2019年

7月

14日

企業人事の境界が消え・・実践あるのみ!

 多くの企業で働き方改革が進められ、総労働時間の削減が順調に進んでいる会社がある一方で、抜本的な対策を取らずに管理職の負担が増えたり、サービス残業が発生したり、副作用が出てきている会社も散見されるようです。働き方改革では、日本型人事労務管理から欧米型の仕事基準による企業組織体制への変革が求められています。専門化された昇進コースであったり、個人による意思決定と明示的な管理機構といったアメリカ企業の特性への変革は、集団的な意思決定と人と組織の全面的なかかわりを持つ日本企業にとって、未知の領域といえるではないでしょうか。働き方改革を本気で取り組もうとすると、人と組織の方向性をどうすれば良いのか・・に辿りつきます。

 

 日本型経営の特徴である企業別労働組合と、アメリカのように企業の枠を超え職種別・産業別に組織している労働組合の伝統的な労務管理を比較することはできませんが、能力開発は当面は企業の責任で行うことが必要と思われます。仕事基準の働き方への入り口は、職務分担と人事考課・昇進基準の決定です。質・量の観点から、要員と一人ひとりの分担となる職務を明確に定め、その範囲を職務区分とします。その遂行に必要な資格や要件を明細書に明記し、その職務区分を超えた働き方をすることは善意であっても許されないとするのがアメリカですが、日本人には抵抗があります。アメリカでも、1970年、80年代、労使関係苦難の時代の反省から、人的資源管理の普及や日本型人事労務管理の部分的導入が図られました。

 

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2019年

7月

07日

賃金・年次有給等請求権の消滅事項の検討

 労働関係における賃金等請求権の消滅時効については、民法の特則として労働基準法第115条の規定が運用され、使用人の給与等に関する短期消滅時効1年を2年とする規定に基づき労務管理や裁判実務等が行われてきました。来年4月施行される改正民法において短期消滅時効が廃止されるとともに、主観的起算点から5年間、客観的起算点から10年間、権利を行使しないときに時効により消滅する、と整理されました。これを受けて民法の特別法として労働者の利益保護のために設けらた労基法115条の改正が注目されていました。

 厚生労働省は1日に開催された「第153回労働政策審議会労働条件分科会」資料をHPで公表しました。議題は、「賃金等請求権の消滅時効について」など。「賃金等請求権の消滅時効のあり方に関する検討会」の「論点整理」等が資料として示されました。

 

 各論点についての検討についての前提として、労基法の賃金等請求権の消滅時効規定は、民法の特別法として位置づけられているが、両法律を別個のものとして異なることの合理性を議論していくという意見があったようです。その場合、仮に特別の事情を鑑みて労基法の賃金等請求権の消滅時効期間を民法より短くすることに合理性があるのであれば、短くすることもありえるという考え方もあるとしてています。それに反して、民法より短い消滅時効期間を、労働者保護を旨とする労基法に設定することは問題だとする意見もあったようです。賃金請求権の消滅時効については、仮に延長されたときの労務管理等に企業実務の変更や指揮命令、労働時間管理等に関しての企業行動の変化などの考慮が必要とされるしながらも、方向性としては、延長については容認となりそうです。

 

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2019年

6月

29日

多様化する勤務形態と人事

 昨年、発表されたパーソナル総合研究所と中央大学の人手不足問題に関する研究結果によると、2017年度の人手不足数121万人から、来年度2020年には384万人と3倍に拡大されることが予想されています。効果的な対策を講じなければマクロ的には日本経済の成長阻害、ミクロでは企業の人手不足倒産の大きな要因になりかねないといいます。日本の人口減少、働き手不足に対応するため打ち出された「働き方改革実行計画」では、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」として「テレワーク」「兼業・副業」の普及など勤務体系の多様化を促しています。

 

 このたび、マンパワーグループでは、多様化の実態を探るため企業の人事担当者に向け、現時点での勤務形態や制度についての調査を行いました。それによりますと、日本の働き方のスタンダートといえる「フルタイム勤務制度」は、約9割(87.0%)を占めています。また、産育休などからの復帰を支援する「短時間勤務制度」は、60.0%の企業で導入され、「シフト制度」(36.5%)、「フレックス制度」(27.3%)となっています。また、必ずしもフレックス勤務である必要がないとして生まれた「短時間正社員制度」(25.0%)、「在宅勤務制度」(14.3%)、「副業」(7.3%)と多様な働き方を推奨する制度を導入する企業はまだまだ少ないようです。

 多様な働き方制度を導入している企業の人事担当者によると、ライフステージや個々の環境に合わせた働き方を実現することで、人材の流出を防ぎ、採用にも役立てるという理由が多いようです。

 

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2019年

6月

22日

直近!外国人に関する業種別採用調査

 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入国管理法が4月1日に施行されて、間もなく3か月になろうとしています。人手不足が深刻化している介護、建設など14業種について、5年間あまりで最大34万人の外国人を受け入れる見込みです。

 このたび株式会社マイナビは、非正規雇用の採用業務担当者を対象に「外国人に関する業種別採用調査」を実施し(有効回答数1519名)を、今月19日に発表しました。非正規雇用で外国人を「採用している」割合が34.7%、「今後採用していきたい」の割合は50.9%になり、ほとんどの企業で外国人の採用を考えていることがわかりました。

 

 企業規模の採用実績では、大企業に属する(正社員数300人以上)採用担当者の回答の51.6%対して、中小企業に属する担当者の回答が27.6%と大きく乖離した結果になっています。外国人の受け入れ関しては、受け入れ企業の体制整備が急務とされてきましたが、受け入れの取り組みにかんしての問い(複数回答)に関しての結果も発表されています。「外国人向け教育整備(多言語マニュアル等)21.1%、「日本人社員の語学力の強化」20.6%、「公正な能力評価の構築」20.1%、「外国人社員の生活支援」19.8%となっています。外国人労働者の受け入れに間しては、言語習得が最大の課題となっていましたが、マニュアル活用や日本人社員の語学力強化など、外国人労働者が孤立しないコミュニケーションの取り組みが上位に挙がっています。

 

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2019年

6月

12日

パワーハラスメントに関する企業の取り組み

 先日、このブログでパワハラ対策に関する企業の義務化についての記事を書きました。しかし、社会問題化している社内ハラスメントや顧客や取引先からの著しい迷惑行為について、企業内で知識や経験を蓄積して独自の対策を講じているもののマンパワーの不足などのために十分な対応ができていないことが多いのではないでしょうか。私自身、今年は時節柄「働き方改革」に関するコンサルタントや研修、相談などの仕事が多いのですが、続いて多いのが「パワハラ」です。パワハラに関する相談、労災請求等の依頼・手続き、研修会などを通じて、いつでも起こりえる身近な大きな問題と感じています。

 

 6月7日、労働政策研究・研修機構では「職場のパワーハラスメントに関するヒアリング調査結果」を公表しました。ハラスメントに関する問題意識の高まりとともに、企業では相談窓口への訴えが増加し、対応に迫られています。しかし、それら対応の実態は、各企業の経済活動、リスク管理、従業員のプライバシーにかかわることで、今まで明らかにされていなかったことですが、今回調査に協力いただける企業、団体に対してヒアリングによる実態調査、書面調査によりさまざまなことが見えてきたようです。それによるとほとんどの企業で、就業規則、行動規範、社是等でハラスメントの禁止を明文化し従業員に周知している実態が見えてきました。

また、業務上の指導とパワハラの境界線であるグレーゾーンの判断等の対応に迷う場面が多々あることが分かってきました。

 

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2019年

6月

08日

パワハラ対策の義務化について

 職場のハラスメント対策の強化を柱とした女性活躍・ハラスメント規制法が5月29日参議院本会議で可決、成立しました。パワハラは厚生労働省の各都道府県労働局への相談件数が増加し、また被害も深刻化していることから法規制に踏み切りました。今後、労働施策総合推進法、男女雇用均等法、育児・介護休業法など5本の法律を一括改正する内容となっています。既に先行しているセクハラ、妊娠出産を巡るマタハラ、今回のパワハラの関して「行ってはならない」ことを明記、加えて事業主に相談体制の整備や防止対策を義務付けることになります。

