとして、地方自治体が交流拠点や機能を整備することにより、域内外の多様な人材交流を通じてイノベーションのきっかけが作られることなどが期待できます。企業が兼業・副業の解禁・容認する流れを受けて、都市部の人材が自身のスキルや経験を活かして地方の中小企業に経営支援を行うなど、ワーケーションを機に移住・転職につながった報告もあるようです。

 

 ワーケーションの取り組みには、経営者や中間管理職の理解醸成や率先して行動を起こすなどの真剣度が重要だと思います。取り組む目的と期待する成果などは言語化して社内に浸透させることが効果的です。経済同友会の実証実験では、上司や同僚の目が気になってワーケーションの実施に後ろめたさを感じたり、経営者が導入に積極的でも人事部門が躊躇するケースなどがあったようです。多くの企業がイノベーションを生み出す努力をしていますが、多様な人材との交流や新たな発想の機会、ワーケーションは自立した社員の選択肢の一つであると認識し、企業の経営戦略や人材戦略に位置づけることが重要としています。ワーケーションの広がりは地域協を生み出す機会として、受け入れる地方の企業も経営戦略に位置づけることも大事と思います。

 

 

2022年

2月

19日

話題の週休3日制度への反応

 採用時の制度魅力アップの期待などから、一部の企業で導入が試みられている週休3日制度について、マイナ転職では正規雇用者800人を対象に、制度への期待・不安等の実態を調査・公表しました。現在の休みの頻度は、8割弱が「土日祝休み」「週休2日」と回答し、休みが十分と感じる人が半数程度おり不満と感じる人を上回っています。しかし「週休1日~2日」になると不満が十分を上回る結果になっています。週休2日が一般的になっている中、週休1~2日の企業では、週2日の実現に向けて仕事の取組みなどを変える必要がありそうです。今の職場で週3日の導入が可能かとの問いには、約6割が「不可能」と回答しており、理由としては「仕事量が多いから」「人出不足」の意が多く、「仕事内容的に難しい」「俗人的業務があるため」などの意見も見られました。

 

 働き手の不足が深刻になりつつある企業環境では、新卒採用・中途採用で求職する人の意識や動向について調べ、人事や労務制度に活用することが必須と感じています。週休3日制度の導入について、約8割の人が収入が減るなら利用したくないと回答しています。しかし労働時間で給与を支払う企業としては、業務の効率化や生産性の向上を意識した働き方に変わることを同時に進める必要があります。「給料が高いが、休みが少ない」「給料が低いが、休みが多い」の二者択一の質問では、全体としては「給料派」50.1%、「休み派」49.9と半々ですが、年齢階層別では、20~30代では「休み派」、40~50代では「給料派」となり、それぞれ10ポイント程度の差があるようです。

 

ワークライフバランスの質問では、20代では約7割が「プライベート優先」と若年層ではこの傾向が高く、40代では約4割の人が「仕事もプラーベートも大事にしたい」回答しており、「給料派」でもワークライフバランスを意識する傾向があるようです。今回の調査結果は参考になることが多く、年齢による意識の違いなどを考えると、多様な働き方に対応できる制度の必要性を改めて感じました。

 

 

 

2022年

2月

13日

頭の良い人「仕事の取り組み方」

 今日のダイアモンド・オンラインの記事で、「転職迷子」の多くの若者から圧倒的な支持を受けている山下良輔氏の話が出ていました。昨年12月に初出版した「転職が僕らを助けてくれるー新卒で入れなかったあの会社に入社する方法」で、自らの転職経験をすべて公開しています。高卒から、30歳で年収1000万円超の驚きの経歴が受け止められ、多くの若者の支持を受けるのことも分かります。本書では、社内で「仕事ができる人」評価されていなくても、転職の実績づくりは十分できると結論づけています。社内での評価を気にして「社内MVP」を目指すより、たとえ地味でも「他の人がやらない仕事」をすることで、自分だけの実績につながると言っています。どんな仕事をするときも意識すべきなのが「個人の稼ぐ利益」とも言っています。

 

 コロナ禍後・現在でも働く人の意識すべきことは、山下氏のいう「個人の稼ぐ利益」の視点が、自分が今やっている仕事への見かた、時間の使い方が大きく変えていきます。私が考えるには、従来の日本の働き方では、個人が時間当たりの労働生産性を意識することは少なかったと思いますが、昇給の原資は企業収益であり「売り上げを増やす」「コストを減らす」ことで考えられてきました。しかし、今まで1時間かかってやっていた仕事を55分でできるようになれば、約8%の収益が確保できたことになり、今まで5人でやっていた仕事を4人でできれば1人分の人件費(利益)を確保できたことになります。企業の利益には、「売り上げ増」「コスト削減」の他に「仕事の進め方」「時間の使い方」も大きくかかわることを言いたいのかもしれないと短い記事の中で推測しました。得意分野のオンリーワン、人がやらない仕事、利益へのこだわり・・頭の良い人の仕事の取り組みは、そんな仕事の進め方を続けることで、課題解決能力は確実に磨かれてきます。

 

 

2022年

1月

30日

多様な働き方と就業規則

  働き方改革では、「いわゆる正社員」と「非正規雇用の労働者」の働き方の二極化を緩和し、労働者一人ひとりのワーク・ライフ・バランスと、企業による優秀な人材の確保や定着の実現のため、職務、勤務地又は労働時間を限定した多様な正社員の普及が図られてきました。これら多様な正社員を含む人事制度を構築する際に、労務管理が煩雑、複雑になる、区分間での仕事や処遇・労働条件のバ ランスが難しい、人事管理が硬直化するなどの課題があります。厚労省の調査では、多様な正社員制度がある事業所の割合は2018年で23.0%、2020年で28.6%であり、制度がある事業所のうち多様な 正社員制度利用者有りの事業所の割合は4割前後でした。現在、多くは規模の大きな企業が多いようですが、今後は中小企業でも避けて通れない課題です。

 

 限定正社員の雇用又は配置の変更について、個別の労働契約書で対応すれば良いのではとの意見がありますが、法律の優先順位としては個別契約より就業規則が優先されます。個別契約で一般の正社員より賃金等を含め低い労働条件を定めた場合、就業規則の内容に満たない労働条件は就業規則の内容になります。人事制度で多様な働き方を準備するとしたら、非正社員から無期転換を介して正社員となる場のの就業規則の作成同様に、いわゆる正社員から職務・時間・地域を限定する多様な働き方に関する就業規則の作成は必要です。人事制度構築にあっては、無期転換制度、正社員転換制度の道筋や正社員と限定正社員制度への転換ルールなど、将来の人事制度の全体像をつくるのが第一歩です。その後、就業規則により細部のルールを作成していきます。これらには、職務分析や業務改善・組織開発

も考慮されますので、企業にとっては収益確保のきっかけになります。

 

 

2022年

1月

23日

オミクロン株とBCP

 新たな変異株「オミクロン株含め含め、新型コロナウイルスの感染が急拡大しています。異株「オミクロン株」の感染が拡大する中、政府や地方自治体が企業に対し、従業員の欠勤に備えた事業継続計画(BCP)の作成や点検、見直しを求めています。帝国データーバンクでは、オミクロン株の感染拡大を踏まえたBCPに関する企業の動向についてアンケート調査を行いました。発表によりますと約3割の企業は新型コロナの拡大を機にBCP策定意向を示す一方、BCP策定する予定がない企業は約25%になっています。企業規模の小さな企業ほど人材や時間の確保ができない理由で対応を躊躇しているようですが、感染拡大による自宅待機などの大きな影響を受けるリスクは大きいと思います。

 

 BCPの基本は、事業を動かし続けるための感染予防や、停止することで経営上の大きなリスクになる業務を選択し継続するための方策を講じることにあります。企業ごとに対策が異なり、リスクを数値化して感染予防対策を講じることになるので、労使間の意識の共有や話し合いで現場の意見を重視したほう良い計画ができます。感染経路・感染源の遮断が主な対策になりますが、通常の事業を行うことは考えずに欠勤者の動向に連動して、継続すべき事業を選択して段階的に事業を縮小します。欠勤率に応じて選択すべき事業を決定してするためには現場の意見が重要です。感染拡大前に策定すべきBCPですが、今後の感染拡大は新型インフルエンザ特措法で想定されている国民の2割感染も視野にいれて継続すべき事業の決定が必要です。

 

 

2022年

1月

10日

今年もよろしくお願いします。

 早いもので三が日が過ぎ、今日は成人の日です。年明け早々、新型コロナウイルス感染症が拡大し特にオミクロン株は感染力が強いこともあり、感染防止に注意が必要です。ウイルス感染症の感染源としては旅館・飲食店が言われていますが、会社や公共交通機関なども感染源としては要注意です。会社での感染拡大は、休業を余儀なくされケースが多いようですが、感染もしくは疑いのある従業員の出勤を停止するなど、企業内のクラスター化を防止して事業を継続していく時期に入ってきていると思います。あと何年続くかわかりませんが、ウイルスとの共存をしていくことが大事な年になりそうです。

 

 コロナの影響で大手企業を中心にテレワークでの働き方が広がっていますが、業種や様々な理由で導入が進まない中小企業も多いと思われます。ICTなどの技術の浸透は、人々の生活をあらゆる面でより良い変化をもたらし、段階を経て社会・経済システムに影響を及ぼして企業の組織、制度、生産方法などにAI,IoTが活用されていきます。そうなればテレワークなどデジタル対応の働き方が当たり前のこととなり、今より一層多様な働き方が生まれてきます。今年は働く人の「働きがい」が実現できる企業の支援、業務の見直しや学習する組織の実現から「企業の生産性の向上」を支援するような仕事をしていきます。将来の持続可能な社会と企業構築のコンサルタント力、スキルの向上・充実に励みますので今年もよろしくお願いします。

 

 

2021年

12月

25日

ことし1年を振り返って・・・

 4月から、パートタイム・有期雇用労働法(同一労働同一賃金)と改正高年齢者雇用安定法の2つの働き方改革関連法が適用範囲拡大、もしくは施行されました。働き方関連法に関してはすべての企業でほぼ適用され、労務に関する制度や職場環境の整備などが進んだ年ではなかったでしょうか。現場主義を理念とする弊事務所にとって、顧問先・関与先の従業員の皆さんと様々な関係性を持つ、有意義な仕事ができた年でした。フレックス制度の導入に関する説明会を通じて、働く人の思いや要望を聞いたり、「働きがい」について考える機会をもらいました。

 

 給与規程などの人事制度が動き出した顧問先では、目標管理制度の各面接で社長と同席して進捗状況や今後の進め方について意見を聞かせてもらいました。管理職が面接を行う顧問先では、各面接時のコーチングスキルのレクチャーを行ったり、面接にあっての不安を聞いたり、目標管理の目的について再確認をするなど管理職の思いを聞くことができました。目標管理制度の導入時には、職員向けのワークショップを開催しましたが、結論から考える思考方法をどのように伝えるかを迷い、学び、文章化・ツール作成など大いなる勉強機会をもらいました。コンサルタントとして「伝える」難しさを知る1年でした。

 

 

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2021年

12月

12日

職場のハラスメント防止

 職場のハラスメント防止に関する法律等の施行から1年が経過していることから、経団連ではこの度、企業の

おける取り組みについて、400社の調査結果から今後の政策検討の参考に資するとともに効果的な取り組み例などを公表しました。パワーハラスメントを5年前と比較した相談件数の結果は、「増えた」が44.0%と最も高く、次いで「変わらない」が30.0%という結果になりました。セクシャルハラスメントに関する相談件数は、「変わらない」が45.3%と最も高く、次いで「減った」が28.8%となっています。パワーハラスメントの相談件数の増加について、法施行に伴う社会の関心の高まりや相談窓口の周知の強化など経営トップメッセージによる意識向上、相談しやすい環境の醸成などを理由としてあげています。

 

 ハラスメント防止、対応についての課題について、特に当てはまる上位3つを選択したところ、「コミュニケーションの不足」(63.8%)、次いで「世代間ギャップ、価値観の違い」(55.8%)、「ハラスメントの理解不足(管理職)」45.3%が続きました。リモートワークによるコミュニケーションの希薄化からのすれ違いやお互いの信頼関係が構築されないことから、上司からの注意や指導をパワハラの捉えて相談するケースが増えているようです。理解不足による相談として、マネジメント上の問題をハラスメントとして提起するケースや指導・指摘や上司や周囲の言動で本人の意に沿わないという理由で主張するケースなど様々な要因が考えられます。

 

 

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2021年

12月

05日

飲食店などの人出不足が深刻に・・

 先日、東日本を中心に営業展開しているステーキ店へランチに行きました。フォーク・ナイフ・水のサービングをロボットが行っており、人出不足を見据えた省力化の取り組みが広がっていることを感じました。今年10月より、最低賃金の引き上げが実施されました。さらに緊急事態宣言などの解除で人流抑制政策が緩和されつつあるなか、飲食店などの個人消費関連の業種では再び人出不足感が高まっているようです。帝国データバンクでは、2006年5月から雇用の過不足に状況に関する調査を行っていますが、今回、人出不足に対する企業の見解についての調査も併せて実施し、2021年10月の結果をもとにとりまとめ発表しました。

 

 アルバイトやパートなどの非正規社員が不足している企業は、全産業の25.1%になりました。特に10月から営業時間の制限が段階的に解除になっている居酒屋などの飲食店では、非正社員の人出不足割合が63.3%と前月9月の44.1%と急上昇しているようです。また、アパレルなどの「繊維・繊維製品・服飾品小売」では、47.1%と前月から13.8ポイント増、「旅館・ホテル」では、35.9%と前月から22.3ポイント上昇するなど、個人消費関連の業種で非正規社員の人出不足感が大きく上昇し、深刻な状況になりつつあります。飲食店はコロナ禍以前より、留学生など外国人労働者に依存することが多かったようですが、もともとの課題が現実化してきたようです。

 

 

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2021年

11月

21日

テレワークと職場でのコミュニケーション

 国土交通省が2021年3月に発表した調査データによると「約 64%の人がテレワークに総合的に満足しており、今後も実施したい人は約82%であった」とのことです。テレワークでオフィスに出勤する機会が減少することで、従業員は通勤時間を減らせます。満員電車でのストレスや通勤時間の長さは多くの社会人のストレスの原因であり、その減少が見込めます。余暇時間の増加によりプライベートを有効に使えることで、ワークライフバランスの充実に繋がり、QOL(Quality of Life)の向上が見込めるなどが大きなメリットとされています。半面、オフィスで同じエリアや近くの席で業務を行うのと違い、テレワークでは互いに別々の場所にいるためコミュニケーションの頻度が下がるデメリットが指摘されています。

 

 この度、エン・ジャパン株式会社では「職場でのコミュニケーション」についてアンケート調査を実施し、8948名から回答を得て、結果を公表しました。それによりますと6割超がコミュニケーションが取れている」と回答し、理由のトップが「コミュニケーションに積極的な風土がある」こととしています。コミュニーケーションが取れていることで感じる効果として、上位は「働きやすさ」「チームワーク」としており、一方、コミュニケーションが取れないことで影響を受けるのは「ストレス」いう結果になりました。コロナ禍でテレワークの積極的な推進など多くの企業で実施され、時間管理の難しさや作業効率の低下など多くのデメリットも併せて指摘されましたが、コミュニケーションをとる時間を意図的に図るなど多くの工夫がされているようです。

 

 

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2021年

11月

14日

転職に関する調査について

 厚生労働省では、このほど令和2年転職者実態調査の結果を取りまとめ公表しました。転職者の採用状況、就業意識の実態を把握すること目的として行われるものですが、人材の定着や人材の確保を図ろうとする企業においては一読したい内容になっています。これによると、令和元年10月1日~令和2年9月30日に転職者した者について、転職後の勤め先を「満足」・「やや満足」とした割合は53.4%、一方「不満」・「やや不満」とした割合が11.4%でその差で表す「満足度指数」は42.0ポイントとなっています。なお、「満足度指数」を男女別に見ると、男性の46.5ポイントに対し、女性は35.9ポイントとなっています。転職者が直前の勤め先を離職した主な理由は「自己都合」が最も高く76.6%となっています。

 

 離職理由(3つまでの複数回答)は、「労働条件(賃金以外)が良くなかったから」が28.2%で最も高く、ついで「満足のいく仕事内容でなかったから」が26.0%、「賃金が低かったから」が23.8%となっています。転職者が現在の勤め先を選んだ理由(3つまでの複数回答)は、「仕事の内容・職種に満足がいくから」41.0%で最も高く、次いで「自分の技能・能力が活かせるから」が36.0%、「労働条件(賃金以外)が良いから」が26.0%となりました。コロナ禍により転職の理由も変化していますが、テレワークを含め多様な働き方・柔軟な働き方を会社が積極的には採ろうとしているのかも、現在は重要な理由となっているようです。

 

 

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2021年

10月

31日

副業・複業の広がりについて

 総合人事・人材サービスを展開するアデコ株式会社は、上場企業に勤務する30代から50代の管理職を対象に「副業・複業に関するアンケート調査」を実施しました。この調査は2018年にも実施しており経年による意識の変化についても分析しており、今後の働き手不足に対応せざるを得ない中小企業にとっても興味深い調査になっています。勤務先で副業・複業が認められているかについて聞いたところ、「認めており推進している」(8.0%)「認めている」(29.2%)を合わせて37.2%と約4割の企業が認めていることがわかりました。これは2018年の22.8%より高い数値で3年間で許容度が高まったことがわかりました。

 

 一方で「禁止している」という回答が51.8%あり、依然として半数以上で禁止されていることがわかりました。副業・複業が認められた時期につての質問では2020年1月以降が53.2%とコロナ禍により働き方の多様性の高まりとともに許容度が高まったことが推測されます。勤務先で認めらている理由については、「本人のスキルアップにつながるから」(50.0%)がトップで、2018年の調査の32.8%の2位からアップしています。次が「イノベーションや新規事業の創出につながるから」(64.2%)「従業員の収入増につながるから」(30.5%)と続きます。2018年と比較すると2021年はより長期的な視点によるメリットが上位に上がってきており、副業・複業に対する期待感にいも変化が表れてるという分析がなされています。

 

 

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2021年

10月

27日

ドラッカーと人事制度

 気がつけば今年もあと3月で年の瀬です。日に日に秋の景色に染まり、ちょっとした近場のお弁当持参のハイキングが楽しみな季節です。コロナ禍で前のような生活には戻らないことは実感しますが、自分の仕事を含めてイノベーションが必要な時代であることには間違いがないようです。持続可能な社会の実現に向けて、2030年までのSDGs活動と取り組みはあらゆる企業や組織にとって重要です。うちの事務所は「8 働きがいも経済成長も」をテーマとして、働く人にとっての働きがいと企業の生産性向上を人事制度へどのように「仕組み化」できるかが毎日の仕事となっています。

 

 生産人口減少へ向かい第1ステップとして、衛生管理である労務・安全衛生体制の適正化・適格化への取り組み、第2ステップとして現在の人材減を想定した業務改善とデジタル化の生産性向上への取り組み、第3ステップとして新たな価値創造ためのイノベーション人材の育成と経営体制への取り組みが必要です。企業・組織ごとの課題もありイメージ通りにいかないのが当たり前で、全体像から各パーツの部分適格の取り組みを地道に続けていくことになります。人事制度の構築にあっては、職務分析から記述までのプロセスを社員研修で伝えて、要件定義をまとめて等級制度へ転換することとしてきました。職務要件書は、現場で使うもので人事制度の連携で回るものと考えていました。

 

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2021年

10月

09日

高齢者雇用の実態と課題

 今年4月から高齢者雇用安定法が改正され65歳までの雇用確保が義務化され、70歳までの就業確保が努力義務化されました。65歳までの高齢者雇用の状況は、令和2年高年齢者雇用状況調査(厚労省)によれば、継続雇用制度の導入(76.4%)他、定年引上げや廃止などほぼ100%に近い状況にあります。60歳以上の常用労働者は、団塊の世代が70歳代に到達したこともあり平成28年から令和2年までの4年間で、70歳代の常用労働者が40.3万人増加しています。これは同期間の60歳台前半(22.2万人)、60歳台後半(22.2万人)を大きく超えています。少子高齢化の進展に伴い、労働者の増加≒高齢の常用労働者の増加とうのが実態です。

 

  株式会社マイナビでは、この度、現在就労している40代~70代男女を対象とした「ミドルシニア/シニア層の就労者実態調査(2021年)」を発表しました。60~64歳の半数以上(50.8%)が、65歳を超えても働き続けたいという意欲が見られました。ミドルシニア/シニア層の就労目的は、「自分の生活費のため」(68.8%)が最も高く、次いで「貯金をするため」(51.2%)「家族の生活費にため」(50.9%)となっています。70歳代は特に健康維持や時間の有効活用、人との交流や充実感を得るためなど生活の充実ために働く傾向が強いようです。雇用形態別にみると全体と比較して正社員は生活費やローンの支払い、子ども関連の支出といった生活防衛のために働いている傾向が強いなど、雇用形態や年代によっては働く目的が大きく異なることがわかりました。

 

 

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2021年

9月

26日

労働者確保へ向けた動き

 この度、労働政策研究・研修機構から「第4回新型コロナウイルス感染症が企業経営に関する調査」(一次集計)が公表されました。新型コロナの影響は、飲食・宿泊・運輸業等で厳しい状況が続くなど業種間格差が大きくなっています。一方、企業の人出不足感は根強く、経営環境が好転する企業がある中で、3割弱の企業では1年後の労働者の増加を見込んでいます。コロナ禍前の2019年12月と比較した企業の2021年5月の労働者は増加17.9%、減少19.3%となっていますが、1年後の見込みは増加28.0%、減少8.5%と労働者の雇用を考える企業が増えています。

 

 しかし、2021年5月の企業の生産・売上額等をコロナ禍前2年前同月と比較すると、過半数の52.1%の企業がコロナ禍以前の生産・売上等の水準に戻っていません。引き続き厳しい経営環境にある企業が多いことが推測されます。同月の労働者の過不足状況をみると「過剰」「やや過剰」合計18.1%、「不足」「やや不足」の合計32.7%と不足感の方が高くなっています。また、同月の生産・売上等の水準が今後も継続する場合に、現状の雇用を維持できる期間について「半年以内」(18.8%)「1年以内」(31.7%)が雇用を維持できるとしています。一方、「雇用削減の必要はない」(39.6%)、「2年以上雇用削減に予定はない」(24.8%)となっていて雇用維持のスタンスが強まっているように見えます。

 

 

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2021年

9月

12日

来春中小企業に拡大するパワハラ防止措置の義務化

改正労働施策総合推進法が2021年6月1日に施行され、大企業については職場におけるパワーハラスメント防止のための雇用管理上の必要な措置(パワーハラスメント防止措置)が事業主の義務になりました。このパワーハラスメント措置は、来年4月1日から中小企業においても義務化されます。厚労省で実施する令和2年職場のハラスメントに関する報告書によるrと過去3年間でセクハラなどの各ハラスメントを1度以上経験した割合はパワハラが31.4%となりセクハラの10.2%を大きく上回っています。実務でもパワハラの解決に向けての相談が年々増えていますが、被害者・加害者の前提のズレなど、難しい課題になることが多いようです。

 

 パワーハラスメント防止措置は、「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」「事実関係の迅速かつ適切な対応」「そのほか併せて講ずべき措置」の4点がポイントになります。具体的に何をすればよいのかがイメージできないと言う声も多く聞きます。平成23年度に実施された、職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキンググループ報告で提言された「予防・解決に向けた7つの取り組み」があります。パワハラのみならず、セクハラ・マタハラ等にも運用可能なものです参考にされると良いと思います。また、各取組を進めるにあたって厚労省「明るい職場応援団」のサイト上「パワーハラスメント対策導入マニュアル」がお勧めです。

 

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2021年

9月

04日

再び上昇する人出不足感・・・

 昨年12月、日銀短観において、景況感が回復している中、コロナ禍の後遺症の側面ではなく将来の経済低迷を示唆する労働力の不足という課題が示されました。短観発表時、労働需要の逼迫感はやわらぎましたが、リーマンショックとの比較がされますが、有効求人倍率0.5倍程度で推移した時代とくらべものにならないほど労働力不足の深刻な状況が続くそうです。帝国データバンクが発表した「人出不足に対する企業の動向調査-2021年7月)では、過剰感が続く業種もありながら、多くの業種で人出不足感が高まっているようです。正社員の人出不足割合は、昨年5月の29.1%を底に再び上昇傾向がみられ、今回の調査では40.7%となっています。

 

 正社員の人出不足割合は前年同月比10.3ポイントと大幅に増加し、非正社員も5.9%と増加しています。業種別には「建設」では57.5%と最も高い割合になり、「自動車・同部品小売り」や「運送用機械・器具製造」など自動車関連の業種が上位にあがりました。非正社員が不足する企業は22.5%となり、業種別では、「飲食店」や「各種小売」といった個人消費関連の業種が上位にあがりました。新型コロナウイルスにより経済活動に大幅な制限を受けている「旅館・ホテル」などの業種では、人出の過剰感が依然として高水準にあります。企業の好況感は業種によってK字回復の様相が強まりつつあり、その雇用情勢も業種によって温度差が見られます。

 

 

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2021年

8月

15日

テレワークの今後について

 先日、総務省の委託事業としてテレワーク推進に当たる事業体からの依頼で「テレワークの基本と労務管理」という演題で、WEBセミナーの東北地区講師を務めました。緊急事態宣言の発出が多い首都圏等に比べて、東北の企業ではテレワークの関心も薄いようで、セミナーの応募企業も定数に満たなかったようです。また、ある企業のテレワーク・リモートワークに関する今年6月時点での調査では、「リモートワークは行われずに、以前の働き方と変わらない」とする回答が55.8%と、昨年春の緊急事態宣言以降、何とかテレワークを導入したもののデメリットを解消できずに出社中心の勤務に戻ってしまった企業も多くあるようでです。テレワークといえば在宅勤務との発想が強く、該当する業種・業務も限られてしまうと考えるのかもしれません。

 

 テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用かていせいたした、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方を言います。就業場所によって自宅などの仕事の場所とする在宅勤務、自宅近くや会社途中の場所に設けられた事務所でのサテライトオフィス勤務、労働者が自由に働く場所を選択できるモバイル勤務などがあります。業種的にテレワークができない、又は職場のすべてがテレワーク出来るわけではないという回答のほか、会社のペーパーレス化が進んでいない、ネットワークの準備が進んでいない、個人用のノートPCがないなど、オンライン化、システム化の準備が進んでいないとの回答の多くあります。また、経営者や会社の方針として「テレワークをしない」と判断している会社も多いのも事実のようです。

 

 

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2021年

8月

06日

コロナ禍における女性の人生観・仕事観の変化

 2021年版男女共同参画白書によると新型コロナウイルスの感染拡大で、女性の非正規労働者や母子世帯など弱い立場にある人が影響を受け「男女共同参画の遅れが露呈した」と指摘されています。白書によると、1度目の緊急事態宣言が発令された2020年4月の就業者数は、その前月と比べ男女ともに大幅に減少しましたが、男性が39万人の減少だったのに対し、女性は70万人の減少と、1.8倍近く女性の減少幅が大きかったようです。このコロナ禍で顕在化したさまざまな男女共同参画の課題を解決し、未来を切りひらいていかなければ、ジェンダー・ギャップ指数2021で世界156カ国中120位のわが国はさらに世界に遅れをとってしまう恐れがあります。

 

 総合人事・人材サービス事業を展開する「アデコ」では、日本全国の男女800人を対象に「コロナ禍が、人生観および仕事観にどのような影響を与えているか」をテーマに調査を行い、この度その結果を公表しました。今後の人事・労務の考え方にも影響のあるテーマでしたので、取り上げてみたいと思います。まず、前回の4割がコロナ禍の影響で「今後の生き方について考えが変わった」と回答していますが、女性45.5%に対して同様の回答した男性は34.1%と10ポイント以上の差がありました。年代別では、20代・30代では45.0%がコロナ禍の影響で人生観が変わったと回答しましたが、40代・50代では同じように34.0%にとどまり、こちらも10ポイント以上の差がありました。

 

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2021年

7月

26日

令和3年最低賃金の行方

 厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会は、令和3年度の最低賃金について時給を全国一律28円引き上げるよう求める答申を示しました。新型コロナウイルス禍を踏まえ提示を見送った前年から一転し、全国平均として過去最大の引き上げ額となります。コロナ禍でダメージを受ける労働者の生活を安定させるために、最低賃金の着実な引き上げは重要ですが、雇用する側も中小企業を中心に、前年からのコロナ禍で経営難に直面していることに配慮する必要があります。

 

 政府や労働界はすでに引き上げを主張していますが、商工会議所などの中小企業加盟団体が新型コロナウイルス禍では雇用の維持を優先し最低賃金は据え置くべきだと反論して対立が先鋭化しています。この動きに労働組合の中央組織である連合は「仮に時給1000円で年間200時間働いても、年収は200万円にしかならない。日本の最賃は先進国の中で置いてきぼりなってる」として、政府と足並みをそろえ引き上げを求めています。確かに、日本では地域別最低賃金の全国加重平均は、フルタイム労働者の平均賃金(中央値)の約40%にすぎず、OECD加盟国内では最低レベルです。フランスは60%、イギリス、ドイツ、韓国が50%で、かつ全国一律の金額になっています。早期の最低賃金1,000円の実現が求められる背景にはこのような事情があります。

 

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2021年

6月

26日

コロナ年内収束は、「ほぼない」とするアンケート調査

新型コロナウイルスのリバウンドが懸念されますが、オリンピック開催が決定しました。そんな中、東京商工リサーチでは「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査が2021年6月1日~9日にインターネットによるアンケート調査を実施し有効回答10,828社を集計し、このほど発表しました。「ワクチン接種に向けた取り組みが進みつつありますが、コロナ禍が収束するのはいつ頃だと考えますか」との質問に、年内12月までとの回答は17.7%にとどまり、約25%の企業が後1年以上は続くとみているようです。新型コロナ発生が及ぼす企業活動の影響は、現在も継続していると答える企業が71.3%に及びました。

 

 昨年5月25日に首都圏に発令されていた緊急事態宣言が解除されましたが、昨年5月の売り上げを「100」とした場合、今年の5月の売り上げをたずねました。「影響がでたが既に収束した」「影響が継続している」と答えた6,513社から回答を得、「100」以上56.0%(3650社)、43.9%が前年割れでした。また、前年同月と比べ半減した企業を業種別に分析したところ、花卉や文具、印章等が含まれる「各種商品卸売業」がトップとして「身の回り小売業」旅行や葬儀、結婚式場などを含む「生活関連サービス」が続きます

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2021年

6月

06日

これからの人材開発を考える

 少子高齢化の進展による人手不足、AIなどの技術革新、新型コロナウイルスによる新しい働き方など、働く人を巡る労働環境は大きな変化に直面しています。そうした環境下で、企業の従業員に対する能力開発や労働者自身のキャリア形成は、働き方改革の方向性であるジョブ型人事制度への移行においては必須の課題になっています。ジョブ型人事制度では、職務等級人事制度を基盤として、能力開発と評価制度、給与制度が連動する仕組みになりますので、企業の求める能力についての学習機会は一定の期間は企業責任で行う必要があります。長期雇用システムの変化や多様な雇用形態の進捗等、国が目指す働き方改革と人材開発、JILPTがこの度発表した、日本の今後の人材開発の課題についての調査・研究について紹介したいと思います。

 

 今年から5年間を適用期間とする「第11次職業能力開発計画」では、産業構造・社会環境の変化を踏まえた上で、実践的な職業能力の開発の向けたOJTやOFF-JTの機会の重要性を指摘し、人材育成において企業の役割が

引き続き大きいことが強調されています。日本の職業能力開発の特徴は、従前のメンバーシップ型人事制度の考え方から企業主導で行われる傾向が強いです。個々人の能力開発より従業員全体の底上げ教育に力を入れていることやOJTがOFF-JT・職場外の学習より重視されることなども特徴になります。これからのジョブ型人事制では、職業に関する能力を自発的に開発し向上させるための活動(自己啓発)が主力となってきます。しかし、「能力開発基本調査」(厚労省)によれば労働者の29.8%(2018年度)、自己負担費用\27,700(2018年)で、個人主導の能力開発への移行はまだまだ時間がかかりそうです。

 

 

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2021年

5月

23日

労働時間の短縮に向けた企業の対策

 働き方改革は、働く人たちが個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにするための改革です。日本が直面する少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や働く人たちのニーズの多様化などの課題に対応するためには、日本の長時間労働の悪しき習慣をなくしていかなければなりません。昨年4月からすべての企業に時間外労働の上限規制が適用されています。そのような中、厚生労働省では昨年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督に実施結果について5月7日付け公表しています。

 

 今回の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の「使い捨て」あが疑われる事業場などを含め、労働基準関連法の違反が疑われる9,120事業場に対して集中的に実施されたものです。実施結果は、全体の71.9%にあたる6,553事業場で労働基準関係法令違反が認められ、違法な時間外労働があったものが2,807事業場、賃金不払残業があったものが476事業場、過重労働による健康障害防止措置が未実施おもんが1,829事業場の結果でした。事業規模別の監督指導実施の事業場数を見ると、従業員29人以下の事業場が全体の7割と規模の小さい事業場での対応の遅れが目立つようです。業種別では製造業・商業での監督指導が目立ちました。

 

 

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2021年

5月

09日

消える生活給・同一労働同一賃金の行方

 同じ企業内で正社員とパートタイマーなどの非正規社員間の不合理な待遇差をなくし、多様で柔軟な働き方が選択できる法律が、今年4月からすべての企業に適用されるようになりました。多くの企業で、正社員の報奨として扶養手当や住宅手当などの生活に係る諸手当を支給していますが、非正社員に支給がない場合は違法判断となりかねない状態が続いていることになります。弊事務所への多くの相談では、「正社員の手当をなくすことができるか?」の質問が多いのですが、労働条件の不利益変更にあたり簡単にできるものではありません。

 