 

 パワハラは、①優越的な関係を背景に、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により③職場環境を害する行為を要件として定義づけられる行為です。業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲を行われている場合には、パワーハラスメントに当たらないとされていますが、今回の法律では「適正な指導との境界が曖昧だ」とする企業側の主張にそって、罰則を伴う行為自体の禁止規定は見送られました。とはいえ、社会問題となっているパワハラ防止の法制化によって、企業の自主的な対応に委ねられてきた事実からは大きな前進といえます。

 

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2019年

5月

30日

人手不足に対する企業の動向について

 今年4月に働き方改革関連法が施行され、長時間労働の是正、年次有給休暇の取得義務化の取り組みに加えて、生産性の向上という、一見相反する事柄に見える取り組みへの機運が高まっています。しかし深刻な人手不足の現状は、有効求人倍率の上昇など売り込み側の求職者にとっては好材料ですが、企業においては売り手市場を要因とする人件費の上昇などのコスト負担の増加など企業活動に悪影響を及ぼしかねない可能性があります。

 

 そんな中、帝国データーバンクでは人手不足に対する企業の見解についての調査を、定期的に実施される景気動向調査とともに行っていますので、結果についてご紹介します。それによりますと正社員が不足している企業は50.3%で、昨年より1.1ポイント増加し、新入社員の入社時期と重なる4月としては過去最高を更新しました。また、非正社員ではすべての規模別企業の31.8%、大企業では36.5%と過去最高を更新しています。業種別では「飲食店」の約8割、「飲食料小売り」「人材派遣」「旅館・ホテル」などが上位に挙がっています。正社員の不足についての5年前比較では、小規模企業で10.6P、中小企業で15.9P、大企業では21.9pの各々の上昇と規模の大きい企業ほど人手不足感が強い傾向がみられます。

 

 

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2019年

5月

24日

ジョブディスクリプションとは?

 5月20日、内閣府規制改革推進会議において「多様な働き方の実現、職種や労働時間等を限定した「多様な正社員」のモデル確立のための施策の具体化」という総理指示(平成25年4月)を受け、ジョブ型社員の雇用ルールについての議論を開始しました。グローバル化や働き方の多様化が進む中、希望する職務・役割と与えられる仕事とのミスマッチが、国内外の優秀な人材の獲得を阻害したり、早期離職の原因になるなど労使双方から雇用ルールの確立を求める声が出始めています。

 

 就社型(メンバーシップ型)雇用モデルが高度成長をもたらした強い成功体験から、正社員であれば企業命により職務、勤務地、労働時間の変更など無限定な働き方を許容するのが当然という意識がいまだに強いようです。今回の議論の方向性として、現状と問題点の検証から、限定正社員等を導入する企業に対して、勤務地、職務、勤務時間等について予測可能性を高められるように書面確認を義務付け、現行の労働条件明示に関する規定について必要な見直しを行うとしています。欧米では求職時の際に使われるジョブディスクリプション(職務記述書)の議論には、なかなか進まないようです。

 

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2019年

5月

14日

若年労働者の能力開発と職場定着について

 新卒者一括採用にこだわってきた日本企業の採用も、先日の経団連の「就活ルール」も廃止発表など、大きな地殻変動が起きようとしています。新卒者採用という募集の仕方はせずに、社会人の中途採用や未経験者、新卒者、現役学生も同じ窓口で通年採用を目指すことになるようですが、従前の採用ルールや慣習が根強く残る日本社会において労働条件や教育訓練、職場環境などの違いをどう作り上げていくのか興味があるところです。そんな中、3月に公表された「若年の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ」(労働政策研究・研修機構)に、今後、中小企業が取り組むべき若年労働者の能力開発と職場定着に関するヒントがみつかりそうです。

 

 調査は2018年4月時点で20~33歳の正社員職歴を持つ5361名を分析対象として行われたものです。それによりますと、既卒者の中で最も離職率の高いのは、卒業から1年以内に就職した人で、新卒者同様の就労経験ながら、経験豊富な転職希望者と同じ土俵に立たざるを得ないことに加えて、入職前の情報と実際の労働条件が異なることが離職要因ではないかと分析しています。また既卒者は、研修等の教育訓練や上司からのコミュニケーションが不足する傾向から、指示があいまいなまま放置された人、初めから先輩と同等の仕事を任された人が多く、このようなことが離職傾向の増加と関連する可能性を指摘しています。

 

 

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2019年

5月

08日

企業のおける高齢者の活躍推進

 令和の新しい時代を迎えましたが、日本商工会議所が昨春に実施した人手不足等に関する調査では、人手不足と回答した企業の割合が4年連続で上昇し65%に達し、令和の時代にさらに深刻さが増していくと思われます。そうした中、女性、外国人材、高齢者など多様な人材の活躍推進が期待され、労働力調査によれば高齢者の就業者数は2008年からの10年間で309万人増加して、就業率も19.7%から24.3%へ上昇しています。65才以上の非労働力人口のうち就業希望者は48万人と働き手の不足する日本において、更なる労働参画が期待されています。

 

 他方では、現行の60才定年制を維持する方針をとる企業が大勢を示し、法律で義務付けられた65才までの雇用の保証をしながら、定年前と異なる働き方(短時間勤務)を取り、役割や成果に対する期待を薄くなり定年時の賃金より一定の低い水準とる企業が大手を中心に多いようです。

 60才以前と変わらない仕事の処遇で再雇用の延長をすると、新しい人材が採用できない、また人件費負担が増え、そのことが若年者世代の労働意欲を低下させ人的資源の維持・向上を阻害する問題ともなりえます。相矛盾する企業と高齢者、それに続く世代との異なる人的資源管理をどうように調整していくのが、企業の課題となりそうです。

 

 

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2019年

4月

22日

求人募集に役立つ20代の転職・仕事観

 「団塊ジュニア世代」「就職超氷河期」と初めて称された時期の年代で、新聞記事や世間の動向にさらわれるままに「就職が可能なだけ貴重だ」などと、働くところを慌てて決めてしまった人たちが、今、転職に動き始めています。景気の回復と企業の人材不足が顕在化したことなどにより、学生のほうが強気に出られるようになるなど新卒者の就職活動も変わりました。また、若年層は転職に対する抵抗感がなくなってきているといわれ、積極的にステップアップを目指しているようです。地方の中小企業では、若い人材を確保するのに苦労していますが、20代の転職・仕事観を知り、企業風土を変えていくことも大事な時代ではないでしょうか。

 

  企業の人材採用・教育など手掛けるエン・ジャパンは4月11日、2034歳の男女を対象とした「20代の転職・仕事観意識調査」結果を発表しました。それによりますと転職先を選ぶ際に重視することは、20代では「仕事内容」(82%)、「勤務地」(81%)、「事業内容」(76%)などとなっています。転職先を選ぶ際に重視することについて、年収別に見ると、年収800万円以上は「事業戦略」、「ビジョン」、「事業内容」を重視し、年収400万円未満は「休日」、「オフィス環境」、「勤務地」を重視するとしています。年収800万円以上が重視する項目についてと、年収400万円未満が重視する項目では、まったく真逆に33ポイントから11ポイントの差になっています。

 

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2019年

4月

16日

「同一労働同一賃金」大企業7割超が対応方針決まらず!