 扶養手当や住宅手当などの労働者間の待遇差について争われた、注目の日本郵便3事件について、最高裁は契約社員の労働条件について「不合理」の判断が昨年10月に示されました。生活給に係る手当等の最高裁判決が確定した以上、企業の対応が迫られることになります。2つの手当について日本郵便大阪事件では、「扶養親族者の生活保障をすることで継続的な雇用を確保する」というのが企業側の主張でした。有期契約の非正規社員であっても更新を繰り返し、比較的長く働いている場合、たとえ正社員と職務内容が違っても扶養手当を支給しないのは不合理であり、非正社員にも扶養手当を支給すべきと言ってます。

 

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2021年

4月

18日

2021年度の業績・収益の増減予想

 国内景気は、新型コロナウイルスの影響により経済活動が左右される状況が続いています。新しい生活様式に対応した需要創出など徐々に明るい兆しが見え始めているものの、一部地域では「まん延防止等重点措置」が適用されるなど、収束の時季は未だ鮮明には見えていません。この度、帝国データーバンクでは、2021年度の業績見通しに関する企業の意識について調査(2021年3/18~3/31 )を行い、全国11,261社の有効回答を得て結果を公表しました。2021年度の業績見通しを「増収増益」とする企業は前回調査(2020年3月)から13.9ポイント増加し、27.4%となり、一方、「減収減益」を見込む企業は18.4ポイント減少の26.0%と増減が拮抗とする結果になりました。

 

 業種別でみると「増収増益」では、自動車・同部品関連の「郵送用機械・器具製造」が40.4%がトップなり、次いで「飲食業」が39.0%と続き、「旅館・ホテル」など2020年度に大きく打撃を受けたサービス業が上位に並びました。一方、「減収・減益」では2020年度に活況な内職需要によって好調だった総合スーパーを含む「各種商品小売」が38.1%で最も高く、次いでアパレル関連「繊維・繊維製品・装飾」における製造と卸売(37.7%)、公共工事に支えられ好調だった「建設」(35.8%)などが上位となりました。ワクチン接種の本格的な開始による経済活動の正常化に向けた動きを受け、穏やかに上向いていくと見込まれていますが、新型コロナの動向次第といえる状況のなかで、2021年度業績見通しは、業種により増収増益と減収減益が拮抗する結果になりました。

 

 

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2021年

4月

12日

変異コロナウイルスからの企業防衛対策

コロナウィルスの変異による感染の広がりから、政府はまん延防止等重点措置」の適用対象に、感染が拡大する東京、京都、沖縄の3都府県を12日から追加することを決定しました。今後、変異ウイルスは全国に拡大しそうな状況にあり、ワクチン接種の遅れも重なり、企業の事業継続の計画見直しが必要な時期にきています。感染予防として、マスクの着用や手洗い・消毒などは1年以上の経験を経て国民の多くが実践しています。政府は企業の対策としてテレワークや時差出勤を推奨していますが、業種・企業の事情からなかなか進まないのが現実のようです。強い感染力を持つ変異型コロナウイルスの対策は、飲食店のみならず多くの事業所での取り組みは大事ですが、山梨県の「やまなしグリーンゾーン認証制度」について紹介したいと思います。

 

 感染症の対策で重要なことは、公衆衛生に関する情報を発信する政治・行政のありかたとその信頼度につきると思います。山梨県は、県民に対しては身体的な距離確保、マスク着用、手洗いなどの基本的な感染対策を訴え、企業には山梨県が示す基準に適合した施設に「やまなしグリーンゾーン認証」を付与し、劇場や運動施設など不特定多数の集客を行う施設の対しても事業の制限をかけていません。感染予防対策を徹底した事業継続計画をたてれば、必然的に感染状況に応じた入場制限を行うことになり、事業者の裁量の任せても感染予防の実効性が高まると思います。県内の市町村に対しても県と共同してグリーンゾーン制度の普及につとめ、県民の感染予防対策と相まって時短要請をかけずとも、マスク飲食も当たり前に行われ通常営業を可能としています。

 

 

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2021年

3月

30日

女性の労働環境を考える

 2016年4月に施行された女性活躍推進法は、働きたい女性が活躍できる労働環境を企業に義務付けることで、自女性が働きやすい社会を実現することを目的として10年間の時限立法として施行されました。来年4月には、現在努力義務とされる雇用する労働者が101人以上の企業も実施の義務を課せられますが、女性の就業率が7割を超える日本の現状からも事業規模に限らず労働環境の整備は必須です。日本は少子高齢の影響が現在・将来の労働力不足を女性に頼らざるを得ない実情があり、ワークライフバランスを保つためにも多様な働き方を許容する社会・企業の取り組みが必要です。

 

 この度、公益財団法人日本財団は女性の意識調査「第3回少子化に対する意識・国際比較」調査の結果を公表しました。日本および海外7か国の18歳~69歳女性を対象にインターネットによる調査を行いました。自国の少子化の現状について尋ねた結果、「問題あり」としたのが日本、韓国、イタリアで7~8割を占める結果になりました。「問題なし」は、アメリカで5割を超え、フランス、デンマーク、スウェーデンで45%前後が問題はないと答えています。少子化の何が問題になるのかの問いには、各国とも「高齢世代を支える若者世代の負担が過大になること」が最多の答えになっていますが、日本では8割を超え、中国、韓国でも7割を超えるなど特にアジア圏では大きな理由になっているようです。次ぐ理由として日本では「公的医療や社会保障制度の財源がきびしきなるから」「社会や経済の縮小に繋がるから」など、少子化の問題意識は高いようです。

 

 

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2021年

3月

16日

コロナ禍からの回復に向けて

 新型コロナ感染拡大により1都3県では緊急事態宣言の延長が続いていますが、ビジネスの世界ではコロナ禍後の回復に向けて動き出しています。日本生産性本部では、2021年度にビジネスに影響を及ぼす外的要因や重点的に取り組む経営課題、人的資源管理の課題について日本を含む41か国の経営幹部1,538名に対して行った、表題の意識調査の結果を公表しました。企業ではコントロールできない外的要因について、日本、ドイツのCEO回答は「新型コロナウイルス感染症」「景気後退のリスク」「消費者・顧客の購買行動の変化」が1~3位となっています。アメリカでは、ほかに「ワクチンの供給体制」「規制」「法人税率」が上位にあり、新政権の政策の影響を危惧しているようです。

 

 企業が取り組む経営課題については、各国共通で「デジタルトランスフォーメーションの加速」「イノベーションの促進」と併せて「業務プロセスの効率化」「コスト削減」が重視されており、分子である生産の付加価値と分母の投入リソースを同時に改革することで、傷んだビジネスモデルの回復と成長の両方を追求する意図が読み取れると結論づけています。日本企業の経営課題の特性として、「組織内コミュニケーションの透明性の向上」が他国に比べ高い比率であげられていますが、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への転換期に加えて、新型コロナウィルス感染症拡大の伴うテレワークの拡大で日本型雇用の弱点が課題となったのでは?と推測されます。これは、大企業・中小企業を問わず日本的課題だと思われます。

 

 

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2021年

3月

07日

新型コロナ感染拡大の企業・家計の影響

 新型コロナウイルス感染症やその予防措置の影響等を把握するために、労働政策研究・研修機構(JILPT)では、5月、8月のパネル個人調査に続き昨年12月の調査の結果を1月に公表しました。この調査は、昨年8~11月の変化を中心に12月に調査されたものですが、自身の雇用や収入にかかわる「影響があった」との回答は、4月の緊急調査時の35.4%、非常事態宣言下にあった5月調査で42.8%に上昇したものの、8月調査で39.8%の低下し、今回の12月調査では40.4%では40.4%とほぼ横ばいで推移しています。具体的な内容(複数回答)で見ると、「勤務日数や労働時間の減少」が低下する一方、「収入の減少」は引き続き上昇(「5月調査」54.5%→8月調査59.6%→12月調査65.8%)し、新型コロナ感染症に関連した影響の中心が「収入に減少」に大きくシフトしています。

 

 今年1月からの11都道府県に対する非常事態宣言においても推奨される在宅勤務・テレワークに関する調査結果も公表されています。新型コロナ感染症の問題が発生する前の通常月では、73.8%が在宅・テレワークを「行っていない」と回答していたものが、5月第2週(6.2%)と顕著に低下した後、5月最終週(23.7%)にはすでに揺り戻し、11月最終週において「行っている」(55.0%)と7月最終週からほぼ横ばいで推移しています。在宅勤務・テレワークを行える会社・仕事にありながら現在は行っていない理由や日数が減少している理由を尋ねると(複数回答)「緊急事態宣言が解除されたから」「在宅勤務。テレワークでできる仕事が限らるから」等が挙がりました。オフィスのみで働く場合と在宅・テレワークを行うことの変化を尋ねると、「仕事の生産性・効率性」について、「低下する」(66.2%)、「変化なし」(21.1%)、「上昇する」(12.7%)となり、効果的な実施が今後の課題になりそうです。

 

 

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2021年

2月

23日

SDGsと中小企業の取り組みについて

 SDGsをビジネスチャンスにつなげようと取り組みを始める中小企業が増えていました。取り組み内容や方法など企業が作り出すために、手探りの状態でSDGsに向けた取り組みを進めている中小企業が大半なんだそうです。新規事業を立ち上げる際、事業のアイディアは次から次と浮かんできますが、自分たちの会社は何を目指し、どのように社会に役立つかを考えずに,顧客の確保や売り上げに期待してもうまくいかないことが多々あります。早い段階で企業理念やビジョンを会社全体で共有し、商品やサービスなどにより社会にどんな価値を生み出すかの発想が決まれば、目標などの数字も固まり経営計画もきちんと立ってきます。SDGsの取り組みも全く同じで、会社のミッションやビジョンを社内で共有する必要があります。

 

 SDGsには、2030年のあるべき姿を描いた17の目標と、それら目標を達成するために具体的な169個のターゲットが設定されています。中小企業がSDGsに取り組むメリットとして、取り組みが取引先や消費者に浸透して企業のイメージ向上につながります。企業イメージが良いと消費者は価格に左右されずにその企業の商品やサービスを選択してくれ、大手企業やサプライヤーもSDGsに配慮する企業を確認する動きもでてきており、企業の生存戦略につながる時代の到来といっても過言ではありません。環境問題や人権の尊重、格差の是正など社会的な課題に対応する企業の姿から、社員の働きがいや生産性の向上につながり、これまでの企業活動からビジネスにおけるパートナーとして新たな事業を創出する機会が生まれます。

 

 

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2021年

2月

11日

企業の人材育成と能力開発の現状について

 日本型雇用システムでは、企業戦士である男性正社員を主力に、女性は将来、専業主婦になることを前提に補助的業務を担う一般職につこうとする人が多数でした。システムの大きな変動は1990年代に専業主婦世帯数を共働き世帯数が逆転し、一つの企業で男性の収入だけで退職まで家庭生活を支えることが難しくなりました。今では多くの世帯で夫婦ともに働き、家事を分担することが常識になっています。日本型雇用システムでの常識である個々の労働者の職業生活を企業が丸抱えしている問題、この解決として期待できるのが働き方改革の各施策です。労働者が主体的にキャリア展開を考えなくてよい優しく過保護の時代は終わろうとしています。この度、労働政策研究・研修機構よりタイトルの調査結果が公表されましたので、紹介します。

 

 ジョブ型の働き方では、新卒者の一括採用といったこともなく、就職するために習得したスキルを発揮できる就職先を考え、企業での経験の蓄積しながら、自らのキャリア戦略を描き実践していきます。キャリア展開を企業に任せてきた日本の労働者とは根本的に違います。人材育成・能力開発の調査でも、変革が求められる日本企業にとって大事な年になりそうです。しかし、人材育成・能力開発について特に方針を定めていないとする企業が29.6%に上り、2016年の前回調査の18.2%を大きく上回り、規模別では9人以下の企業で4割超(42.2%)と特に高い結果になっています。取り組み方針について「今いる人材を前提にスキルアップを目的とした能力開発」(34.4%)、「個々の従業員が当面の仕事をこなすことを目的とした能力開発」(24.7%)、「数年先の事業展開を考慮し必要となる人材を想定した能力開発」(11.5%)という結果でした。コロナ禍で、多くの業種で事業の変革が求められ時代にあっては、将来を見据えた人材育成が最も必要と考えます。

 

 

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2021年

2月

02日

70歳までの就業機会確保と業務委託制度

 今年4月1日より改正高年齢者雇用安定法が施行され、これまでの65歳までの雇用確保の義務に70歳までの就業確保の努力義務が追加されました。2020年12月に実施された、「マイナビ人材ニーズ調査」によれば、2021年4月1日の段階でどのような対応を行うか聞いたところ、「いずれの対応も行わない予定」が35.0%、次に「70歳までの継続雇用制度の導入」が22.4%、「希望者と70歳までの業務委託契約を締結する制度」の導入が15.3%と5つある選択肢で「業務委託契約制度」導入が2番でであることが私としては意外な結果でした。また、2021年4月時点での定年年齢について「61歳以上」が52.3%で過半数を超えました。今のところ努力義務の70歳の就業確保の制度も、65歳定年制度の義務化も含め、対応を検討する時期にきているようです。

 

 70歳までの就業確保は、以下の措置を講じることが選択できます。

 ①70歳までの定年引上げ

 ②定年制の廃止

 ③70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

 ④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

 ⑤70歳まで継続邸に以下の事業を従事できる制度の導入

  a,事業主が自ら実施する社会貢献事業

  b,事業主が委託、出資(資本提供)等をする団体が行う社会貢献事業

いずれの措置を講ずるかについては、労使間で十分の協議を行い、高齢者のニーズに応じた措置を講じることが望ましいとされます。65歳までの雇用確保義務の経過措置期間が完了するまでの2025年までこれ以上の法改正が行われないことを示していますので、この間に準備ができます。

 

 

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2021年

1月

24日

今こそ目標管理の制度導入

 従業員のスキルアップや能力開発につなげるため、人事制度や課題解決研修などに目標管理(MBO)を行う機会が増えています。目標管理(MBO)は、企業戦略や経営計画を具体化して、達成するための目標をさだめ、達成するために何が必要かを自ら考えることのプロセスが社員育成に有効な方法として多くの会社で利用されているようです。上司からの課題ではなく、自ら決めた目標であるのでやりがいや責任感が伴い従業員のモチベーション向上に効果があると言われています。

 

 目標管理(MBO)のプロセスは、①目標の設定②計画と実行の進捗・達成度の確認③評価とフォローアップを部下・上司の面談で確認して行います。目標の設定時に組織全体の目標を部下・上司の間で共有し、目標が達成されれば企業にどのような貢献が達成可能かを確認しておきます。往々にして容易に目標を達成でいるレベルの目標を定める人がいますが、上司はコーチングスキルを駆使して、部下の能力の110%に修正する必要があります。目標管理の実際では、目標設定から評価まで、面談を行わないという話を巷でよく聞ますが、中間の面談で計画と実勢のギャップの確認と評価、修正を行うことがMBOの真骨頂です。PDCAのフィードバック分析から、課題解決の能力を磨くことができるのが、提唱者のドラッカーの目指すアプローチです。せっかく始めたら中間の面談を行わないのは、もったいないです。

 

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2021年

1月

16日

コロナ禍の人材ニーズ

 2020年の採用実績は前年に比べ正社員は横ばい、非正規社員は減少、2021年の採用予定数は全雇用形態で増加とする「マイナビ人材ニーズ調査」が発表されました。新型コロナウイルスの影響で依然先行きに不透明感があるものの、来年に向けた採用意欲は正社員・非正社員に関わらず増加傾向にあることがわかりました。正社員で最も募集割合が高かった職種は新卒・中途いずれも「営業」で、非正社員では「事務・データー入力・受付」でした。採用理由をみると「専門能力や技術を持つ人材の獲得」のニーズ高くなっています。

 

 採用・人事施策に関していくつかの例を示して2030年までに重要性の変化について聞いたところ「重要性が高まると思う」の割合が最も高かったのは、「中途採用を中心とした中核人材の確保(主任~マネジャークラスを想定)」で41.1%でした。続いて「新卒採用を中心とした若手人材の確保(第2新卒を含む)」(40.3%)、「ワークライフバランスへの取り組み」(36.9%)、「業績を重視した人事評価」(36.6%)となりました。多様な働き方の拡充や労働力確保のため採用に関して期待する能力は、若手世代では「労働力」「健康・体力」「社内活性化」と続き、40歳~65歳以上の世代のいずれの世代でも「経験値・スキル」が共通して高くなりました。ミドル・シニア世代の転職が増える可能性がありそうです。

 

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2021年

1月

06日

職場クラスター発生と企業責任

 明けましておめでとうございます。希望にあふれる新春のはずが、コロナ感染拡大に伴い、1都3県への緊急事態宣言が今週中に発布されるようです。感染拡大地域では働く人の感染を防ぎながら継続して事業を行わなければ医療や福祉の業種、今回も飲食店などは事業の自粛や営業時間の短縮などの要請を受け経営上辛い時期を過ごさなければならない業種があります。本当に気の毒です。一般の事業では、感染状況を確認しながら感染防止のためテレワーク等の対策など求められ、事業を継続する業種・企業の対策は多様にあると思います。職場の感染防止対策を講じながら従業員の安全と健康を守ることは経営上の義務であり(労働契約法第5条)これを怠ると感染による被害に対して損害賠償を請求されることも考えられます。従業員が感染する事態が現実味を帯び企業としても様々な対応を迫られています。

 

企業は安全配慮義務(労働契約法第5条)を負っており、「労働者が労務提供のために設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示の下に労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等の意見から保護するように配慮すべき義務」とされています。最高裁判決(昭和59年4月10日第三小法廷)において使用者の安全配慮義務の具体的内容は、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等安全配慮義務が問題となる当該具体的状況によって異なるとされています。労働者が結果として業務遂行中に新型コロナウイルスに感染しても、直ちに使用者による安全配慮義務違反になる結果債務ではありません。使用者が新型コロナウイルスへの感染リスクと感染経路の情報収集と適切な理解、公的な機関が公表する予防方法や対応措置の理解や合理的な衛生上、業務上の措置を適切に遂行できていることが重要になります。具体的な法的問題の事例と対策について以下のようになります。

 

 

 

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2020年

12月

24日

中小企業の人事評価制度

 同一労働同一賃金の推進により、従来の日本型雇用形態である「メンバーシップ型」から「ジョブ型」へと人事制度全体を、大企業を中心に大きく舵を切ろうとしています。コロナ禍の一定期間、多くの企業で事務や企画など職種を中心に在宅勤務を実施した結果、慣習的に継続されていた業務が時間や環境の制約によって不要な業務が明確になり、業務そのもの見直しや勤務制度の見直しから必然的に「ジョブ型」へ変化していったようです。同時に従来の社員の職務上の態度・ふるいまいが評価軸であったものを、成果が報酬に反映できる仕組みにするという人事評価の課題が浮き彫りになりました。働き方改革により勤務時間・体制の見直しが進む中、コロナという外的要因が一挙の加速させたのかもしれませんが、中小企業のおいても「ジョブ型」への転換が、アフターコロナ時代には解決すべき課題になりそうです。

 

 大企業では、期待する職務の遂行能力により従業員の序列づけを行う「職能資格制度」を導入している企業が多数です。従業員に様々な仕事、経験させることで人材育成面に大きな効果を発揮してきたのも事実ですが、ジョブ型として個人能力を評価の基準を付加するなど人事評価の変革に取り組む企業も増えています。日立製作所のジョブ型雇用の取り組みは知られていますが、ジョブ型の人事評価の特徴は「明確にされている職務の結果や青果物のみで評価する」としており、メンバーシップ型(職能資格制度)で重視されるプロセス評価はほとんどありません。来年7月から国内従業員の約7割にあたる約2万3千人をジョブ型人事制度の対象とすることを表明しています。中小企業がジョブ型に移行するために必要なことは仕事を明らかにすることです。まず職務を洗い出して、具体的な仕事の遂行基準と能力の格付けを行い、職務基準書を作成することです。コツさえわかれば難しい作業ではありません。

 

 

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2020年

12月

16日

コロナ第3波と休業・時短勤務の賃金について

 今年4月に緊急事態宣言が発令され場所や業種によっては、自粛要請や休業要請がなされ未知の領域で多くの企業で戸惑や混乱がありました。休業を要請された企業では「企業の責任に帰する事案」に該当せず、休業手当支払いを要しないという労基法上の一般論を展開しましたが、労働者側の弁護士は休業要請下であっても使用者は休業回避の努力はすべきで休業手当の支払いは生じると反論しました。所管である厚労省も休業回避の努力をすべきとして、個別の事案として判断という曖昧な結論に至っています。最近のコロナ第3波でも、同様の議論が展開はされるとは思いますが、多くの企業ではこれらの課題は労使で解決済みとは思います。

 

 休業や時短勤務に関しての、厚労省Q&Aでは一般論として、事業の休止など余儀なくされ労働者を休業させるときには、労使が話し合って労働者の不利益を回避するための努力が必要です。その上で、休業手当の支払いのついて不可抗力による休業の場合は、使用者に休業手当の支払い義務はないとしています。事業主の責ではない、不可抗力である事態とはどういうことなのでしょうか。一つ目は、その原因が事業の外部から発生したものであること、二つ目が事業主が通常の経営者として最大限の注意・努力を尽くしてもなお避けることができない事案であることなどが要件となります。とはいえ、曖昧な表現でどのような注意、回避の努力が必要なのかは例示されていません。

 

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2020年

12月

03日

中小企業の人材育成の現状と課題について

 働き方改革やコロナ禍など社会・経済環境の変化に対応するために多くの中小企業で、新たなビジネスモデルを模索しています。今まで時代と違った価値観(パラダイム)に対応するためには、既存の概念を離れ利益を生み出す新たな仕組みや企業の価値を高める施策など試行錯誤を重ねて生み出していかなければなりません。中小企業にとって従業員一人ひとりの働きが業績に大きな影響を与えるだけではなく、大手企業を含め競合他社に対抗するためには人材の育成はより重要になってきます。しかし多くの中小企業経営者が抱える共通の悩みが人材育成です。

 

 以前より人材育成の重要性を感じ、コンサルタントありながら2年前まで人材育成の研修講師を約10年間務めてきました。畑違いながら様々な研修内容と受講生の反応から多くのことを得てコンサルタントとしての現在があると思っています。人材育成は中小企業にとって経営課題の一つでと考えながらも、人材育成や能力開発に全力で取り組んでいる企業はわずか4%という結果(中小企業庁調査)です。人材育成といっても現在の仕事に対する能力開発に関すること(OJT)と将来に向けての課題解決の能力開発があります。現状として指導する時間、人材がない、ノウハウがない、予算がないのナイナイ尽くしです。コロナ禍でますます人材育成が重要な時代、本気で取り組む必要があります。

 

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2020年

11月

17日

コロナ第3波と職場の感染対策

 国内の1日当たりの新型コロナウイルス感染者数が、今月に入り過去最多を更新して以降、各都道府県は間もなく来るであろう「第3波」到来に危機感を募らせています。政府は、感染予防対策をしっかり講じた上で経済活動と両立させながら経済を回復させていくことを強調しており、GOTOトラベルの見直しは当面必要ないとの見解を示しています。過去のスペンインインフルエンザ感染爆発の例から推測すると、12月から3月までの期間において感染拡大のピークを迎え、春に向けて収束の兆しがみえるようになると思われます。この間、企業としての感染対策を講じながら事業を継続させることが、経営上の重要な課題になります。

 

 事業継続計画いわゆるBCPにおいて、企業の対策として感染拡大の状況に合わせ、3密の解消として事業規模の縮小を決定するプロセスを構築することが重要です。従業員の感染(疑い)またはその家族の感染によって失われる労働力を想定して、生産活動を停止することによって失われる利益を最小限に止めるためにも、感染拡大下でも継続すべき業務の決定を行う必要があります。一時期でも事業の全部を停止してしまうと再開に時間がかかってしまうこと、収束後の生産量を100%に戻すにも時間がかかることから、通常の3割~6割の事業活動と感染防止対策や中核業務のクロストレーニングなどの計画を事前に作ります。この結果、感染の波の3~4か月に合わせて、計画休業の時期や助成金活用など有効な手立てが見えてきます。この計画作成は、労使協調のもとで作ることに大きな意味があります。

 

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2020年

11月

11日

人事評価制度と人材育成

 働き方改革の大きな柱である「同一労働同一賃金」に向けて、ジョブ型等級制度・評価制度・報酬制度の人事制度改定を行う企業が増えています。特に人事評価制度は、従業員の能力や企業貢献度をもとに評価を行い処遇などに反映する制度ですが、うまく活用すれば企業の成長につながるため多くの企業で導入されています。従来、日本企業の特徴である勤続・経験から給与が決まる制度から成果や能力など給与が決まる制度へ代わりつつあり、それに呼応するように評価制度も変わってきています。人事評価制度の目的は、生産性や業績の向上、人事処遇への反映、人材配置の最適化とさまざまですが、従業員の人材育成の側面も重要な目的の一つです。

 

 人事評価制度において評価基準と処遇を明確にすることで、頑張ったことが評価されると認識し、従業員の自発的な成長が期待できます。その反面、従業員個々人の評価で処遇を決定することがチーム全体でサービスの提供を行う企業や工場全体で製品の品質を保つ製造の企業では、ジョブ型の評価そのものが適さないのではないかとの議論もあります。とは言え、そのような業種業態であっても、個々人の勤務評価はすべきであり、企業の特性によりどの様な基準であれば導入できるのかを検討する必要はあると感じています。人事評価制度にもさまざまな手法があり、人の行動特性に着目したコンピテンシー評価や勤務態度や意欲などを複数の人に多面的に評価する360度評価などがあります。また能力・スキルなど客観的に評価できる目標管理の手法もあります。

 

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2020年

11月

05日

パラダイム変化の中、深刻な管理職不足

パラダイムとは、ある時代の特徴的な思想・価値観・常識など解釈され、本来は化学の分野で使われた言葉が経済・ビジネスなど広い分野で使われるようになりました。日本の労働分野でも働き方改革に伴うパラダイム変化に対応するために人事・労務の見直しがなされてきましたが、新型コロナ感染拡大による企業活動の自粛・制限等により、尚一層、パラダイム変化対応の必要性が増してきています。コロナ禍で飲食店のように多大な影響を受けた業種・それほどの影響でなかった業種もありますが、コロナ禍の生活様式の変化は、今後あらゆる業種・企業に大きな変化をもたらしてくるものと思われます。

 

 パラダイム概念はトーマス・クーンが有名ですが、パラダイム変化に関する彼の化学史観は「通常化学」「危機」「科学革命」を継起として、また外部への「閉鎖性」と「開放性」を継起として捉えることができると説きました。ビジネスにおける一つの時代に有効に機能していた概念が、崩壊の危機を迎え今までの考え方を根本的に変えるのが「パラダイム変化」であり、それを突破するには古い考え方の否定に始まります。ビジネスの世界では、斬新なアイディアで市場を変化させることになりますが、そのためには社会・経済の変化をキャッチする敏感さや従来のやり方にこだわりすぎない柔軟性が必要です。自分なりの問題意識と解決への仮説思考、多様な価値観とのコミュニ―ケーションの能力がこれから求められる管理職の能力です。

 

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2020年

10月

20日

希望退職募集と雇用調整

コロナ禍での雇用調整策として行われてきた計画休業の伴う雇用調整助成金の特例も12月末の終了が決まり、中小企業の人員削減問題は今後増える見込みが高まってきているようです。ここひと月を見ても東芝、ワタナベウエディング、コカ・コーラBJH、ワールドなどの大手企業での希望退職者の募集があり、9月末時点での上場企業の早期・希望退職者は1万人を超えたそうです。中小企業でも会社の業績の落ち込みなど理由とした、ローパフォーマー、問題社員の人員削減や非正規雇用の雇い止めなどの雇用調整が、今後増えると思われます。できれば雇用契約の終了にはトラブルを避け、使用者側が法律を理解して労使の話し合いによる円満な解決に至るのが理想です。

 

 しかし、退職を理由とする労使トラブルも増えており、合同労組ユニオン加入案件も多くなっていると聞き及んでいます。以前と違って経営者も「解雇」のリスクを避け、「退職勧奨」で退職してもらうケースが増えてきているようです。令和の時代は経営者が「解雇」と発しただけで大騒ぎとなり、それだけで賠償として数百万円の金銭がなくなると警鐘を鳴らす弁護士が多くいます。使用者側が労働者に、自発的に退職することを勧めて労働者が納得して退職に応じることが「退職勧奨」です。労使双方の合意に基づく雇用契約の終了で、一般的に「合意退職」といわれています。ここまで至れば使用者は、合意退職に関する書面と取り交わしが必要になります。労働者の気が変わって「撤回」ということもあり得ますし、トラブルの原因になります。できれば大手が行っている「希望退職募集」が日本の文化にあっているのかもしれません。

 

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2020年

10月

13日

職務分析と活用法について

 人事制度の見直しを委託されている企業様から、幹部社員に向けた「職務分析」実践研修の依頼があり研修資料を、先ほどお送りしました。同一労働同一賃金の基礎資料で、メンバーシップ型からジョブ型への日本型人事制度のパラダイムでは必ず必要になるものですが、難しさゆえになかなか浸透しないようです。資料の分析シートの職務作成例を分解・分析・評価・記載しているうちに、さまざまな活用方法を考え及ぶにいたり、他のモデリングを試しているうちに楽しくなってきました。企業のすべての仕事を職務分析・評価し、記述したら企業成長の可能性が広がります。

 

 日本型人事制度の代表格は職能人事制度ですが、新卒から退職までのサラリーマン人生を会社が保障した時代は良かったです。少子高齢化の中で、企業が退職勧奨を迫り、能力と職務が連動しない期待値のみの等級人事制度が限界にきています。その基礎資料が「職務評価」です。「職務評価」は、組織内の特定の職務の相対的な有用性を評価する試みで、組織内の比較による仕事分析・賃金制度の内部合意には役立ちますが、生産性向上の仕組みからは疑問符です。「職務分析」は、特定な職務のあらゆる側面に関する総合的・入念な研究になります。仕事の現在と将来の業務の見直しや技術開発を目的とするところが多く、「職務評価」が賃金制度決定の試みであるのに対して、その利点は採用・選考・業務評価・報酬制度の多肢に及びます。

 

 

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2020年

10月

09日

テレワークと労務管理・就業規則

 新型コロナ感染拡大期に伴う緊急事態宣言以降、テレワークの実施は拡大前に比べて倍以上に増えました。同時に公私の空間、時間の区切りをつけることの難しさ、働きすぎの予防と労働時間管理のルールを守る課題が見えてきました。働き方改革実行計画(平成29年3月28日)においても、テレワークが長時間労働につながるおそれが指摘されていましたが、新型コロナ禍で現実となりました。テレワークを行う場合においても労働基準関係法令が適用されますが、就業規則の記載事項を含め検討が必要です。

 

 労働者に就労の開始時にテレワークを行わせることとする場合、就業の場所としてテレワークを行う場所を明示しなければなりません。その際、公私の区別が困難など家庭の事情から、始業終業の時刻の変更を行うことを可能とする場合は、就業規則に記載するとともにその旨を明示しなければなりません。使用者は原則として労働時間を適正に把握する等の労働時間を適切に管理する責務を有していることから、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として労働日ごとの始業・終業の時刻を確認して適正に記録する必要があります。また休憩時間は原則として労働者に一斉に付与することを原則としていますが、テレワークを行う労働者については、労使協定により一斉付与の原則を適用除外をすることも可能です。

 

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2020年

9月

28日

労働時間等実態調査

 経団連は9月15日、「2020年労働時間等実態調査」集計結果を発表しました。一般労働者の総実労働時間(年間平均)は、2018年の2,031時間から2019年は2,000時間に大幅に減少し、時間外労働時間(同)も、2018年の196時間から2019年は184時間に大幅に減少しています。その要因の一つとして、働き方改革関連法の施行が考えられるとしています。従業員規模別では、5000人以上規模の企業において、総実労働時間が最短になっていますが、100人未満企業でも2018年から2019年にかけて大幅減少しており、中小企業の法施行前に改善されています。管理監督署者の総実労働時間も、全体、製造業・非製造業とも減少傾向にあります。

 

 管理監督者と一般労働者の総実労働時間の比較では、2019年の一般労働者2,000時間に対して、管理監督者は2,022時間と少し長い傾向にあります。2017年から2019年の比較で、管理監督者は一般労働者に比べて多少長い傾向にありましたが、時間差で9時間、13時間から22時間と徐々に増加の傾向がみられます。一般労働者の時間外労働時間は、全体・業種別ともに2018年から2019年にかけて大幅に減少しています。その理由としては、時間外労働の上限規制が導入された大企業を中心に時間外労働削減の努力の結果だと思われます。時間外労働時間の年間平均分布をみる2019年は、全体では原則の年間360時間未満の企業が9割になりました。また、年間720時間以上の企業のすべてが中小企業という結果でした。

 

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2020年

9月

15日

仕事を作るのは社長・・・

 最近「うちの社員には危機感がない」という社長の声を聞くことが多くなってきました。景気や会社の業績が良い時には、あまり聞かない話ですが、コロナ禍で売り上げが下がり、業績が振るわなくなるなどの理由で増えてきたように思えます。景気が悪くなったり、会社の業績が下がって危機感を持ち始める社員はいるとしても、危機感を捨てる社員はいないと思います。社長自身が、コロナ禍で今までの「やりかた」が通用しない、対応の仕方がわからない、打つ手がない状況が「うちの社員には危機感がない」という言葉になって表れている気がします。こんな時代であっても「仕事を創る」ことは、社長の仕事であり、社員は作った仕事を社長の指揮命令下で「仕事をする」ことが仕事です。

 