 総合人事・人材サービスを展開する(株)アデコは、来年4月1日に同一労働同一賃金の導入が義務付けられている従業員300人以上の企業で、人事業務に携わる500人を対象に導入準備に向けた進捗等の状況について調査を行いました。それによりますと、「すでに決まっている」と答えた企業は27.0%、「まだ決まっていない」「決まっていることもあるが、決まっていないこともある」とした企業が、73.0%という結果になりました。すでに導入まで1年を切った現在でも対応に苦慮していることがわかりました。

 

 同一労働同一賃金の導入における課題について、「基本給(68.8%)、賞与(65.0%)、就業規則(58.2%)、手当(55.6%)となりました。正社員と非正社員の基本給に関する対応方針が決まっている311人の回答を見ると、52.1%の企業で非正社員の基本給が現在に比べて「増える」見込みであることが分かりました。賞与に関しても、現在よりも「増える」見込みが39.9%、「現在支給していないが、導入により新た設ける予定」(15.2%)と既に対応方針が決定しているとする301人の半数以上が、賞与が増えるとしています。制度導入により人件費の増加が明らかになりました。

 

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2019年

4月

07日

働き方が変わる労働時間に関する法改正

 30本以上の法改正から成り立つ働き方関連法が今月から一部施行が始まりました。労働法関連の改正の大枠は、「労働時間関連の法改正」と「同一労働同一賃金」(大企業2020年、中小企業2021年施行)に関するものです。特に今年4月からの重要な法改正は、有給休暇5日を取得させる義務と労働時間の適正な把握義務、客観的に把握する義務です。中小企業は労働時間の上限規制が来年の施行となっていますが、今から準備を始めないと間に合わないということもあり得ます。

 

 働き方改革の本質は、戦後の昭和型の働き方である「男は仕事」「女は家庭」という男性中心の長時間労働、職種無限定の転勤・配置換えなど古い労働慣習の脱却を目指しています。「24時間戦えますか?」といった栄養ドリンクのCMに代表される長時間労働が容認されてきた時代から、労働力人口が確実に減り続ける時代は、同質的な働き方から働く人一人ひとりの「働くことの価値観」や育児、介護などの「制約」の実情に合わせ各人の戦力を最大化するための多様なマネジメントが必要になります。そのための労働法史上はじめての労働時間の上限規制の導入であり、残業容認から労働者の健康へ大きく舵を切りました。

 

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2019年

3月

29日

日本人の働き方が変わる激動の時代へ

 求人の募集をしても、1年以上まったく応募がないと嘆く企業が増えてきました。「同一賃金同一労働」「労働時間の短縮」など、後3日後に施行される働き方改革関連法の対策に苦慮されている企業も多いと思います。

 日本の人口減少局面では、その解決に必要な法律として決まった関連法です。外国人労働者の受け入れや専門職大学の設立、リカレント教育、副業・兼業の促進などこれからの日本に必要な改革が、遅いくらいですが来月から始まります。これから5年10年と日本人の働き方が大きく変わっていくでしょう。すでに起こっている日本の将来・激動緩和の改革・・時代の風に乗り遅れないようにしたいものです。

 

 戦後、日本復興の奇跡に大きく貢献した終身雇用・年功賃金・企業別組合、いわゆる日本型働き方が見直されます。日本人は学校を卒業し、企業に就職してから自分の仕事がきまりますが、欧米では卒業した時点で自分の職業が決まっており、得意分野での活躍の場を企業に求めていきます。

 企業の求人募集のお手伝いをしていて、求人票の記載内容に賃金や勤務時間、大まかな仕事の内容など一般的な要望はありますが、欧米のように求めるスキル・知識など仕事基準の募集要望がなかなかでてきません。同一労働同一賃金・外国人労働者受け入れの流れから、向こう5年間の間には、職務記述書による労働契約が普通になる時代に変わっていくと思われます。

 

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2019年

3月

15日

賃金制度研修・受講しました。

 昨年6月のハマキョウレックスの最高裁判決から日本郵政の東京地裁まで、手当格差に対する違法判決が相次いでいます。「同一労働同一賃金」を巡る判決を受け、賃金制度再構築の影響についての動向を知りたくて、研修を受講してきました。

12月に同一労働同一賃金ガイドラインが施行されましたが、そもそも中小企業の多くが、正社員は職務遂行の能力をパートタイム等は時給の世間相場としていますのでガイドラインが使えません。それを踏まえて、相違の具体的理由を合理的なものにしなければなりません。制度を変えなければほぼ不可能な話ではないかと思います。

 

 相違の具体的理由を「仕事基準」によらずに、職務内容や職務内容・配置の変更範囲をガイドラインに無理に合わせて、違う仕事としても人手不足から業務自体に不都合が生じます。厚労省が推奨する「職務分析」による均等・均衡待遇を目指し、勤続や年齢に連動する手当、賞与の見直し、将来的には退職金も視野にいれて制度を設計する必要があります。人事制度では、賃金や人事考課などの諸制度、運用に関する規程・様式などはハード部分で、これだけでは事業収益を向上させるようには動きません。従業員のやる気や仕事に対する誇り、仲間意識など企業風土というべきソフトとの両輪でうまく回りだします。それから欧米の「仕事基準」は、そのままでは日本の企業にはなじむとは思っていません。工夫が必要です。

 

 

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2019年

3月

10日

建設キャリアアップシステムと労災実賃金算定

 4月からの建設キャリアアップシステムの運用に向けて、ゼネコンなど元受事業各社からの協力下請け事業者にシステム登録の要請が増えてきたようです。業界の最大の課題は若年層の入職を進めることです。現場での経験や資格などを見える化して公正な評価ができることで適正な賃金と将来のキャリパスを描くことができます。インターネットやコンピューターのシステムを利用して建設技能者や事業所の処遇を改善していこうというのが、この建設キャリアアップシステムです。

 

 技能者の処遇改善はもちろんですが、事業者にとっては現場に入場する技能者ひとり一人の社会保険加入状況等の確認報告などが不要になります。施工体制台帳や作業員名簿の作成の効率化が図れるのこと、建退共関係事務が軽減されます。企業にとってのメリットは、ITのシステム活用による労働時間削減につながる働き方改革ともいえます。人事コンサルタント・社会保険労務士としての着眼点としては、システムに連動した技能・職歴等に応じたきめ細かな賃金体系の確立の重要性です。また、元請事業者のメリットを考えた時、安全管理体制の充実と労災保険の保険料決定で労務比率を乗じる特例ではなく、実際に支払われた賃金で算定することではないかと思われます。

 

 

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2019年

3月

03日

夫婦で1.5人分の働き方について

  日本人の人口は、2009年より10年間減少を続けています。毎年、山梨県が1県消滅するような人口の減少といわれていますが、近年の出生率は1973年の約209万人をピークに減少を続け、100万人を割れる年が続き深刻な状況が継続しています。

 人口減少がもたらす影響として、経済的には国内市場が縮小しますので、今の日本の低い労働生産性では企業経営の大きな打撃となります。労働力の不足はすでに言われていることですが、経済の低迷や税収の不足などで、若い世代にさらなる負担が増え、年金制度・医療制度の持続が厳しい局面を迎える惧れがあります。

 

 4月から働き方関連法が施行されますが、日本のこのような事情から若い世代が安心して働き、結婚・出産・育児できる環境を整備することが、とても重要なことになります。また、自分自身または家族の病気や介護などで、いままで通りの働き方ができなくなった場合でも多様な働き方を企業が準備することなどが人口減少局面では、必要な対策になります。現役世代では、仕事と家庭生活のバランス・調和を考える傾向が強まっています。そのため労働時間の削減や年次有給休暇の付与などは必要な対策とはわかっていても、企業収益を確保しながらの働き方改革の推進は難しいものです。

 

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2019年

2月

19日

建設キャリアアップシステムとこれからについて・・

 今年4月から「建設キャリアアップシステム」の本運用が始まります。建設キャリアアップシステムは、不足する建設技能者を業界全体で一人ひとりの「技能」や「経験」をしっかりと「認め」「育てる」仕組みとして建設業界と国土交通省の官民一体として取り組んでいる制度です。建設技能者は異なる事業者の様々な現場で経験を積んでいくため、一人ひとりの技能者の能力が統一的に評価される業界横断的な仕組みが存在せず、スキルアップが処遇の向上につながっていかない構造的な問題がありました。こうした現状を変革するため、一人ひとりの技能者の経験と技能に関する情報を業界横断的に蓄積し、適切な評価と処遇の改善、技能の研鑽につなげていく基本的なインフラとして整備する必要がありました。

 