 会社の目的はただ一つ、それは「顧客の創造である」とはドラッカーのことばです。顧客を創造するとは、仕事を創造することです。結果として、顧客に喜ばれ、役に立つ商品やサービスの提供が会社の社会的有用性を高め、多くのファン(顧客)を生み出します。ドラッカーは、顧客を創造する機能の一つ、モノやサービスを手に入れることによって得られる満足を提供する「イノベーション」なくして顧客の創造はできないと言っています。顧客創造のもう一つの機能が「マーケーティング」です。顧客のニーズを探りどのようにして顧客が満足する価値を提供できるかを考え、売れる仕組みを提供することにあります。緊急事態宣言下、営業自粛等でテレワークの進捗や「新しい生活」など、日本人の人生・生活の価値観が大きく変わりました。仕事を創る難しさ、厳しさは増しています。

 

 

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2020年

8月

31日

新型コロナに関する就業調査と今後について

 この度、労働政策研究・研修機構から新型コロナ感染症に関連した4月からの連続パネル個人調査の6~7月変化(8月調査)を中心に行った結果を公表しました。有効回収数(雇用者4,307人:フリーランス574人)8月1日~7日を調査期間としたWEB画面上の記入回答方式でした。新型コロナウイルス感染症の関連した影響が4~5月にかけて「勤務日数や労働時間の減少(休業を含む)」をトップに上げる割合が多かったのですが、今回の調査では、前述の回答が2位になり、前回から引き続き増加した「収入の減少」に影響の中心がトップにシフトしています。感染症の収束が見えないことについては、「かなり不安」「やや不安」の合計が概ね9割(86.9%)と多くの人が不安を感じている実態が浮かび上がりました。特に「収入減少に伴う生活への支障」について、雇用者の6割、フリーランスの7割が不安と回答しています。

 

 4~5月にかけて緊急事態宣言の影響もあり、勤務時間や労働日数の減少など企業の雇用調整の特殊事情下で、前述の調査結果通り、働く人の不安が集中することは納得できます。5月25日の全面解除後の「仕事をしている時間」「税込み月収」の変化をみると、揺り戻されてきたものの7月最終週においても、新型コロナ発生前の通常月の状態には戻っていません。感染収束が見えない現在と秋・冬にかけて新たな感染拡大が危惧されていますが、労働時間、収入が通常月に戻らないことが、「収入減少に伴う生活の支障」を心配する結果になっているようです。新型コロナ感染症に関連した「休業」に関して、働けるのに勤務先から自宅待機を命じれた経験は、雇用者の6割を超え(64.3%)、休業手当の「休業日の半分以上の支払い」(54.1%)、「休業日の一部の支払い」(21.9%)「まったく支払われていない」(24.0%)と雇用調整助成金の普及率はかなり低いようです。

 

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2020年

8月

21日

緊急事態宣言と休業手当について

 今年4月に東京など7都府県に発令された新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言(その後全国に・・)が、感染拡大が続く日本で再度の宣言発令があるのかが関心の的になっています。緊急事態宣言からの日本経済の落ち込みや諸外国でのロックダウンの効果等など、政府は再度の緊急事態宣言の発出には消極的です。新型コロナによる犠牲者のある程度の増加があっても、経済を優先する舵をとると考えた方が良いのかもしれません。雇用調整助成金の特例が9月30日と迫るなど「休業手当」に関する政府援助はあるものの、永久に続くとは考えずに、「手当のそもそも」を考える時期ではないかと思います。労働基準法では、原則、緊急事態宣言など国の要請に基づく休業など経営者の責任ではない休業に関しては、生活給である賃金の一部(休業手当)の支払いはしなくても良いことにはなっています。

 

  緊急事態宣言後の都道府県知事は学校など公共施設に加えライブハウス、野球場、映画館など多数の人が集まる営業施設の対して営業停止を指示しました。これに対して労働基準監督署を所管する厚生労働省は、4月10日づけで施設、企業の休業は「企業の責任に帰する事案」とはいえず、休業手当を支払わなくても違法ではないという見解を出しました。これに対して、労働者側に立つ弁護団は、緊急事態宣言の効力が有する間における休業は、法的に強制されたものではなく休業の要請であることから、天災事変など不可抗力に該当しない限り、その判断は使用者の責任による休業として労基法26条に定める休業手当の支払い義務は生じると反論しています。双方とも企業は休業回避の努力はするべきとはしながらも、統一的な基準を示さずに、個別の事案として判断という曖昧な結論になっています。

 

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2020年

8月

11日

新型コロナの企業経営の影響と対応策

労働政策研究・研修機構では、この度「新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査」結果を公表しました。今年2月から5月の変化を6月に調査したもので、全国3000社を対象とし、1293社の有効回答を分析したものです。雇用状況の変化の指標として、「労働者の増減」について、「ほぼ同じ」とした企業の割合は2月の85.9%から5月66.4%と低下傾向が見られます。労働者形態別では、正社員等では「増加」(5月15.3%)が「減少」(5月14.3%)を僅かに上回っている一方で、パート・派遣等では、5月「減少」が「増加」を大きく上回る傾向が強いようです。特に「派遣労働者」では、減少・増加差が21.5ポイントと厳しい状況のようです。派遣求人が少なくなっているのが予想できます。

 

 雇用調整の実施割合も2月(19.5%)から5月(55.1%)にかけて上昇していますが、解雇、雇い止めの割合はわずかにとどまっているようです。5月時点の雇用調整の方法として「残業の削減」(36.6%)、「所定労働時間の削減」(20.0%)、「一時休業・一時帰休」(18.2%)で高くなっている一方、「解雇」(0.4%)、「雇い止め」(0.4%)は低い水準にとどまっています。しかし、企業経営の影響は大きく、生産・売上等が対前年同月の比較で、「減少」した企業の割合は5月に72.0%、そのうち5割程度以上「減少」した企業の割合は15.9%となっています。

 そのような状況の背景となった要因について、「社会活動の自粛により需要減退の影響」(48.5%)、「緊急事態宣言に自粛要請対象となったため」(28.1%)続いて「外国サプライチェーンの影響により事業活動への支障による」(17.3%)という調査結果がでています。

 

 

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2020年

7月

27日

新しい働き方と人事制度

 働き方改革の進捗とポスト終身雇用時代の到来により、組織の在り方、キャリアの築き方、そして働き方が急速に変わりつつあります。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でテレワークなど新たな働き方が急速に広がり、組織、キャリアや評価などの人事の在り方も大きく変わっていくことが予想されます。これまでの日本型人事制度では、画一化された組織の方針と組織の能力が、全社員にも統一して浸透することで、利益を生みだし社員に賃金として還元されてきました。しかし、21世紀に入ってからの社会の変化はめまぐるしく、労働を取り巻く環境も刻一刻変化を続け、会社から降りてくる利益をあてにしてはいけない時代に変わろうとしています。

 

  これからの会社は、社員の成長によって利益を生み出し共に成長する姿に変わっていくことが予想されます。社員は会社から画一的に下りてくる価値観でない新しい価値観を自ら創造して、自分の生み出した価値観を組織に反映させるクリエイティブな思考をもった社員を高く評価する人事制度が必要になってきます。社会はものすごいスピードで変化を続け、消費者の行動も分化・統一感をなくして、個として新たな、多様な価値観を生み出し続けています。企業は、分裂し多様化した価値観についていかなければ対応できない時代にあり、社員の成長によって得られた「知」という価値を組織とすり合わせていくことがシナジーを生み出す原動力になりえます。コロナ禍でその傾向は、ますます加速しています。

 

 

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2020年

7月

15日

新型コロナ自粛で変わった仕事への考え方

先日行われた経済財政諮問会議で、経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2020の原案が示されました。新型コロナの問題を歴史的危機と捉え、ウィズコロナ下での政策の基本方針について述べられています。今回の感染症対応支援策の実施を通じて、我が国の課題やリスク、これまでの取り組みの遅れや新たな動きなど浮き彫りになりましたが、感染症の対応として広まったテレワークがもたらした、新たな働き方やワーク・ライフ・バランスの流れを最大限に活かして働き方改革の取り組みを加速させると述べています。今起こりつつある変化を後戻りせずに、教育、企業、社会の仕組みや慣行など10年分の変革を一気にすすめる取り組みと新たな日常(ニューノーマル)の実現が不可欠としています。

 

 「新しい働き方・暮らし方」では、個々人が多様な働き方を選択できるように労働時間の管理方法のルール整備により兼業・副業の推進、複線的な働き方や、育児・介護など一人ひとりの事業に応じた柔軟かつ多様な働き方を労働者が自由に選択できる環境整備を行うとしています。また、テレワークの定着・加速を図るため、新たなKPI(重要業績評価指標)を策定するとともに、中小企業への導入に向けて専門家による無料相談対応や全国的な導入支援体制の構築などの各種支援策を支援するとしています。テレワークの浸透に伴い、個人の職務内容や責任の更なる明確化が求められる現状において、業務遂行に必要な知識や能力に関する要件の整理など「ジョブ型正社員」の普及・促進の格好の機会と捉えているようです。

 

 

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2020年

6月

16日

避けて通れない「同一労働同一賃金」の向き合いかた・・

 働き方改革の一環としてこの4月から大企業、労働者派遣事業で導入された「同一労働同一賃金」ですが、想定外の混乱があったのではないでしょうか。同じ仕事をしていれば同じ賃金を支払う欧米では普通の決めごとの根拠は、産業別に組織された労働組合と賃金水準が準備された雇用環境があるからです。賃金水準が払えない企業は退場してもらい失業する雇用者は別の企業が受け皿となる仕組みです。日本の経済界にも同様の考え方をもたれる風潮があり、来年4月に施行される中小企業の多くは大きな課題を抱えることになります。労働者派遣業事業は規模の大小を問わず導入されましたが、労務コスト面で今後の課題となりそうです。

 

 

深刻な非正規労働者と正社員間の賃金格差の是正して、みんなが生き生きと働ける良い職場にして生産性をあげていくスローガンのもと改革を進めいこうというのが趣旨です。しかし、直面するのが日本的慣行を守ろうとする価値感であったり、区分人事と人事評価制度の拙速な導入は従業員間の分断を進め、自己保全の施策になりかねない問題です。また、同一労働同一賃金ガイドラインをクリアさせ正規・非正規の待遇差を説明できる言い訳を整備することではなく、これもまた難しい課題ですが手当の処遇差は改善が必要です。。ジョブ型(職務主義)の人事制度を描いても、日本には適合しないのかと思ったりします。賃金制度というより働き方そのものを考えなければ「同一労働同一賃金」の実現は厳しいようです。

 

 

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2020年

6月

06日

「学習する組織」から学ぶコロナ禍後の企業

 独立行政法人 中小企業基盤整備機構では、「新型コロナウイルス感染症の中小・小規模企業影響調査」をWebアンケート形式で約2000社に実施した結果を公開しました。(2020.4.27~4/30実施)前年同月比(4月)の業績比較では、「大幅なマイナス影響が発生している(41.1%)」が最も多くなりました。また将来も含めマイナス業績が発生するとした割合の合計は79.2%にも上り、一方で「プラス影響が発生・発生見込み」とした企業は僅か5.4%に留まりました。今後の事業活動・労務管理上の対策については「対策自体が分からない」とする中小企業が増えつつあるようです。その一方、コミュニケーションのオンライン化を完了させ、今後は新商品・サービスの開発を進めようとする力強い中小企業の存在も見えるようです。

 

 コロナ禍の第1波は収束の方向にあるようですが、第2波、第3波とまだまだコロナウイルスとの共存は続くようです。1970年にピーター・センゲが提唱した「学習する組織」という理論がありますが、文中の挿話であるロッククライムの話が印象的で困難な問題にぶつかると何かと思いだします。その話はこんな内容だったと思います。学習の原動力はチャレンジであり自分の能力を高めるには今できること(足元で体を支え)、やりたいこと(崖に指をかけ引き上げる)を目指して一歩一歩進んでいく姿のイメージです。目指す方向(ビジョン)が決まれば、行動することで、すぐには到達しないかもしれませんがいつかは現実のものとなるはずと考えます。多くの事業で3つの密を避け、一定の距離を保ちながらの収益確保が現在の課題としても、いつかは対策がみつかると思います。

 

 

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2020年

5月

18日

リモートワークで加速する働き方改革

 新型コロナウイルス感染拡大が広がる中企業の従業員の感染を防ぐために「テレワーク」「リモートワーク」のど新しい働き方が注目されています。「テレワーク」は以前から馴染みのある造語で「離れたところで働く」の意味があります。在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィスなどの働き方があります。「リモートワーク」も同様に「会社以外の所で働く」を意味しますが、自宅に限らず仕事の取り組みやすい環境でチームで行う仕事のイメージが強いようです。テレワークは、働き方改革のロードマップでも推奨されていた働き方ですが、今回の新型コロナ感染対策のみではなく新しい働き方として導入を検討する会社が増えていきそうです。

 

 リモートワークに関する意識調査(全国20代~60代リモートワーカー・500人)の結果が、お金に関する情報サービス・コンテンツを展開する「まねーぶ」から公表されていますので紹介したいと思います。リモートワークを実施して仕事の効率がオフィスワークより良いした答えが64.2%と半数以上がメリットを感じているようです。ビデオ会議など情報通信技術の活用でオフィスと変わらない作業環境が実現できていることがメリットとして感じる結果となっているのではないかと思われます。満足の理由も「通勤時間がなく無駄な時間が削減できる」がトップで「業務に集中できる」「感染予防など健康管理ができる」と続きます。デメリットを感じる項目についてもなるほどと思える意見が多いようです。

 

 

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2020年

5月

07日

新型コロナ渦の中での事業継続を考える

 緊急事態宣言の終了期限前の今月4日、政府は緊急事態宣言を全国一律で延長する一方、外出自粛や施設使用制限などの強弱をつける対応で特定警戒都道府県とそれ以外の34県を区分しました。これを受けて特定警戒区域以外の34県では、飲食店への営業時間短縮要請の解除や公共施設の再開など自粛緩和に向けた広がりが始まっています。大阪府や東京都においても、独自基準を設けて早期解除を探る方針を示しており、今月末に向けてその判断が注目されるところです。ようやく事業再開の可能性がでてきたとはいえ東京を含む関東圏、大阪などの関西圏では、まだまだ不安が大きいことと思います。

 

  新型コロナウイルス感染拡大までの政府の対応を見るにつけ、新型インフルエンザ等対策特別措置法が従前予定していたフェーズ設定と対策が大きく違っているようです。この法律は、当初SARSなど未知の感染症の国内発生時において、国民の生命を保持し、国民生活および国民経済に及ぼす影響が最小となるように、国、地方公共団体、事業者の体制整備について定めたものです。その上で緊急事態発生の際の措置として、外出自粛要請等の緊急事態宣言が行われ、学校・興行場等の多数の人が利用する施設の使用制限などを定められています。(法45条)この時点で、警察・病院等の治安や社会的インフラの確保や社会的要請により事業の継続を求められる事業、感染対策を講じて事業の継続を求められる一般の事業に分かれると認識していました。現在、自粛要請が行われている飲食の事業は一般の事業ではないかと・・・

 

 

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2020年

4月

13日

新型コロナ感染拡大と事業継続

 新型コロナウイルスの感染は全国に広がり、東京都及びその近隣県、関西、福岡等の全国主要都市は「緊急事態宣言」の発出により大きな経済的損失が生じています。感染拡大を最小限にとどめることが第一義ですが、このまま感染拡大から収束まで数か月となると・・・企業倒産などの最悪のシナリオが見えてきます。事業継続の道筋を考える時期に来ています。それには、多くの人が集まる場などを提供し国や都道府県が活動の自粛を要請される企業、医療やライフラインなど国民生活の維持に大きな影響を与え事業の継続を求められる企業、従業員の感染の危険性と経営維持の観点から総合的に事業の継続を図る企業の3つに分類され、それぞれに対策を企画・立案する必要があります。

 

 新型コロナウイルスなどの感染症が発生した場合などにおける企業の事業運営方針や対応体制などを、あらかじめ定めた計画を事業継続計画(BCP)といいます。残念ながら多くの企業でこのBCPを作成していません。感染拡大期に従業員に企業への出勤を命じながら感染防止の対策を講じなければ、従業員の罹患すなわち損害賠償請求と捉えたほうが良いかもしれません。BCPは広義のリスク・マネジメントですが、これから作るとしたらクライシス・マネジメント(初期対応・事後の被害回避)として、目的、指針、組織体制、感染が疑われる場合や感染時の対応などの事業継続管理に伴う労務上の取り決め(規程)をすぐに作成することをお勧めします。・・従業員の安心のために。

 

 

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2020年

3月

17日

新型コロナ事業継続計画と雇用調整助成金

 新型コロナウイルス感染拡大が続いていますが、感染症BCPでは感染のリスクを軽減しながら、安定的に自社の製品やサービスを供給できる体制の構築を主力においていくことになります。リスク管理や安全衛生管理のマネジメントシステムを効率的に動かすために責任者・担当者を決めて、すべての従業員・関係先との情報の共有や防止策を検討、実施していく必要があります。感染機会を減らすための行動変容(在宅勤務・外出を控える等)、会社の入退館管理に関して組織の対応が必要になります。社会全体が業務の休止・自粛の傾向ですが、収束時期が見えない現在でも、事業継続計画の発動の時期や経験のない緊急行動における人員・内部の突発的な問題についても可能な限り、認知・想定しておく必要があります。

 

 また被害の想定についても考える必要があります。感染が広がり始める早期の流行期から流行のピークから収束まで感染者と時間の関係が鐘のような放物線を描くことが予想されます。期間については、数か月程度を考えて流行の早期では、30%程度の生産減・減収の予想としてピーク時では60%程度の減、流行の収束に向けて徐々に通常の業務へと進むイメージを例として考えられます。流行のピークにおいても操業を停止することなく稼働することが、収束に向かう時点でも顧客を失うことなく早期の復旧が可能となります。生産量の減少により企業収益が悪化することも予想され、数か月にわたり人件費などに苦慮され、雇用を確保に悩まれるかもしれません。解雇することなく一時的に休業等を命じるときの休業手当の助成として、雇用調整助成金が役立ちます。

 

 

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2020年

3月

05日

新型コロナウイルスの自宅療養について

 新型コロナウイルスの国内での感染者が増える中、厚生労働省は今後、患者数が大幅に増え地域でまん延した場合には自治体の判断で軽症者を自宅療養に切り替えるなどとする考え方をまとめました。新型コロナウイルス感染に有効な治療薬はないものの、既存の薬が効く可能性があると指摘されエボラ出血熱の治療のために開発された抗ウイルス薬を挙げられていますが、ワクチンの完成は今年に夏以降になるようです。

 突然、その影響も考えずに全国の小中学校の臨時休校を決定したため、事業規模の縮小による経営上の課題に対応するため雇調金等の助成金対応に追われる毎日です。とは言ってもお子さんを持つご家族にはもっと不安な日々かと推察されます。

 家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合に自宅療養に関しての注意点として、一般社団法人日本環境感染学会が取りまとめたポイントについて厚生労働省が31日に発表していますので記載したいと思います。疑いのある本人は外出を避け、ご家族等も濃厚接触者であることを意識し、不要不急の外出を避ける意識・行動が前提となります。

 

 

「ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合、家庭内でご注意いただきたいこと」として8つのポイントについて注意喚起を行っています。部屋を分ける。(食事・就寝も個室、トイレ等共有スペースの利用は最小限)世話はできだけ限られた人。(心臓等の持病がある、糖尿病、妊婦さんはダメ)マスクをつける。(感染の疑いのある人の部屋からマスクは持ち出さない)こまめな手洗い。(洗っていない手で目や鼻、口などを触らない)定期的な換気。(許攸スペースや他の部屋も窓を開ける)手で触れる共有部分を消毒する。ドアの取っ手などの共有部分を、市販の家庭用塩素系漂白剤を薄めて拭きそのご水拭き。トイレ、洗面所なども家庭用洗剤ですすぎその後消毒)⑦汚れたリネン、衣服の選択⑧ゴミは密封してすてる。などが提唱されています。

 このように感染の疑いのある人の対応策は示されていますが、感染者の自宅療養の対応については厚生労働省からの何ら示されていません。無責任と言わざるを得ません。

 

 

 

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2020年

2月

24日

新型コロナウイルスと社内感染予防

 新型コロナウイルスの国内の感染拡大が確定的なものになりつつありますが、企業はどのレベルで事業を継続するかを決定する時期にきているようです。同時に従業員と顧客を安全と健康を守る責任、サプライチェーンの確保とステークホルダーとの関係性と情報の共有化も制度構築・対策などが検討すべき事項となります。事業継続に関しては、感染拡大防止の観点から不特定多数の者が集まる場や機会を提供している事業者に対しては国や地方自治体などが事業活動の自粛を要請することになります。仮にそれら事業者が自主的な判断により事業活動を継続しようとする場合、厳格な感染防止対策を講じる必要があります。

 

 従業員や訪問者、利用客等が常に2メートル以上の距離があり、互いの接触・接近が防止できるような対策を講じられることが必要です。2メートルの空間・距離がとれない場合、人の動き・動線など考慮して一方通行にして接触・接近を避けるなどの工夫も必要です。入り口で発熱などの症状のある人の入場を防ぐために、体温計・消毒液など準備することや、入り口に手洗いなどの場所を設置して、入場者全員がそれらの対策を確実に実行する仕組み作りも必要になります。万が一、感染が疑われる訪問者・利用者等が来場した場合にも、十分な感染防止策を講じることができる体制を構築し、従業員間の訓練も行う必要があります。

 

 

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2020年

2月

16日

新型コロナウイルスと事業継続計画

 新型コロナウイルスの国内感染の広がりが新たな局面を迎えているようです。企業としては人員の確保、サプライチェーンの確保に努め、中核の業務を継続させることの計画作成が喫緊の課題になりつつあります。H5N1型インフルエンザ事業継続計画を既に作成している企業では、多少の修正を加え準用することができると思います。事業継続計画とは、企業が自然災害、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段など取り決めておく計画のことです。

 

 ウイルスを原因とする事業継続計画と自然災害のよる事業継続計画では、ウイルス被害の対象が主として「ヒト」であることに対して、自然災害では施設・設備等の社会インフラへの被害が大きいことに違いがあります。事業継続方針の立て方も、自然災害ではできる限り事業を継続しながら早期普及を図るのに対して、新型コロナウイルスでは、従業員と顧客の感染リスク、社会的責任、経営面を勘案して事業継続のレベルを決めることになります。国民の生命維持に係る医療従事者や社会機能の維持に係る消防士、警察職員等は機能の低下を来さない計画が必要になります。国民の最低限の生活維持に係る事業者であるガス・石油事業者、食料品・生活質需品製造販売業者は、事業を継続することへの地域等からの社会的要請が推測されますので、継続レベルを決める必要があります、

 

 

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2020年

2月

03日

新型コロナウイルスと企業の人員確保

 新型コロナウイルスの国内感染者が確認されてから、政府、事業者の感染症対策の取り組みが1段階進んだようです。新型インフルエンザ行動計画を準用すれば、企業対策として感染拡大防止策の実施、不要不急の業務の縮小、停止の準備等が挙げられますが感染力は強いようですが、致死率が低いことを考えるの同様の対策の必要性は低いようです。感染症の被害対象は「ヒト」であることを考えると「人手不足」と感染による欠勤により企業活動に大きな影響を与えることは間違いありません。企業課題として従業員と顧客を感染から守り、事業を継続する対策を考えなければなりません。

 

 企業は従業員に対する安全配慮に関する法的義務がありますので、従業員の生命・健康等の危険から保護するように配慮することは使用者の義務です。新型コロナウイルスの感染期に十分な感染対策を行わずに社内で感染者が出た場合、安全配慮義務を問われ損害賠償に発展することもありえます。企業研修により個人が普段の生活でできる手洗いや人込みでの対人距離の確保など感染予防策の基礎的な教育・周知の徹底、社内にウイルスを入り込ませない対策構築が必要になります。従業員本人が感染した場合には、多くの企業の就業規則で就業禁止の条文を設けていますので、直ちに病状を報告・就業禁止の指示をを徹底することが重要です。問題は同居親族の感染・濃厚接触者としての扱い、感染・症状がでていない本人の就業禁止を命じることができるかです。

 

 

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2020年

1月

28日

新型コロナウィルスの企業対策について

 中国の武漢市を感染源とする新型コロナウィルスが世界中に広がりを見せています。日本でも本日、感染症法に基づく感染症に指定されるようです。2月上旬の施行を目指すようですが、施行後は患者の強制入院や就業制限が可能となります。

企業としては不測の事態に備え、事業を継続しながら、ウィルス感染から従業員と顧客を守り、地域と国民の生活を守る準備をしなければなりません。既に新型インフルエンザ事業継続計画(BCP)を策定していればほぼ同様の対策で大丈夫と思われますが、まだBCPの作成していなければ早急に作成の必要があります。感染拡大期が数か月に及ぶことを想定して作成することをお勧めします。

 

 インフルエンザや麻疹などを引き起こす細菌より小さなウィルスの存在を人類が知ったのは100年ほど前、その実態はゲノム科学の進歩とともに解明はされてきましたが、まだまだ多くの謎に包まれているのが現実です。ウィルスは、自分自身では子孫を残す(増殖)ことができないために、宿主(人間)の細胞を借りなければなりません。ウィルスが体内に侵入する場合、そのほとんどが、口、呼吸器、消化器など外界に開かれた粘膜から侵入し、細胞内で増殖して出芽によって細胞の外へ放出されます。ウィルスが侵入しても、人体に備わっている免疫系によって高熱を発し、防御・排除することができます。細胞を乗っ取り破壊し、次の細胞に感染するわけですが、細胞どころか宿主そのものを殺してしまうウィルスがあります。エボラ出血熱、SARSなどがそうです。

 

 

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2020年

1月

26日

高年齢労働者の安全と健康、企業責任について

 昨年5回にわたり開催された人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議の報告書がこの度公表されました。企業に70歳までの就業機会確保の努力義務を課す高年齢者雇用安定法の改正法案が今国会での提出もあり、高齢者の雇用と就業環境に関し、企業の経営課題として検討する年になりそうです。有識者会議報告書では、60歳以上の雇用者数の増加や労働災害増加の現状等が分析されています。今後に向けた課題と対応を考えるといずれ何らか法制化されることが予想されますが、それ以前に高年齢者の安全と健康が企業にとっての大きな課題となっていることも事実です。

 

 60歳以上の雇用者数は過去10年間で1.5倍の増加、特に商業や保健衛生業をはじめとする第三次産業で増加しているようです。休業4日以上の労働災害の死傷者数は60歳以上の労働者では26%と増加傾向にあり、発生率は若年者に比べ相対的に高く、特に転倒災害、墜落、転落災害の発生率が高いようです。高齢者の身体機能は近年向上しているとはいえ、壮年者と比べると視力、筋力等の低下は見られ転倒等の労働災害発生に影響していると考えられます。メタボリックシンドローム該当者、定期健康診断の有所見率の増加など、青壮年期からの継続的な健康づくりや生活習慣病の予防が重要としています。労働者を使用する事業者の支配下にある労働者に対して労働災害等を発生させない事前の予防措置を講じるいわゆる安全衛生配慮義務が企業にはあります。

 

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2020年

1月

18日

中小企業の経営課題

 東京商工会議所では例年、会員企業への経営実態の即した支援策の実現を目指し、中小企業の抱える経営課題を広く聴取して要望を国、東京都などの関係方面に提出しています。この度2019年9月20日から10月11日まで行ったアンケート調査の結果(回答1507社)が公表されました。調査では小規模企業は法律に定義された従業員20名以下の事業所とされ、中規模事業とは小規模企業以外の中小企業者と区分されています。福島県をはじめ多くの地方でも参考になる調査結果ではないかと思います。働き方改革への対応状況は、中規模企業に比べて小規模企業の遅れ気味で、人材活用についても同じく遅れがあるようです。

 

 収益状況は、「黒字」と答えた割合が過去5年間で最も低くなり、上昇傾向が止まり、業種別では製造業・小売業の低下が顕著である結果となりました。業界の展望では、小売業において拡大・縮小が増加する二極化の傾向がみられますが、他の業種では横ばいとする回答が多いものの業界の競争環境は約5割の企業が激化する予測しており楽観できる経営環境とはとらえていないようです。「売上高」について、「増加」と回答した企業は40.6%と昨年より2.8ポイント3年ぶりに減少しています。事業コスト(人件費・原材料費等)は1年前に比べ増加した企業が6割に達しましたが、事業コストの価格転嫁の反映できた企業は13.2%に留まっています。

 

 

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2020年

1月

10日

働き方改革に関する誤解について

 ゴーン被告の海外逃亡やイラン・アメリカのあわやの戦争危機など衝撃的な幕開けとなった2020年です。今年6月に施行されるハラスメント防止に関する法律に向けて予防や相談体制の構築など研修・セミナーの依頼が12月以降立て続けに入り、昨日、来週の研修資料を完成・データー送信しました。気になっていたブログ・HPの更新の時間がやっとできました。

 今年4月にはすべての企業が時間外労働の上限規制の対象となりますが、この問題は長時間労働の弊害を除くことによって、労働者の健康・生活の質を高めて、企業の生産性向上や創造性の向上など企業の人材活用を強化することを目的としています。

 

 時間外労働上限規制の問題は、メンタルヘルスや人手不足などの社会問題化する事実に法律で規制することによる解決を目指すことですが、いつのまにか長時間労働の解消が目的とする企業が増えている気がします。残業が削減されても本来企業が目指す働き方改革にはつながりません。長い間、日本人に身に付いた残業依存体質の解消、時間当たりの生産性を意識する働き方(JOB意識)、そのための仕事や仕事の仕方、マネジメントの見直しなどの手法を駆使することが大事です。長時間労働をしている社員が「頑張っている人」と評価する職場風土の変革から始める必要があるのです。

 

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2019年

12月

15日

企業の景況感と雇用環境について

 9月の公表された2019年版「労働経済分析」(労働経済白書)では、深刻化する人手不足により企業の約7割で経営面での影響を受けている調査の結果が出ていました。経営面での影響として「既存事業運営の支障」「新規需要の対応できない」といった現状に深刻な問題化しているもの、また「技術やノウハウの伝承」など将来への課題も4割近くの企業で生じているようです。先日、法人企業景気予測調査10月-12月期(内閣府・財務省)と労働経済動向調査11月(厚生労働省)が発表されましたので、雇用面を中心に紹介したいと思います。

 

 法人企業景気予測調査では、企業景況感(BSI)は大企業では今年1-3月期ぶりの「下降」超となり、中堅・中小企業はいずれ連続の「下降」超となり、前期(7-9月期)より拡大しています。令和2年1-3月期の見通しも大企業は「上昇」超に転じる見通しですが、中堅・中小企業では多少改善の見通しはあるものの「下降」超で推移する見通しです。従業員数判断12月末(BSI)では、大企業は22.0ポイントとなり、平成23年9月末以降34期連続の「不足気味」超の結果になっています。中堅・中小企業はいずれも「不足気味」超の結果でした。令和2年見通しでも「不足気味」超は、大企業、中堅・中小企業を問わず「人手不足」は続くようです。

 

 

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2019年

11月

28日

「働き方改革」1万人アンケート

 総合転職支援サービスを展開するエン・ジャパンでは、11月21日、「働き方改革」実態調査(1万人アンケート2019)の調査結果を発表しました。「在籍企業が働き方改革に取り組んでいる」との回答に43%が取り組んでいると答えていますが、昨年からほ同じで変化は見られませんでした。企業規模別でみると企業規模の小さいところの取り組みが遅れが目立つようです。業種別ではサービス・運輸・小売業の取り組みが、全体平均43%以下と遅れているようですが、人手不足の業界でもあり工夫が必要なようです。

 

 働き方改革に取り組んでいると回答した方に、具体的な取り組みを聞いたところ、「有給休暇取得の促進」(70%)、「ノー残業デーなど、長時間労働の見直し」(65%)などが主な回答で、その他「在宅勤務・多様な働き方の推進」(20%)、「定年引上げなど高齢者雇用の促進」(11%)などがあります。会社の働き方改革をする取り組みで変化があったことは「有給休暇が取得しやすくなった」(40%)、「労働時間が短くなった」(33%)となっていますが、「特に変化がない」という回答が28%あることも調査結果からわかりました。

 

 

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2019年

11月

14日

人口減少社会における企業の取り組みについて

 少子高齢化により社会保障財源の確保のためには、高齢者を含めて国民全体が広く負担する消費税が、現役世代に負担が集中することない社会保障の財源にふさわしいとされ、10月から税率10%に引き上げられました。政府は消費税の引き上げの影響を軽減する対策として飲食料品の軽減税率やポイント還元などの実施を行いました。帝国データーバンクでは「2019年10月景気動向調査(全国)」を実施し、10月は台風により国内景気が幅広い業界にマイナスの影響を与えつつ、かつ消費税の引き上げで、小売業が大幅悪化したことを発表しました。国内景気は、低調な設備投資や消費税の引き上げにより後退局面入りの可能性が続く中、さらに台風による被害が悪影響を及ぼしたと見ています。

 

 今後の見通しについては、消費税引き上げに伴う消費の落ち込みの程度と、その影響の動向が重要になってくるようです。また人件費や輸送費が引き続き企業経営のマイナス要因となるうえ、製造業を中心に世界経済の減速がマイナスに働くであろうと調査報告書は分析しています。前年同期における業界別の景気DIでは10業界中9業界が悪化、特に製造業(ー9.2P)、卸売業(ー5.5P)、小売業(ー3.9P)が大きく悪化しています。今後、東京五輪のがプラス要因と働く期待も多いようですが、人手不足や厚生年金保険の適用拡大による企業コストの増加を見据えた企業経営の在り方を再検討する必要がありそうです。東京を中心とした都市部の大規模開発の企業期待は大きいものの、地域別では東北における景気DIは全国平均を大きく下回っており、業務効率化に向けた企業努力は必要と考えます。

 

 

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2019年

11月

06日

台風19号災害に伴う雇用調整助成金の特例措置

 10月21日、厚生労働省から今般の台風15号及び19号に伴う経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主に対して雇用調整助成金の特例措置を行うことを発表しました。雇用調整助成金は上記の理由により一時的に休業や教育訓練などを行う、または出向を行うなどにより労働者の雇用の維持を図る場合に休業手当、賃金などの一部を助成するものですが事前にハローワーク等への届け出が必要になります。本来、計画届は事前の提出が要件となりますが、台風15号・19号の災害に伴うものについては、それぞれ9月9日・10月12日以降に初回の休業等がある計画届については、令和2年1月20日までに提出があれば遡及適用されます。