 建設キャリアアップシステムでは、技能者一人ひとりの情報を登録し、本人確認されたIDが付与されたICカードが交付されます。ICカードが本人を証明する機能を担い、現場のカードリーダーを通すことで、どのような現場でどのような経験を蓄積したかの情報が、日々の就労実績として電子的に記録・蓄積されることになります。同時に、どのような資格を取得し、あるいは講習を受けたかといった技能、研鑽の記録も合わせて蓄積されます。蓄積された情報を元に、それぞれの技能者の評価が適切に行われ、処遇の改善に結びついていくこと、さらには優秀な技能者をかかえる専門工事業者の施工力が客観的に示せるシステムとなることを目指しています。

 

 

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2019年

2月

15日

副業・兼業の今後について

 パーソル総合研究所は12日、勤務先規模10人以上、20歳~69才人事担当者を対象に「副業実態・意識調査結果(個人編)」を発表しました。(有効回答1641) 

 正社員で現在副業している10.9%、現在、副業を行っていないが、今後副業したい人は41.0%。副業者の割合が高い職種は、「経営・経営企画」(21.2%)、「人事・教育」(18.1%)、「法務」(15.1%)などで、間接部門が上位を占めています。政府では「働き方改革」の一環として、副業・兼業を促進していますが、今回の調査を参考に今後の課題と方向性について考えてみます。

 

 副業の目的のトップは収入補填ですが、他の属性と比べて20~30代の男性では自己実現やスキルアップの目的が高い傾向にあります。今後の副業意向を性年代別で見るとすべての年代で女性の意欲のほうが高く、若いほど副業の意向が高いようです。副業による本業の影響として、「高まった」が「低下」したを上回っています。本業のモチベーション向上につながった(23.1%)、本業のやり方について「既存のやり方にこだわらず、良いと思ったやり方で仕事をするようになった」(43.5%)とプラスの効果が多くみられるようです。

 

 

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2019年

2月

07日

企業の人材不足、対策はパート従業員の戦力化?

 エン・ジャパンは1月29日、2019年「企業の人材不足状況」についてアンケート調査を行い762社からの回答結果を発表しました。今年の採用などの人材戦略の参考となる調査のようです。また、厚生労働省から一般職業紹介状況(平成30年12月分及び平成30年分)が発表されていますので、併せて紹介します。

 エン・ジャパンの調査では、「人材が不足している部門がある」と回答した企業は89%で、16年調査に比べて5ポイント上昇しています。業種別では、「IT・情報処理・インターネット関連」、「不動産・建設関連」、「メーカー」がいずれも91%でトップ、サービス関連が90%で続きます。不足している職種は、「営業職(営業、MR、人材コーディネーター他)」が35%で最多となっています。

 

 人材不足の悩みや課題に対する担当者の意見として「高い給与を提示して採用活動をしているが、既存社員の給与が低いままの歪みにより人材が流出し続けている」(不動産・建設/50~99名)、「経営の効率が優先され、必要最小限の人員体制とせざるを得ず、既存社員の負荷が増大している」(流通・小売/50~99名)などがあります。

 また、働く人たちの意識の変化から、「求職者の目線も高まっており、給与だけではなく、休みの多さや残業の少なさなどが求められる」(サービス/100~299名)。若者の大手企業志向から、「質の良い人材が都市部や大企業に流れ、地方の中小企業が苦戦している」(メーカー/100~299名)という意見があります。

 

 

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2019年

2月

03日

労働時間短縮は仕事の見直しから・・

 働き方改革関連法案の一連の労働法改正の施行まで2か月を割り、有給休暇取得日の指定義務や残業時間規制を強化する内容など、従業員を雇用するすべての企業が早急に対応を検討する必要があります。人手不足から一部の従業員に過大な負担がかかる事態が増えつつありますが、対応が遅れると罰則の対象になるだけではなく、従業員の不満や離職など労使トラブルが発生する危険があります。特効薬的な対策はありませんので、実態を踏まえた上で、経営者自ら社内体制の整備に取り組む必要があります。

 

 厚労省が公表した労働時間見直し等ガイドラインでは、仕事と生活の調和を実現に向けた企業が取り組むべき必要事項がまとめられています。地域の実情に応じ従業員が子供の学校行事や地域のイベントに参加することができるように有給休暇取得に配慮することなど、企業が従業員抱える多様な事情及び業務の態様に対応した労働時間等の設定・管理を求めてくることは間違いないようです。企業で働く人たちもワークライフバランスを就職活動の大きなポイントしていますし、政府は企業の努力だけでは限界があることから「下請け法・ガイドライン改定」など、長時間労働につながる取引慣行の見直しにも着手、また、しようとしています。

 

 

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2019年

1月

23日

大きく変わる労働時間の考え方

 働き方改革の成立により労働基準法に時間外労働の上限規制が盛り込まれ、経過措置のある一部業種と中小企業を除き今年4月から改正労働基準法への対応が必要になります。貿易摩擦が起きていた1980年代から、日本の長時間労働は問題視されてきましたが、長時間労働を容認する企業文化や職務遂行上の裁量権に少なさや会社に従属せざるを得ない立場、また残業代込みで収入を見込むなどの労使双方にその要因があります。

 

 日本が直面する少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や仕事と家庭生活両立の重要性などイノベーションによる生産性向上とともに、女性や高齢者の就業機会の拡大・環境の整備など持続可能な社会への転換が前提となってきました。そのためには長時間労働の是正に企業が取り組み、健康の確保、ワークライフバランスの確立、男性の家庭参加などが可能となる社会の実現を労使・政府の合意に基づき進める必要があります。労基法32条に定める1日8時間・週40時間の労働時間により近づける労働時間の管理が必要な時代に転換していくことになります。

 

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2019年

1月

17日

介護事業の人材不足と外国人雇用

 介護保険事業がスタートした2000年度には、介護が必要な高齢者は約218万人でしたが、2016年度は約622万人に増え、2025年まで増え続けることが予測されています。同様に介護職員数も16年間で183万人と3.3倍に増えましたが、ピークである2025年度には245万人の介護職員が必要とされています。しかし、介護事業の有効求人倍率は、2018年8月データですが、約4倍と全産業の1.5倍を大きく上回り、業界の低賃金の慢性化などの労働環境の悪さから離職などの例が目立ち、その後も人材不足改善の兆しが見えない状況です。

 

 昨年12月に改正入管法に基づく外国人受け入れ拡大の新制度について、基本方針などを閣議決定し公表しました。従来、日本の「人づくり」の国際貢献として「技能実習制度」を採用していましたが、今回の改正での「特定技能1、2」は日本での就労を目的とした資格で技能実習とは大きく異なります。介護事業における外国人材の活用は、2008年に始まった経済連携協定(EPA)による受け入れがあります。これまでインドネシア・フィリピン・ベトナムなどから累計約4300人がこの仕組みで入国していますが、最終的に介護福祉士の資格取得者は700人あまりで多くの方が帰国する結果となりました。

 

 

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2019年

1月

06日

働き方改革元年

 明けましておめでとうございます。

 

 今年は働き方改革スタートの年になります。

 

時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金などを柱として、戦後最大の改革関連法案が、順次施行されていきます。労働者と使用者の合意があれば時間外割増さえ払えば無制限に残業をさせられるアメリカ型の労働慣習が通用しない時代になるようです。長時間労働、ハラスメントによるメンタルヘルス問題から、労働者の健康を守る労働法制度へ大きな転換の始まりの年となります。

 

 中小企業では、時間外労働の上限規制は1年遅れの2020年からになりますが、年次有給休暇の年5日取得義務、高度プロフェッショナル制度の創設、フレックス制の見直し、長時間労働者の医師面接指導の見直し、労働時間の把握の義務化などが今年4月から施行されます。努力義務ですが、勤務間インターバルも4月から施行されます。少子高齢化などの人口の構造的問題と日本経済再生のための付加価値生産性向上、労働参加率向上などの諸課題の解決のための施策が、すでに2026年までのロードマップとして示されています。

 