 

 台風に伴う「経済上の理由」とは風水害による直接的な被害そのものは経済上の理由にあたりませんが、災害に伴う経営環境に悪化については経済上の理由にあたり、それによって事業活動が縮小して休業等を行った場合は助成対象になります。厚労省では経済上の理由について以下のように例記しています。

 *取引先の浸水被害等のため、原材料や商品等の取引ができない

 *交通手段の途絶により、来客がない、従業員が出勤できない、物品の

  配送ができない

 *電気・水道・ガス等の供給停止や通信の途絶により、営業ができない

 *風評被害により環境客が減少した

 *施設、設備等の修理業者の手配や修理部品の調達が困難で、早期の

  修復が不可能

 

その他、実施済みの特例措置、追加措置等も発表されています。

 

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2019年

11月

01日

70歳までの就業機会確保の向けた動き

高齢者の雇用・就業機会の確保などを目指す労働政策審議会の雇用対策基本問題部会の会合が実施され検討資料などが公表されました。注目は「70歳までの就業機会の確保」です。今年6月に閣議決定された「成長戦略実行計画」や「骨太の方針」にも盛り込まれ、同時に老齢年金受給開始年齢の変更等社会保険制度への影響が懸念され、企業の経営でも何らかの影響は避けられないと思われます。具体的には65歳から70歳までの就業機会確保について、後述する多様な選択肢を法制度上整え、企業としてはそのうちどのような選択肢を用意、該当する従業員との話し合いを行って、適用する選択肢を決定する仕組みを考えているようです。

 

法制度上の整えるとされる選択肢のイメージは次のとおりです。

   ①定年の廃止

   ②70歳までの定年の延長

   ③継続雇用制度導入

   ④他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への再就職の実現

   ⑤個人とのフリーランス契約への資金提供

   ⑥個人の起業支援

   ⑦個人の社会貢献活動参加への資金提供

 

政府は、70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする高年齢者雇用安定法の改正案を、来年の通常国会へ提出する方針です。

 

 

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2019年

10月

15日

キャリア開発の研修などについて

 変化のスピードが激しく将来予想の難しい経営環境にあって、継続的に高い成果を生み出すためには従業員の適材適所を行い、能力・スキルを向上させる必要性から、近年、キャリア開発に関する取り組みが活発になっています。そんな中、人事労務分野の情報機関である産労総合研究所は、この度「2019年度(第43回)教育研修費用の実態調査」を実施・実施、発表しましたので合わせて紹介したいと思います。それによりますと教育研修費総額、従業員1人当たりの総額ともに前年度予算額から減少しました。今回の初調査のキャリア開発研修の実施状況では、実施企業43.5%、年齢が若い層ほど研修の実施率が高い傾向にあり、実施内容は、若手~中堅層では「自己理解・自己分析」、ミドル・シニア層では「キャリアの棚卸」が最も多かったようです。

 

 各種教育研修の実施状況においては、階層別教育が一般的ですが「キャリア開発研修」においても同様の傾向がみられ、実施率では「若手~中堅層(20歳代~34歳)」86.8%、「ミドル層(35歳~50歳代前半)66.2%、「シニア層(50歳代後半以降)」43.2%の結果でした。若手社員は近年、早期退職が問題になっており、若いうちにいかにしてライフキャリアや職業キャリアを考えさせられるかがキャリア開発上、大きなテーマとなっているため「キャリア開発プランの作成」も高い実施傾向にあるようです。また、企業にとって最もキャリア開発の支援が必要とされるミドル層においては、将来的に管理職にするのか専門職とするのかを見極めるステージにあるために、「自己理解・自己分析」「キャリアの棚卸」ともに実施率が75%前後の高い結果となったと思われます。

 

 

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2019年

10月

06日

人手不足の下での「働き方」をめぐる課題

 9月28日、雇用、賃金、労働時間、勤労者家計などの現状や課題について、統計データを活用して分析する「平成30年版労働経済の分析」(「労働経済白書」)を公表しました。少子高齢化による労働供給制約を抱える日本が持続的な経済成長を実現していくためには、多様な人材が個々の事情に応じた柔軟な働き方を選択できるように「働き方改革」を推進し、一人ひとりの労働生産性を高めていくことが必要不可欠です。こうした認識のもと、働き方の多様化に対応した能力開発や雇用管理の在り方についてさまざまな視点から多面的に分析を行っています。

 

 企業が能力開発に積極的に取り組むことが、翌年の売上高や労働生産性の向上、従業員の仕事に対するモチベーションの上昇などのプラスの影響を与えることがわかりました。また、多様な人材の十分な能力発揮に向けて、能力開発機会の充実や従業員間の不合理な待遇格差の解消など「きめ細かな雇用管理」を推進していくことが重要としています。人生100年時代が見据えられる中、誰もが主体的なキャリア形成を行うことができる環境整備が重要であり、自己啓発の実施促進に向けては、金銭的な援助だけでなく、教育訓練機関等の情報提供やキャリアコンサルティングを実施することが、有効な取組となり得るとしています。

 

 

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2019年

9月

24日

若年者雇用の現状と企業対策について

 地元の求人募集が、今月、過去最高を大幅に更新するなど人手不足が身近にまた深刻化してきています。そんな中、厚生労働省内において議論されている「今後の若年者雇用に関する研究会」報告について、現状と今後考えられる企業の対策などを紹介したいと思います。報告では少子化に伴い若年労働者が減少する中において、地域の活性化、社会経済の安定的発展の実現のためには、若年者のマッチング雇用の促進とその能力の有効な発揮が重要としています。大学生の新卒採用については、就職慣行の大幅な変化に伴い、適切な情報提供による適職選択の促進、安定的な雇用環境の下で円滑にキャリア形成を行うことができる環境整備の強化の促進が求められています。

 

 若年労働力人口(15歳~34歳)は、2007年(2035万人)から2017年(1711万人)までの10年間で約320万人が減少し、また新規学卒者の就職率は新規大卒者(97.6%)、新規高卒者(98.2%)と過去最高水準となり、この傾向は10年、20年と続くと予測されています。

 いわゆるリーマンショック(2008年)以降、急激に悪化した雇用失業環境に対応するために、学卒未就労者、若年失業者を減らすことを優先にマッチング支援を強力に実施した結果、完全失業率はバブル期以来の低水準、フリーター等非正規雇用も穏やかに減少傾向にあります。しかし、2000年前後のいわゆる就職氷河期世代では、非正規雇用の増加、若年無業者(ニート)の増加など社会全体で取り組むべき課題も現れています。

 

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2019年

9月

11日

兼業・副業雇用に関する雇用保険適用

 働き方改革関連法の施行から半年余り、労働時間の上限規制も、年次有給休暇取得義務化についても、企業のジョブ基準の業務改善、組織の関係性における組織開発に尽きると・・私はコンサルの現場で感じています。働き方改革に関する相談等も増えていますが、今日は働き方関連助成金のうち「時間外労働等改善助成金」に関関しての講師依頼で30分ほどのセミナーを行うことになています。先日、政府が働き方改革の一環として推進する兼業・副業等に関する雇用保険適用に関しての報告書が厚労省・雇用保険部会から提出されましたので記事にしたいと思います。

 

 複数事業所で雇用される者(マルチジョブホルダー)は、就業構造基本調査によれば本業・副業も雇用である労働者は増加傾向にあり2017年でで約129万人(男性:57万 女性:71.8万)となっています。労働政策・研修機構の調査では、就業者13万人のうち副業をしている回答した人は9229人で、現在雇用保険の適用がされておらず週所定労働時間の合算が20時間以上の適用対象者と考えられる人が371人との結果が発表されています。ダブルワークは長時間労働が見えにくい等の課題が指摘されたいますが、雇用保険制度の趣旨からこれらの結果から適用の必要性が直ちに高いとの評価には結びつかないようでした。

 

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2019年

8月

30日

働き方改革に伴う「しわ寄せ」への対策

  政府は8月22日、「第10回中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するワーキンググループ」を開催し、資料をHPに公表しました。また、「働き方改革に伴う「しわ寄せ」への進捗について」、「働き方改革推進支援センターに寄せられた相談事例」などが配付されました、。大企業・親事業者の働き方改革による下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための対策の進捗状況については、働き方改革関連法に関する説明会への中小企業庁職員の派遣、大企業等の経営トップが参加する会合などで短納期発注等の防止の要請などを行っているとしています。今後、業界団体において「しわ寄せ」防止・改善に向けた取組の推進に期待したいところです。

 

 働き方改革支援センターに寄せられた相談事例や下請Gメンヒアリングで把握した中小事業主が直面している課題は、生産性の向上や人材確保のための支援策が十分浸透に浸透していないとう課題が見えてきます。一部の職歴の長い従業員に責任ある業務が偏っているなど一部の有能な社員に頼っていることで、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の時季指定などで代替社員の確保ができないことを課題とする企業が多いようです。人手不足のよる新規受注ができず売上が伸び悩む、また残業を減らし生産性を上げるための仕事の見直しができる人材がいないなど人材の確保、育成に頭を悩ます企業が多いようです。

 

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2019年

8月

25日

均衡・均等待遇における各種手当について

 来年4月の(中小企業は2021年) パートタイム・有期雇用労働法の施行に向けて、正規・非正規の不合理な待遇差についての検証や賃金制度の見直しなど人事制度ニーズが増えています。パートタイム等従業員はそんなに多くないので、制度の大幅な見直しではなくコンプラ的な問題がないように対応したいといったニーズ、またはパートタイム等の従業員が多いので、同一労働同一賃金に向けた積極活用、正社員共通の資格制度など人事制度による差別化を通じて人材の安定確保を進めたいとのニーズに分かれるようです。賃金規定を見直すのには労使の話し合いなど、相応の時間がかかりますので対応は計画的に進めましょう。法律では正規・非正規労働者間の不合理な待遇差を設けることが禁止されてますが、どのような待遇差が不合理に当たるのかが難しい判断ではないでしょうか。

 

 同一労働同一賃金については、法改正に先立ち昨年6月1日に最高裁において2つの重要裁判の判決が言い渡されています。ハマキョウレックス事件では、正規社員と非正規社員の間の手当不支給などの差別が争われましたが、転勤有無による住宅手当の妥当性は認め、それ以外の5つの手当を不合理としました。手当・賞与等の趣旨・目的に基づき不合理性を検証する個別判断方式が求められたことが特筆すべき法判断です。長澤運輸事件では、定年後再雇用者の賃金減額に関する差別的扱い争われた裁判ですが、定年後の雇用であることなどを理由として一定の年収減を容認しました。この会社は再雇用者の収入減を他の手当で補填したり、長い年数をかけて労働条件の不利益変更に労使の話し合いを続けてきました。定年後であれば自由に年収を下げられる訳ではないのでご注意ください。

 

 

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2019年

8月

10日

働き方改革と組織開発について

 近年、ビジネス界や研修などで「組織開発」という言葉を耳にする機会が増えてきています。組織開発は略して「OD」(Organization Development)と呼ばれ、1970年代後半から1980年前半にかけてODブームとなり、当時多くの日本企業において取り組みがされていました。今またいくつかの要因や理由により、脚光を浴び始めていますが、「組織開発」の目的は組織の健全さ、効果性を高めること、また自己革新力を養うことです。言い換えれば組織が絶えず学習し続け、外部のコンサルタントの支援がなくても、自ら変革に取り組み続けることを意味します。組織内での協働性を高め、変革における社会的使命、ビジョンを知り、組織をよくするための実践するイメージが持てれば成功です。

 

 組織開発が必要とされるようになった時代背景として、仕事の個業化、成果主義的人事評価、従業員の多様化があげられます。分業、PC導入により個人の仕事(個業化)が増え、社員間の対面コミュニケーションが減ることにより、相互に誤解や感情的な葛藤が生じやすくなっているといわれています。また、成果主義的人事評価により個人の数値や短期的な結果が重視され、戦略実行、関係構築、人材育成などの将来に対する長期的視点から物事を考えることが難しくなっています。職場内の雇用形態(正社員、非正社員)の多様性により、マネジメントは従業員の等質性が高かった時代より困難になってきている企業が、規模の大きい会社ほど課題となっているいるようです。しかし、中小企業でも「働き方改革」の進捗、成功に伴い「組織開発」の必要性が顕在化していきます。

 

 

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2019年

8月

04日

最低賃金の議論と今後について

 今年の最低賃金の行方については、全国一律あるいは大幅な最低賃金額の改定など、中小企業の経営、地域経済に及ぼす影響など懸念される所です。この度、中央最低賃金審議会において、今年度の地域別最低賃金額改定の目安が公表されました。全国加重平均は27円(昨年度26円)引上げ率に換算すると3.09%(昨年度3.07%)に落ち着いたようです。当初5%の引き上げ率も検討されていましたが、中小・零細企業にとっては、4年連続の3%を超える大幅な引上げ率となりました。

 

  政府がまとめた経済財政運営と改革の基本方針では、最低賃金の全国平均1000円の早期達成を盛り込んでいます。今回の参議院選挙でも、立憲民主党、共産党はじめ野党においても地域別、全国同一の議論は別として1000円以上の引き上げには異論がなく、将来的には最低賃金1000円の実現は早い時期に達成されるものと思われます。とは言え大企業に比べて体力が乏しい中小・零細企業にとって人件費負担が増大すれば経営の圧迫に直結しかねません。対応策として厚生労働省は経済産業省と連携し、最低賃金引上げにより、影響を受ける中小企業に対し無料相談・支援の整備、各種助成金による支援を行っています。

 

 

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2019年

7月

24日

これからの求人募集

 毎週日曜日、新聞の求人募集広告、昨年まで5社だったのが今週は1社になってしまいました。新聞広告、フリーペーパーなどの紙媒体のメディアが主流であった時代から、転職サイト・採用サイトなどのWEBサイト、SNSやメッセンジャーアプリの活用など掲載方法が多様化しています。それぞれメリット・デメリットがありますが、実際に人手不足で困っているが求人募集しても全然人が集まらず困っている経営者・人事担当者は採用につながるなら多少の金銭的負担なら我慢できると思われるでしょうか。昨今、「人手不足倒産が過去最多」などのニュースを目にする機会が増えたかと思います。近年の人手不倒産は労働力人口の減少が原因で、人手が確保できずに倒産に追い込まれる企業が増加していると考えられているようです。

 

 人がいれば受けられた仕事も、受けたくても受けられない、また新入社員やアルバイトが確保できず、マンパワーが足りないばかりに人手不足倒産にいたる倒産パターンがあります。人材はいくらでも確保できる感覚でいて、時代の変化に追いついていけなかったいうことが多々あるようです。あるいは、能力が高くリーダーシップもある有能な社員ほど転職や独立を考えます。そのような中核社員の退社による事業ダメージにより倒産いたるパターンもあります。エンジャパン(株)が行ったアンケート調査で退職を考えたきっかけの第1位が「給与が低かった」(39%)、第2位「やりがい・達成感を感じない」、第3位「企業の将来性に疑問を感じた」いう結果でした。貴重な中核人材の育成が企業の経営課題となる昨今、大きな痛手となります。

 

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2019年

7月

20日

急がれる中核人材の育成

 生産年齢人口が減少する中、経営者の高齢化に伴う事業継承などの問題のみならず、経営課題の上位に「人材の不足」が挙げられる深刻な状況が続いています。特に中小企業では、企業の持続的成長・発展に必要な付加価値創出を担う「中核人材」の不足が顕著となってきています。企業における中核人材は業務遂行のリーダーシップを発揮する人たちであり、組織の長として部下をマネジメントする、あるいは高度な専門能力で画期的な企画を立案するタイプの人材をいいます。中核人材と呼ばれる生産年齢人口35歳~49歳の年齢階層で見ると、2030年において2012年との対比では20%も激減する調査データもあります。今後、中核人材の外部調達はますます難しくなると考えられます。

 

 働き方改革を進める上で、労働時間の短縮や年次有給休暇取得に向けた取り組みが行われていますが、このしわ寄せが中核人材である管理監督者の長時間労働につながっているようです。業務改善に向けた取り組みでは、業務プロセスを業務フローに落として組織において実施すべき各々の仕事と手順や過程を俯瞰してみることになりますが、多くの仕事が中核人材である上位役職者に集中していることが分かります。明確な職務分担がなされない結果、単純作業も行ってしまうケースも見受けられます。将来、企業が中核人材に期待することは、時間当たりのアウトプットを増やし労働生産性を向上させること、高付加価値の商品・サービスの企画立案、高価格へのチャレンジの2点に絞られる思われます。そのためには今の仕事の改善をすすめ、効率的な仕事の進め方をしていかなければなりません。

 

 

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2019年

7月

14日

企業人事の境界が消え・・実践あるのみ!