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2018年

12月

26日

わが子に望む就職先

 2019年卒業の大卒求人倍率は、1.88倍(リクルートワークス大卒求人倍率調査)と7年連続の増加となっています。単純に「売り手市場」ということだけではなく、規模別・業種別の需要ギャップがることも事実です。そんな中、2018年度の就職活動に対する保護者の意識調査がマイナビより発表されました。子供に働いてほしい業界ポイント付け算出した結果は、「官公庁・公社・団体」が突出してのトップ、以下2位に「医療・調剤薬局」、「総合商社」と続きます。子供に働いてほしい企業の1位は「公務員」2位「トヨタ自動車」3位「NTT」となりました。

 

 子供の社会人としてのこれからに望むことは、「新卒で入社した会社で正社員として長く勤めてほしい」(39.1%)、「子供がきめたのならどんな働き方でも良い」(36.1%)となりました。前者は母親が、また後者は父親が多い傾向にあり、入社後してほしい企業の特徴として「経営の安定している」(46.2%)と最も多く、安定=公務員・大企業のイメージが調査結果に表れているようです。子供の就職活動について「楽な環境(多少+かなり)」と答えてた保護者が前年と比べて増えて増えていることも特徴です。

 

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2018年

12月

19日

組織活力と管理職の悩み

 我が国の人口構造の変化は、働き手の不足だけではなく、多様化する個人の豊かさや希望、価値観など従来のビジネス・マネジメントとは違う本質に大きな変化が起きています。雇用の流動化、ビジネス環境の激動的な変化、答えのない時代に向かう部下の主体的対応と成果を生み出すための共創型・コラボレーションなど、企業は人と組織の新たなマネジメントの仕組みを作っていく必要があります。新たな時代の人の組織をマネジメントする管理職の役割はますます重要になっていきます。12月6日、日本能率協会は部長・次長200人、課長職200人を対象として「組織活力とマネジメント意識調査」を実施し、このたび結果を発表しました。

 

 自身がマネジメントをしている部・課について7割以上が「活気がある」と回答しており、理由としては「困ったときの助け合い」「情報共有や学びあい」「創意工夫ができている」を上げています。日頃のマネジメントの悩みは「特定の人に仕事が偏る」が、「活気がある」「活気がない」と回答した部課長の4割を超え、ほとんど差がない結果となっています。日頃のマネジメントで心掛けていることでは、「活気がある」と答えた部課長では、34.5%が「責任は自分でもつこと」と答えたのに対して「活気がない」と答えた部課長では、25.7%と10ポイント近い差がみられました。

 

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2018年

12月

08日

戦略としての勤務間インターバル

 働き方改革関連法の成立の伴い、労働者がそれぞれの事情に応じて多様な働き方を選択す社会を実現するために、長時間労働の是正など労働基準法等の改正が行われます。時間外労働の上限規制の強化と併せ、努力義務ですが勤務間インターバル制度の普及促進も課題として挙げ、来年4月から施行されます。勤務間インターバル制度とは、「終業から次の始業までの休憩時間を確保する」仕組みを言います。例えば、仕事が深夜まで及んだ場合、次の日の始業時刻をずらして、睡眠時間を含め、まとまった休息時間を確保することが目的です。

 

 働き方改革は、日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働くという考え方そのものに手をつけていく改革と定義するように、来年度から「今までの常識が通用しない」時代になりそうです。「同一労働同一賃金」を基盤とする賃金制度の変革は、戦後日本の「人基準」から、欧米型の「仕事基準」に転換を図る必要がありますが、労働時間の考え方も今までとは違う取り組みが必要になります。ヨーロッパでは、EU労働時間指令など労働者の健康のため、特にフランスの労働時間は厳しい上限規制があります。勤務間インターバルが11時間、勤務間休憩1時間を含めて、1日の労働時間上限が12時間、週48時間を上限とする労働時間が義務となっています。ヨーロッパの労働時間の管理は、労働者の健康の確保を目的とあいています。

 

 

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2018年

11月

30日

魅力ある職場とは・・

日本能率協会は、第9回ビジネスパーソン1000調査(理想のチーム編)を実施、会社員が所属する身近な単位(課、グループ)に焦点をあて、働く人の満足度やモチベーションの影響についての意識を調査しました。現在の職場のチームに雰囲気に満足していると答えたのは、全体として半数以上(54.5%)の人が満足していると答えています。年代・雇用形態別で見ますと、50才代では52.4%の人が、また非正規雇用の人の51.4%が「満足していない」と回答しています。年代別でみると20代、60代では約6割が満足している結果ですが、50代では不満に感じている人が20.3%と突出しているのが特徴的です。

 

 業績以外で満足している理由としては、「困ったときの助け合い」「創意工夫」「情報の共有と学びあい」ができているからとしています。反対に満足していない理由として、「フェアな評価」「困ったときのの助け合い」「本音を話す」などがあがっています。男女別でも理由に対する評価に特徴があり、「困ったときの助け合い」を満足の理由としている女性は男性に比べて7.1ポイントも高い傾向にあり、お互い助け合う職場環境は女性には良い満足を与えるようです。逆に満足していない理由として「チームリーダー独断の決定」では、男性より女性のほうが不満がもたれるようです。(男性より6ポイント高い17.6%)

 

 

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2018年

11月

22日

法改正で厳しくなる労働時間の把握義務

画像;忙しく電話対応をする会社員

 「同一労働同一賃金」「労働時間の削減」などを柱とする「働き方改革関連法案」ですが、2019年4月から大企業において「時間外労働の上限規制」、1年遅れて中小企業でもスタートします。これにより時間外労働の上限は、原則月45時間、年360時間として、臨時的な特別な事情がなければ超えることができなくなります。

 中小企業においては、1年遅れの2020年4月となりますが、来年4月から管理職や裁量労働制が適用される人を含むすべての従業員の労働時間の把握・管理をする義務が課せられます。

 

 労働時間とは使用者(会社)の指揮・命令下に置かれている時間で使用者の明示・黙示の指示により業務に従事する時間はもちろん、参加することが義務付けられた研修・教育訓練の受講なども含まれます。

 使用者(会社)は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し適正に記録することが義務付けられていますが、原則的には自ら現認することによって確認、記録することとなっています。または、タイムカード、ICカードなどを客観的記録を基礎として確認・記録することになっています。従業員の自己申告で労働時間を把握している場合、注意が必要です。

 

 

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2018年

11月

20日

労働者派遣法改正と働き方改革

 平成27年の労働者派遣法の改正から3年が経過し、平成30年9月30日から同じ事業所で3年を超えて働くことは基本的にできなくなりました。一定の手続きを経て、派遣先の異なる「課」などへ移動するなどすれば継続して3年間の派遣が可能になります。その場合、派遣元において、派遣先への直接雇用の依頼などの雇用安定措置の義務が課せられます。ただし、働く人が派遣元事業主に対して、派遣終了後も継続して就業することを希望する場合は雇用安定措置の対象となります。働き方改革関連法案の成立により、労働者派遣法の一部も改正されます。

 

 同一労働同一賃金に向けた不合理な待遇の禁止等は、パート・有期雇用労働者と同様に均等・均衡ルールが適用されます。しかし、雇用主が派遣元であるのに対して、就労先が派遣先であるという特殊性から①派遣先労働者との均等・均衡による処遇改善、②労使協定に基づく一定水準を満たす待遇決定による処遇改善の二つの方式のいずれかを選択できます。エン・ジャパン(株)では、派遣社員に聞いた「同一労働同一賃金」の意識調査結果を14日に発表していますので紹介します。同一労働同一賃金の概要を理解する人は2割に留まりますが、8割が不合理な待遇格差の解消には肯定的です。

 

 

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2018年

11月

13日

新入社員の早期離職と対策について

 年々、新規学卒者の獲得に悩みがつきない企業の人事担当者ですが、入社後、会社と新入社員とのミスマッチも絶えず、突然退職すると言い出して周囲を驚かせる人も多いようです。厚生労働省では、このほど平成27年3月に卒業した新規学卒就職者の3年以内の離職状況について取りまとめた結果について公表しました。それによりますと、新規高卒就職者の約4割、新規卒者の約3割が、就職後3年以内に離職していることが分かりました。学歴ごとの離職率の高さは、昔に比べて特に高いわけではなく、10年以上ほぼ横ばいの状況ですので最近の若者は、打たれ弱いとの評価は適切とは言えないようです。