 多くの企業で働き方改革が進められ、総労働時間の削減が順調に進んでいる会社がある一方で、抜本的な対策を取らずに管理職の負担が増えたり、サービス残業が発生したり、副作用が出てきている会社も散見されるようです。働き方改革では、日本型人事労務管理から欧米型の仕事基準による企業組織体制への変革が求められています。専門化された昇進コースであったり、個人による意思決定と明示的な管理機構といったアメリカ企業の特性への変革は、集団的な意思決定と人と組織の全面的なかかわりを持つ日本企業にとって、未知の領域といえるではないでしょうか。働き方改革を本気で取り組もうとすると、人と組織の方向性をどうすれば良いのか・・に辿りつきます。

 

 日本型経営の特徴である企業別労働組合と、アメリカのように企業の枠を超え職種別・産業別に組織している労働組合の伝統的な労務管理を比較することはできませんが、能力開発は当面は企業の責任で行うことが必要と思われます。仕事基準の働き方への入り口は、職務分担と人事考課・昇進基準の決定です。質・量の観点から、要員と一人ひとりの分担となる職務を明確に定め、その範囲を職務区分とします。その遂行に必要な資格や要件を明細書に明記し、その職務区分を超えた働き方をすることは善意であっても許されないとするのがアメリカですが、日本人には抵抗があります。アメリカでも、1970年、80年代、労使関係苦難の時代の反省から、人的資源管理の普及や日本型人事労務管理の部分的導入が図られました。

 

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2019年

7月

07日

賃金・年次有給等請求権の消滅事項の検討

 労働関係における賃金等請求権の消滅時効については、民法の特則として労働基準法第115条の規定が運用され、使用人の給与等に関する短期消滅時効1年を2年とする規定に基づき労務管理や裁判実務等が行われてきました。来年4月施行される改正民法において短期消滅時効が廃止されるとともに、主観的起算点から5年間、客観的起算点から10年間、権利を行使しないときに時効により消滅する、と整理されました。これを受けて民法の特別法として労働者の利益保護のために設けらた労基法115条の改正が注目されていました。

 厚生労働省は1日に開催された「第153回労働政策審議会労働条件分科会」資料をHPで公表しました。議題は、「賃金等請求権の消滅時効について」など。「賃金等請求権の消滅時効のあり方に関する検討会」の「論点整理」等が資料として示されました。

 

 各論点についての検討についての前提として、労基法の賃金等請求権の消滅時効規定は、民法の特別法として位置づけられているが、両法律を別個のものとして異なることの合理性を議論していくという意見があったようです。その場合、仮に特別の事情を鑑みて労基法の賃金等請求権の消滅時効期間を民法より短くすることに合理性があるのであれば、短くすることもありえるという考え方もあるとしてています。それに反して、民法より短い消滅時効期間を、労働者保護を旨とする労基法に設定することは問題だとする意見もあったようです。賃金請求権の消滅時効については、仮に延長されたときの労務管理等に企業実務の変更や指揮命令、労働時間管理等に関しての企業行動の変化などの考慮が必要とされるしながらも、方向性としては、延長については容認となりそうです。

 

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2019年

6月

29日

多様化する勤務形態と人事

 昨年、発表されたパーソナル総合研究所と中央大学の人手不足問題に関する研究結果によると、2017年度の人手不足数121万人から、来年度2020年には384万人と3倍に拡大されることが予想されています。効果的な対策を講じなければマクロ的には日本経済の成長阻害、ミクロでは企業の人手不足倒産の大きな要因になりかねないといいます。日本の人口減少、働き手不足に対応するため打ち出された「働き方改革実行計画」では、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」として「テレワーク」「兼業・副業」の普及など勤務体系の多様化を促しています。

 

 このたび、マンパワーグループでは、多様化の実態を探るため企業の人事担当者に向け、現時点での勤務形態や制度についての調査を行いました。それによりますと、日本の働き方のスタンダートといえる「フルタイム勤務制度」は、約9割(87.0%)を占めています。また、産育休などからの復帰を支援する「短時間勤務制度」は、60.0%の企業で導入され、「シフト制度」(36.5%)、「フレックス制度」(27.3%)となっています。また、必ずしもフレックス勤務である必要がないとして生まれた「短時間正社員制度」(25.0%)、「在宅勤務制度」(14.3%)、「副業」(7.3%)と多様な働き方を推奨する制度を導入する企業はまだまだ少ないようです。

 多様な働き方制度を導入している企業の人事担当者によると、ライフステージや個々の環境に合わせた働き方を実現することで、人材の流出を防ぎ、採用にも役立てるという理由が多いようです。

 

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2019年

6月

22日

直近!外国人に関する業種別採用調査

 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入国管理法が4月1日に施行されて、間もなく3か月になろうとしています。人手不足が深刻化している介護、建設など14業種について、5年間あまりで最大34万人の外国人を受け入れる見込みです。

 このたび株式会社マイナビは、非正規雇用の採用業務担当者を対象に「外国人に関する業種別採用調査」を実施し(有効回答数1519名)を、今月19日に発表しました。非正規雇用で外国人を「採用している」割合が34.7%、「今後採用していきたい」の割合は50.9%になり、ほとんどの企業で外国人の採用を考えていることがわかりました。

 

 企業規模の採用実績では、大企業に属する(正社員数300人以上)採用担当者の回答の51.6%対して、中小企業に属する担当者の回答が27.6%と大きく乖離した結果になっています。外国人の受け入れ関しては、受け入れ企業の体制整備が急務とされてきましたが、受け入れの取り組みにかんしての問い(複数回答)に関しての結果も発表されています。「外国人向け教育整備(多言語マニュアル等)21.1%、「日本人社員の語学力の強化」20.6%、「公正な能力評価の構築」20.1%、「外国人社員の生活支援」19.8%となっています。外国人労働者の受け入れに間しては、言語習得が最大の課題となっていましたが、マニュアル活用や日本人社員の語学力強化など、外国人労働者が孤立しないコミュニケーションの取り組みが上位に挙がっています。

 

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2019年

6月

12日

パワーハラスメントに関する企業の取り組み

 先日、このブログでパワハラ対策に関する企業の義務化についての記事を書きました。しかし、社会問題化している社内ハラスメントや顧客や取引先からの著しい迷惑行為について、企業内で知識や経験を蓄積して独自の対策を講じているもののマンパワーの不足などのために十分な対応ができていないことが多いのではないでしょうか。私自身、今年は時節柄「働き方改革」に関するコンサルタントや研修、相談などの仕事が多いのですが、続いて多いのが「パワハラ」です。パワハラに関する相談、労災請求等の依頼・手続き、研修会などを通じて、いつでも起こりえる身近な大きな問題と感じています。

 

 6月7日、労働政策研究・研修機構では「職場のパワーハラスメントに関するヒアリング調査結果」を公表しました。ハラスメントに関する問題意識の高まりとともに、企業では相談窓口への訴えが増加し、対応に迫られています。しかし、それら対応の実態は、各企業の経済活動、リスク管理、従業員のプライバシーにかかわることで、今まで明らかにされていなかったことですが、今回調査に協力いただける企業、団体に対してヒアリングによる実態調査、書面調査によりさまざまなことが見えてきたようです。それによるとほとんどの企業で、就業規則、行動規範、社是等でハラスメントの禁止を明文化し従業員に周知している実態が見えてきました。

また、業務上の指導とパワハラの境界線であるグレーゾーンの判断等の対応に迷う場面が多々あることが分かってきました。

 

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2019年

6月

08日

パワハラ対策の義務化について

 職場のハラスメント対策の強化を柱とした女性活躍・ハラスメント規制法が5月29日参議院本会議で可決、成立しました。パワハラは厚生労働省の各都道府県労働局への相談件数が増加し、また被害も深刻化していることから法規制に踏み切りました。今後、労働施策総合推進法、男女雇用均等法、育児・介護休業法など5本の法律を一括改正する内容となっています。既に先行しているセクハラ、妊娠出産を巡るマタハラ、今回のパワハラの関して「行ってはならない」ことを明記、加えて事業主に相談体制の整備や防止対策を義務付けることになります。

 

 パワハラは、①優越的な関係を背景に、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により③職場環境を害する行為を要件として定義づけられる行為です。業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲を行われている場合には、パワーハラスメントに当たらないとされていますが、今回の法律では「適正な指導との境界が曖昧だ」とする企業側の主張にそって、罰則を伴う行為自体の禁止規定は見送られました。とはいえ、社会問題となっているパワハラ防止の法制化によって、企業の自主的な対応に委ねられてきた事実からは大きな前進といえます。

 

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2019年

5月

30日

人手不足に対する企業の動向について

 今年4月に働き方改革関連法が施行され、長時間労働の是正、年次有給休暇の取得義務化の取り組みに加えて、生産性の向上という、一見相反する事柄に見える取り組みへの機運が高まっています。しかし深刻な人手不足の現状は、有効求人倍率の上昇など売り込み側の求職者にとっては好材料ですが、企業においては売り手市場を要因とする人件費の上昇などのコスト負担の増加など企業活動に悪影響を及ぼしかねない可能性があります。

 

 そんな中、帝国データーバンクでは人手不足に対する企業の見解についての調査を、定期的に実施される景気動向調査とともに行っていますので、結果についてご紹介します。それによりますと正社員が不足している企業は50.3%で、昨年より1.1ポイント増加し、新入社員の入社時期と重なる4月としては過去最高を更新しました。また、非正社員ではすべての規模別企業の31.8%、大企業では36.5%と過去最高を更新しています。業種別では「飲食店」の約8割、「飲食料小売り」「人材派遣」「旅館・ホテル」などが上位に挙がっています。正社員の不足についての5年前比較では、小規模企業で10.6P、中小企業で15.9P、大企業では21.9pの各々の上昇と規模の大きい企業ほど人手不足感が強い傾向がみられます。

 

 

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2019年

5月

24日

ジョブディスクリプションとは?

 5月20日、内閣府規制改革推進会議において「多様な働き方の実現、職種や労働時間等を限定した「多様な正社員」のモデル確立のための施策の具体化」という総理指示(平成25年4月)を受け、ジョブ型社員の雇用ルールについての議論を開始しました。グローバル化や働き方の多様化が進む中、希望する職務・役割と与えられる仕事とのミスマッチが、国内外の優秀な人材の獲得を阻害したり、早期離職の原因になるなど労使双方から雇用ルールの確立を求める声が出始めています。

 

 就社型(メンバーシップ型)雇用モデルが高度成長をもたらした強い成功体験から、正社員であれば企業命により職務、勤務地、労働時間の変更など無限定な働き方を許容するのが当然という意識がいまだに強いようです。今回の議論の方向性として、現状と問題点の検証から、限定正社員等を導入する企業に対して、勤務地、職務、勤務時間等について予測可能性を高められるように書面確認を義務付け、現行の労働条件明示に関する規定について必要な見直しを行うとしています。欧米では求職時の際に使われるジョブディスクリプション(職務記述書)の議論には、なかなか進まないようです。

 

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2019年

5月

14日

若年労働者の能力開発と職場定着について

 新卒者一括採用にこだわってきた日本企業の採用も、先日の経団連の「就活ルール」も廃止発表など、大きな地殻変動が起きようとしています。新卒者採用という募集の仕方はせずに、社会人の中途採用や未経験者、新卒者、現役学生も同じ窓口で通年採用を目指すことになるようですが、従前の採用ルールや慣習が根強く残る日本社会において労働条件や教育訓練、職場環境などの違いをどう作り上げていくのか興味があるところです。そんな中、3月に公表された「若年の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ」(労働政策研究・研修機構)に、今後、中小企業が取り組むべき若年労働者の能力開発と職場定着に関するヒントがみつかりそうです。

 

 調査は2018年4月時点で20~33歳の正社員職歴を持つ5361名を分析対象として行われたものです。それによりますと、既卒者の中で最も離職率の高いのは、卒業から1年以内に就職した人で、新卒者同様の就労経験ながら、経験豊富な転職希望者と同じ土俵に立たざるを得ないことに加えて、入職前の情報と実際の労働条件が異なることが離職要因ではないかと分析しています。また既卒者は、研修等の教育訓練や上司からのコミュニケーションが不足する傾向から、指示があいまいなまま放置された人、初めから先輩と同等の仕事を任された人が多く、このようなことが離職傾向の増加と関連する可能性を指摘しています。

 

 

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2019年

5月

08日

企業のおける高齢者の活躍推進

 令和の新しい時代を迎えましたが、日本商工会議所が昨春に実施した人手不足等に関する調査では、人手不足と回答した企業の割合が4年連続で上昇し65%に達し、令和の時代にさらに深刻さが増していくと思われます。そうした中、女性、外国人材、高齢者など多様な人材の活躍推進が期待され、労働力調査によれば高齢者の就業者数は2008年からの10年間で309万人増加して、就業率も19.7%から24.3%へ上昇しています。65才以上の非労働力人口のうち就業希望者は48万人と働き手の不足する日本において、更なる労働参画が期待されています。

 

 他方では、現行の60才定年制を維持する方針をとる企業が大勢を示し、法律で義務付けられた65才までの雇用の保証をしながら、定年前と異なる働き方(短時間勤務)を取り、役割や成果に対する期待を薄くなり定年時の賃金より一定の低い水準とる企業が大手を中心に多いようです。

 60才以前と変わらない仕事の処遇で再雇用の延長をすると、新しい人材が採用できない、また人件費負担が増え、そのことが若年者世代の労働意欲を低下させ人的資源の維持・向上を阻害する問題ともなりえます。相矛盾する企業と高齢者、それに続く世代との異なる人的資源管理をどうように調整していくのが、企業の課題となりそうです。

 

 

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2019年

4月

22日

求人募集に役立つ20代の転職・仕事観

 「団塊ジュニア世代」「就職超氷河期」と初めて称された時期の年代で、新聞記事や世間の動向にさらわれるままに「就職が可能なだけ貴重だ」などと、働くところを慌てて決めてしまった人たちが、今、転職に動き始めています。景気の回復と企業の人材不足が顕在化したことなどにより、学生のほうが強気に出られるようになるなど新卒者の就職活動も変わりました。また、若年層は転職に対する抵抗感がなくなってきているといわれ、積極的にステップアップを目指しているようです。地方の中小企業では、若い人材を確保するのに苦労していますが、20代の転職・仕事観を知り、企業風土を変えていくことも大事な時代ではないでしょうか。

 

  企業の人材採用・教育など手掛けるエン・ジャパンは4月11日、2034歳の男女を対象とした「20代の転職・仕事観意識調査」結果を発表しました。それによりますと転職先を選ぶ際に重視することは、20代では「仕事内容」(82%)、「勤務地」(81%)、「事業内容」(76%)などとなっています。転職先を選ぶ際に重視することについて、年収別に見ると、年収800万円以上は「事業戦略」、「ビジョン」、「事業内容」を重視し、年収400万円未満は「休日」、「オフィス環境」、「勤務地」を重視するとしています。年収800万円以上が重視する項目についてと、年収400万円未満が重視する項目では、まったく真逆に33ポイントから11ポイントの差になっています。

 

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2019年

4月

16日

「同一労働同一賃金」大企業7割超が対応方針決まらず!

 総合人事・人材サービスを展開する(株)アデコは、来年4月1日に同一労働同一賃金の導入が義務付けられている従業員300人以上の企業で、人事業務に携わる500人を対象に導入準備に向けた進捗等の状況について調査を行いました。それによりますと、「すでに決まっている」と答えた企業は27.0%、「まだ決まっていない」「決まっていることもあるが、決まっていないこともある」とした企業が、73.0%という結果になりました。すでに導入まで1年を切った現在でも対応に苦慮していることがわかりました。

 

 同一労働同一賃金の導入における課題について、「基本給(68.8%)、賞与(65.0%)、就業規則(58.2%)、手当(55.6%)となりました。正社員と非正社員の基本給に関する対応方針が決まっている311人の回答を見ると、52.1%の企業で非正社員の基本給が現在に比べて「増える」見込みであることが分かりました。賞与に関しても、現在よりも「増える」見込みが39.9%、「現在支給していないが、導入により新た設ける予定」(15.2%)と既に対応方針が決定しているとする301人の半数以上が、賞与が増えるとしています。制度導入により人件費の増加が明らかになりました。

 

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2019年

4月

07日

働き方が変わる労働時間に関する法改正

 30本以上の法改正から成り立つ働き方関連法が今月から一部施行が始まりました。労働法関連の改正の大枠は、「労働時間関連の法改正」と「同一労働同一賃金」(大企業2020年、中小企業2021年施行)に関するものです。特に今年4月からの重要な法改正は、有給休暇5日を取得させる義務と労働時間の適正な把握義務、客観的に把握する義務です。中小企業は労働時間の上限規制が来年の施行となっていますが、今から準備を始めないと間に合わないということもあり得ます。

 

 働き方改革の本質は、戦後の昭和型の働き方である「男は仕事」「女は家庭」という男性中心の長時間労働、職種無限定の転勤・配置換えなど古い労働慣習の脱却を目指しています。「24時間戦えますか?」といった栄養ドリンクのCMに代表される長時間労働が容認されてきた時代から、労働力人口が確実に減り続ける時代は、同質的な働き方から働く人一人ひとりの「働くことの価値観」や育児、介護などの「制約」の実情に合わせ各人の戦力を最大化するための多様なマネジメントが必要になります。そのための労働法史上はじめての労働時間の上限規制の導入であり、残業容認から労働者の健康へ大きく舵を切りました。

 

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