 

 社会状況の急激な変化や労働人口の減少局面において、一人当たりの業務量が増える昨今、やっと入社してくれた新規学卒者の早期離職は企業の成長にも悪影響を与えるためにも需要な課題といえます。新規学卒就職者の事業所規模別の離職率は、100名以下の事業所で高卒、大卒とも高い傾向にあります。産業別就職後3年以内離職率の高い上位産業は、1位は高卒、大卒とも「宿泊業・飲食サービス業」、2~5位は高卒、大卒で順位は違いますが、「教育・学習支援業」「生活関連サービス・娯楽業」「医療・福祉」「小売業」となっています。

 

 

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2018年

11月

03日

働き方改革とオランダ型アプローチ

 かつては「オランダ病」と揶揄されたほど経済活力の点で問題を抱えたオランダが、パートタイムと常勤雇用の時間当たり賃金と社会保険の差をなくし、一種のワークシェアリングを全国的に行ったことで「オランダの奇跡」と呼ばれるほどの経済復興を成功させました。

 労働時間の短縮・延長を労働者が申請する権利を認めるなど、労働時間の選択の自由度を高めたことが女性の就業率アップに貢献してきたとされています。

 

 かつては日本同様に男女の役割分担や子育てに関してキリスト教的家族観が一般的であったオランダですが、人口構造の変化から女性がキャリアを持ち、男性も親の役割を果たすために社会が変わるべきという危機感が高まっていったようです。1990年以降、短時間勤務でもキャリア形成を可能とする法制度が確立し、現在、女性の多くが週20~32時間の就労をしており、男性のパートタイムも浸透し総就業人口の4割近くに達しています。職務が明確な「ジョブ型」の働き方がパートタイム雇用を促進させ、多様なダブルジョブの働き方が、個人の職業能力向上に相乗的な効果を生んでいます。

 

 

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2018年

10月

30日

働き方改革と組織開発について

 働き方関連法案の成立から、企業では時間外労働の削減、年次有給休暇の取得拡大と来年4月の法施行に向けて様々な施策を考え、実施していますが、人手不足など多くの要因から、なかなか残業が減らない現実ではないでしょうか。業務の見直しなど業務の効率化に向けた動きは、少子高齢、1億総活躍社会に向けて、仕事と家庭生活の調和、家庭内の役割分担からも企業として準備すべき課題になっています。個人個人の事情から様々なライフイベントで、社内の他の仲間に助けてもらう場面も増えてきます。気軽に相談できる風通しの良い職場環境をつくることも大事です。

 

 働き方改革のもう一つの側面、知識労働による生産性の向上とのバランスも考えていく必要があります。テクノロージーの進化によりAI・機械が人間の仕事を代替し、大きく産業構造が変わろうとしています。企業は人的・物的、あるいは社会的資源に対してより大きな富を生む能力、いわゆるイノベーションが求められます。日本は世界のどの国も経験したことのない高齢社会に入っていきますが、人生100年時代にむけ定年制度や既存の働き方に大きな変化が生まれます。大変革の時代に、決められた仕事を効率よくこなすだけでは企業は生き残れず、個人個人が自己研鑽をし、知的生産性向上を目指すことになるでしょう。そのためには新たな組織開発が必要です。

 

 

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2018年

10月

19日

最低賃金改定に関する企業の動き

 10月1日から中旬にかけて全国都道府県の最低賃金が改定されます。福島県は10月1日から前年比24円引き上げの時間額772円となり最低賃金が時給で決まるようになった2002年度以降で最高額の引き上げ額となりました。最低賃金に抵触する学生アルバイトなどの賃金については、10月1日以降の時給引き上げは実施されていると思いますが、最低賃金額に抵触しない時給引き上げについて実施の時期等、企業全体の人件費上昇による企業収益が懸念されるだけに、他企業の動向が気になるところです。そんな中、帝国データーバンクでは「最低賃金改定に関する企業の意識調査」(2018年9月実施)を発表しました。

 

 最低賃金の改定を受けて自社の給与体系を「見直した(検討している)」企業は44.0%。「見直していない(検討していない)」は40.0%。前回調査2016年9月時点と比較して「見直した」企業の割合は9.0%増と最低賃金改定が従来より見直すきっかけとなっているようです。今回の最低賃金の引き上げ額について、「妥当」が43.8%が最も多く、「低い」(15.2%)「高い」(13.7%)を大きく上回っています。最低賃金改定に伴い収入増加による消費活性化が期待されるところですが、消費回復効果について「ない」とする企業が54.6%、「ある」とする企業は9.0%にとどまっています。

 

 

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2018年

10月

16日

2018年度・回復基調の国内景気と懸念事項

 この度、帝国データバンクは「業界天気図」(動向調査・2018年度見通し)なる景気動向調査に基づく100業界198分野の業界動向について、業界天気を予想し展望をまとめた結を発表しました。2万社超えの企業を対象として、企業業績や各種統計データー、業界ニュースなどから、各業界・分野の展望を天気図として、最も良い「快晴」から、最も悪い「雷雨」の7段階に分類して、帝国データーバンクが総合的に判断するというユニークな企画です。

 

 それによりますと、2018年度の天気予想は、「快晴」が1分野、「晴れ」が27分野、「薄日」が最多の64分野、「曇り」が63分野、「小雨」が20分野、「雨」18分野、「雷雨」が5分野となっています。2017年度と比較して天気の「改善」を見込むのは22分野、「悪化」は10分野とTDB業況指数は53.0と改善は続くものの2017年度と比較して改善ペースは鈍化すると予想しています。業況の改善が見込まれる主な業界・分野は「ホテル・旅館」「工作機械」「繊維」となり、悪化が懸念されているのが「自動車」「石油化学」「医薬品」となっています。深刻度を増す企業の人手不足は、改善が見込まれる「ホテル・旅館」のみならず幅広い業界の影響へと広がり、流通業やサービス業などでも人件費コスト増加が業績に悪影響を及ぼすなど、人材の確保が経営の懸念材料となっています。

 

 

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2018年

10月

11日

増える介護離職とNECの新たな取り組みについて

 少子高齢社会における数々の課題の中で、企業の人材支援を仕事とする小職の悩みの一つが、親の介護のために仕事を辞めざるを得ない「介護離職」の問題です。総務省の「平成29年就業構造基本調査」によると、2016年10月から2017年9月までの1年間の介護離職者数は9万9千人と5年前の前回調査と比べてほぼ横ばいであることが分かりました。2017年1月に介護離職を食い止めるために「介護休業法」が改正されていますが、3年を1期とする第7期介護保険事業計画の今年は初年度にあたり、在宅医療・訪問介護を柱とする地域包括システムが本格化する年になります。介護事業の深刻な人手不足を考えると企業の対策は重要です。

 

 「改正介護休業法」では、これまで介護を必要とする人が家族にいた場合、1人について通算93日の「1回のみ」の介護休業が認められていました。今回の改正では日数通算93日は変わりませんが、回数が3回となり分割して介護のための休業が可能になりました。介護休暇の取得についても「1日単位の取得」の基本原則から「半日休暇」の取得も可能となり「午前中は仕事」「午後は介護」の選択も可能になりました。介護休業と別枠で3年間の間で2回以上の介護のための労働時間短縮措置や所定労働時間外労働の免除など、以前に比べ使いやすくなっています。

 それでも、平均男性約9年間、女性約12年間、家族のみならず誰かによる生活の支援や介護を要する長い期間、どのように社員の離職を防ぐこと対策を講じるかは企業の大きな課題です。

 

 

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2018年

10月

05日

労働経済の分析から見えてくる人材育成

  厚生労働省は、9月28日、「働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について」と題する2018年版「労働経済分析」(労働経済白書

を公表しました。働き方の多様化に対応した能力開発や雇用管理の在り方について、さまざまな視点から多面的に分析を行っています。

 雇用情勢の概況は、2017年度の完全失業率2.7%と24年ぶりの低水準となり、有効求人倍率は1.54倍と44年ぶりの高水準にあり、雇用人員判断DIによる2018年3月調査では、全産業・製造業・非製造業のいずれもバブル期に次ぐ人手不足感となっています。

 一般労働者の名目賃金は5年連続、パートタイム労働者の時給は7年連続、増加しています。一般労働者の賃金(平均値)に着目すると、女性・高齢者の労動参加比率の上昇は、全体の賃金水準(平均値)に対してマイナスに寄与しています。

 

 労働生産性の上昇率の低下は、国家的な課題となっていますがIT資本などの投資に加えて、人への投資促進の重要性を訴えています。日本のGDPに占める企業の能力開発費の割合は米国・フランス・ドイツ等先進諸国と比較しても低下傾向にあり、労働者の人的資源が十分に蓄積されない懸念があります。他方、人手不足感が強い企業・業種を中心に人材育成を重視する動きもあり、今後も一層推進されることが見込まれています。製造業や情報通信業などでは、大企業の能力開発費が高いことで企業規模間の格差が生じています。小売業、宿泊・飲食サービス業では、大企業の能力開発費が低く、中小企業の方が高いことが特徴的ですが、全産業でみると能力開発費は大幅に低い水準にあります。

 

 

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2018年

9月

28日

人口構造の変化とイノベーション

 日本に人口急減・超高齢化が経済社会に及ぼす影響として、労働力人口減少による経済規模の縮小や社会保障制度・財政に持続可能性への不安が言われています。くわえて若者の既婚率の低下、少子化が、ピラミッド型の人口構造からが逆三角形(棺桶型)となり、人類史上初めてとなる人口構造へ、日本が世界に先駆けて突入しようとしています。ドラッカーは、イノベーションの機会を捉えるとき、人口の増減、年齢構成、雇用、教育水準、所得など人口構造の変化ほど明白なものはなく、見誤りようがないと言っています。しかも、リードタイムまで明らかです。

 

 20年後の労働力は、すでに生まれている子供たちであり、今日、生まれた赤ちゃんです。40年後に退職年齢に達する人たちは、現在すべて働いています。人口構造の変化が社会に影響をもたらす頃まで、どのようなことが変わり、何が必要となるのかが、予測可能なリードタイムです。このような人口構造の変化が企業家にとって実りあるイノベーションの機会となるのは、ひとえに既存の企業や公的機関の多くが、それを無視してくれているからであると、ドラッカーは言い切っています。(イノベーションと企業家精神)人口構造の変化を示す明らかな証拠「有効求人倍率」の変化を、経済政策(アベノミクス)の成果とする政府の見解が、正に当てはまるようです。

 

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2018年

9月

24日

働き方改革と社会的イノベーション

 自民党総裁選も終わり、「働き方改革」を日本経済再生に向けたチャレンジと位置づける国の動きはさらに活発になると思われます。政府ではこの改革は、日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本人の働き方に対する考え方に手をつける大改革としていますが、正に戦後初めての労働法制の大改革であり、定年延長も視野に、老齢年金受給年齢の変更や社会保障制度の変更も考えられるかもしれません。改革を進めるにあたって、少子高齢化、働き手の現象という人口構造の問題に加えて労働生産性の減少、革新的技術への投資不足など日本のイノベーション欠如が問題視されています。

 

 65歳までの生産年齢人口の減少と社会保障問題、企業の収益率向上をなど課題解決には、在職年数の応じて昇給する仕組みから、仕事を基準とした同一労働同一賃金を基盤とした欧米型の賃金制度を導入する必要があります。これは戦後日本の賃金体系の仕組みを大きく変えることなので、働く人だけではなく経営者にも抵抗があるかもしれませんが、正規・非正規労働に対する格差是正、厚生年金の加入拡大などにより、育児・介護など働く人のライフスタイルに合った就業形態の選択が可能になります。中小企業の継続的な人材確保のためには大事なことです。

しかし、欧米の賃金制度の考え方を、そのまま日本に取り入れることには無理がありますし、企業においても慎重に分析・立案の必要があります。

 

 

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2018年

9月

20日

重要性が増す働き方改革の取り組み

 今年6月、参議院で「働き方改革関連法案」が可決・成立、2019年4月1日に一部法律が施行されることになり、企業の関心も高まっています。厚生労働省が発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は、1.63倍と44年ぶりの高水準となりました。人手不足が続くなか、働き方改革の取り組みは人材の採用や定着、育成ともに業務改善、投資やイノベーションに向け今後ますます重要になると考えられています。そのような中、帝国データバンクでは、8月に「働き方改革に対する企業の意識調査」を実施、全国9918社から回答を得て、調査結果を公表しました。

 

 働き方改革の取り組み状況では、「取り組んでいる」(37.5%)、「現在は取り組んでいないが今後取り組む予定」(25.6%)と6割以上の企業が取り組みに前向きな結果になりました。反面、「取り組む予定はない」(15.1%)とする企業もありました。取り組みの具体的内容は、労務・人事面の「長時間労働の是正」(79.8%)が最も高く、「休日取得の促進」(68.1%)が続き、「人材育成」が56.3%となっています。業務改善(生産性向上)では「業務の合理化や効率化のためのIT・機械・システムの導入」(21.5%)、経営・事業では「従業員の理解を得ること」が高かったようです。

 

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2018年

9月

08日

福祉職員研修

 来週、福島県社会福祉協議会が主催する福祉職員の研修講師を務めます。正式には「福祉職員キャリアパス対応研修過程チームリーダー研修」といいます。これは全国社会福祉協議会が障害・高齢・児童の福祉の全分野に共通して求められる能力開発の基礎研修として開発したものでキャリアパスの段階に応じて求められる能力を段階的・体系的に習得することを目的としています。都道府県単位で同じテキスト、研修体系で実施されますが、研修内容に特徴を持たせるなどは講師に一任されています。

 私は全国的にも珍しく、また福島県内では唯一福祉分野以外の講師なので、コンサルタント・社会保険労務士が得意とする組織や人に関する研修に力点置いて行っています。今年は、「働き方改革推進支援事業」のセミナー、研修の講師も多く行っていますので、改革のポイントと実務も伝えたいと思っています。

 

 研修は今年で4年目になりますが、福祉を取り巻く環境が変化し、受講する職員の皆さんも意識にも変化が見受けられ、毎年、現実の課題や将来の不安など抱える課題が大きくなっているような気がします。私の担当する研修は、中間管理職を対象としています。職責であるチームリーダーとして、研修を終えてから、法人に帰ってから、実務に生かしてもらえるような研修を心掛けています。今日は研修のポイントやグループワークで気づきにつながる話など、テキスト各章のポイント、ポイントで伝えたいことをまとめていました。

 受講生は、福島県内の社会福祉の法人から3日間の日程で参加し、前半後半2名の講師が担当することになります。今年は1グループ多い66名の参加とのことでしたので、発表時間などのスケジュール管理を意識する必要がありそうです。

 

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2018年

9月

04日

今後、活発化する転職活動

 求人情報サイト エンジャパン(株)では、転職サイトを利用している35歳以上のユーザーを対象にアンケートを行い1151名から回答を得、このほど公開しました。それによれば69%の人が異業種転職を検討しており「新しい経験により自分を高めたい」理由が最多となっています。実際に異業種転職者の経験者に「よかった」と感じることを尋ねると、「スキルの向上」「視野が広がった」「仕事の幅が広がった」とする意見が、複数回答方式ですが半数以上が答えています。逆に苦労については当然ですが、「新しい知識を覚えること」「異なる習慣、業界風土に馴染むこと」となりました。異業種転職は、新しいことに挑戦する苦労以上に得るものが多いようです。

 

  1960年代に年率10%を超えていたGDP(国内総生産)成長率が、2000年代以降1%を超える程度に落ち込んでいる国内経済、GDP成長率を雇用の流動化によって、持続的な経済成長につながるのではないかという政府の期待が「働き方改革」の一つの方向性です。転職によって賃金が増加し、個人消費増大への好循環サイクルが現実のものかといえば、近年の「雇用動向調査」でも40歳代以降の人は減少することが多いようです。しかし、20歳~30歳では、転職後に賃金の増加するほうが多いようで、前述のエンジャパンの調査でも、30代の転職理由として「年収水準の高い業界に移りたい」「働く業界に拘りがない」「休日休暇など時間的待遇を改善したいから」などが上位に挙がっています。

 

 

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2018年

8月

29日

パート採用・定着のポイント

 今や正社員、パート社員ともに多くの業種・企業で人手不足の状況です。企業にとってはこれからが正念場、本格的に始まる人手不足地獄にどのように向き合い、どうのような人材活用に仕組みを作っていくのかが企業の死活問題となってきます。パートタイマー募集に関しては、最低賃金引上げ、人手不足による募集時の時給が上がり続け、主婦・高齢者の活躍が期待されるところですが、企業としては働き方や雇用形態など工夫が必要な時代になってきます。働く側のパートを選んだ理由(複数回答)としては、「自分の都合の良い時間(日)で働きたいから(57%)」「勤務時間・日数が短いから(39.4%)」「就業調整ができるから(20.2%)」と企業都合より働く側の都合に合わせざるを得ない状況が垣間見れます。(厚労省:平成28年パートタイマー労働者実態調査より)

 

 生産年齢人口は確実に減り続けていますが、その労働力をカバーしているのが女性(主婦等)であり高齢者です。過去10年間のパート労働者は増え続けていますが、総実労働時間の平均は平成29年度1033時間、約50時間減少しています。(一般労働者2026時間)パートタイマーの働き方として、曜日や時間が短いことが採用のポイントとして定着しつつあるようです。今後も時間や曜日を指定して働く「プチ勤務」が広がりそうですが、1人より2人採用すれば長時間働かせることなく残業代の必要ないとお勧めするのですが、マネジメントが面倒と思われている経営者の方が多いようです。業務のマルチ化を進める、シフトを工夫するなど働き方の考え方を変えることが、政府の進める「働き方改革」の本質ですので、企業にあった施策が必ず見つかるはずです。

 

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2018年

8月

23日

介護離職の対策と企業防衛

 家族で介護が必要になったとき、従来は女性が大きな役割を果たしてきました。しかし、現在では、未婚化や晩婚化、核家族化、女性の社会進出などにより、女性・男性問わずに介護の担い手になる時代です。4人に1人が仕事をしながら介護を担う時代を迎え、私の顧問先・関与先でも社員の介護に関する相談が増え、多くの会社で他人事ではなくなってきています。株式会社インテージリサーチでは、2017年3月に「介護離職に関する自主企画調査」を実施し、2018年追加レポートを公開していますので、この調査結果を参考に企業の対策について考えていきたいと思います。

 

 35~59歳に被雇用者のうち、介護保険制度を利用中・利用はしていないが制度概要を「理解している」と答えた人が4割、名称を知る程度、または全く「知らない」と答えた人が3割と介護保険制度の理解が国民に十分普及していない結果になりました。また、「仕事と介護の両立」を支援する会社の制度は、「介護休業制度」「短時間勤務制度」「フレックスタイム制度」「在宅勤務制度」などの導入がなされている企業がある一方で、6割以上の人の会社などで「ない」との結果となり、制度の導入の遅れが目立つ結果となっています。また、雇用形態別では、非正規社員が正規社員に比べて支援制度を利用できないなどの課題も残す結果になっています。

 

 

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2018年

8月

19日

子育て世帯の就業支援について

 深刻な少子化の進展に伴い、子育て問題に対する国民の関心も高まっています。出産費用のほぼ全額助成、乳幼児医療費の無料化、育児休業制度の充実等、子育て世帯に対する社会支援も着実に強まる方向に進んでいますが、今どきの子育てが昔に比べて「楽になった」「ゆとりが持てるようになった」などポジティブな評価は、母親からほとんど上がってきません。労働政策研究・研修機構では「子育て世代のディストレス」と題した調査報告書、「女性の活躍促進に関する調査研究プロジェクト」と題する研究報告書を公開しています。労働力減少期の女性の働き方について、参考になる資料かと思われます。

 

 女性の就業という視点から見ると、結婚や出産を分岐点として仕事をやめる、続けるまたは出産後の再就職の有無など男性よりライフコースは多様にならざるを得ない環境にあります。「第1子出産前後の就業状況」についての調査結果の大まかな傾向になりますが、出産前後から多くが正社員である「正規群」では、出産1年後には80%、3年後には83%の人が引き続き正規として働く傾向にあります。出産前後では、54%が非正規、36%が正規であった「非正規群」グループでは、確率的に出産1年後にはその半数が、3年後には4分3が就業し、その地位はパート、契約・派遣社員等になっています。

 

 

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2018年

8月

14日

直近!、「仕事のやりがい」調査について

画像;仕事のやりがいに燃える会社員

エン・ジャパン株式会社では運営する「入社後」まで見据えた総合求人・転職支援サービスHP「エン転職」の登録ユーザーを対象に「仕事のやりがいと楽しみ方」についてアンケートを実施し9297名の回答を得て、今月9日、調査結果を発表しました。それによりますと、「仕事において、やりがいは必要だと思いますか?」の問いでは、回答者の96%が必要だと思うと回答しました。その理由を問うと「仕事そのものが充実するから」「自分の成長感を得たいから」「自分の存在価値を感じるから」が上位3位になっています。男女間の大きな差はありませんでしたが、女性がやや自己内面性を重視し、仕事を楽しもうとする傾向が強いようです。

 

 「仕事において、やりがいを感じることを教えてください?」との問いには、「お礼や感謝の言葉をもらうこと」「仕事の成果を認められること」が上位2位になっています。着目すべきは男女間で、10ポイント以上の差があることです。お客さん喜んでもらえたこと、同僚からの仕事を認められたエピソードなどがありますが、やはり女性には「しっかり言葉で、感謝や仕事の成果を認めることが大事」です。アンケートでは5位の結果ですが、「自分の成長を感じること」では、男性41%に対して女性51%と自己啓発や職業教育に関心を持たれていることが覗えます。働き方改革でも、女性のリカレント教育などの個人の学び直しについて支援が実施施策とされていますので企業としても導入の検討が必要なようです。

 

 

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2018年

7月

31日

企業の「学び直し」の実態と意識について

 我が国では、労働力人口の減少や技術革新の進展など社会環境の変化により、雇用や人材育成などの社会政策の変化のみではなく個人の就労意識の変革も求められています。そのような環境の中、第一生命ホールディングス(株)のシンクタンク(株)第一生命経済研究所では、2000人を対象とした「人生100年時代の働き方に関するアンケート調査」を実施し、民間企業で正社員で働く男女の職業能力開発(学び直し)の実施状況について分析を行っています。

 学び直しを「現在、行っている」11.3%、「現在は行っていないが、過去に行っていた」14.6%となり学び直し経験者は4人の1人という結果になりました。

 

 「これまで行ったことがないが、将来に行おうと思っている」という実施希望者が24.7%いる反面、「行うつもりがない」(46.6%)と回答した人が約半数に上ります。それでは学び直しに消極的な層の就業意識の質問では、「自分はどのような仕事がしたいかわかっている」「仕事を通じて自分を高めたい」とする回答が男女とも約半数と、学び直しを実施している層との差は、10~30ポイントと大きな差がありませんでした。

 大きな差が出たのは「長く働き続けるためには学び直しが必要である」「長く畑r機続けるために、学び直しをしたい」の質問では、学び直し経験者は7割以上、学び直しを行うつもりがない人は3割が回答しています。

 

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2018年

7月

24日

テクノロジー活用と労働時間の意識

 NTTデーター経営研究所は、2015年より実施している働き方改革の企業の取り組み状況調査についての結果を発表しました。今年の調査ではRPAなどのテクノロジーの活用やHRテックに対する意識について調査が行われ、今後の働き方改革の方向性が垣間見れる内容ではないかと思われます。働き方改革に取り組む企業は、年々増加し、今年度は38.9%となっています。ところが、企業規模でみると1000人以上の企業では62.3%の企業が取り組んでいるのに対して、従業員100人未満の中小企業では、わずか17.7%と残念な結果になっています。

 

 業種別では、金融保険業、通信・メディア業は55%以上、情報サービス、製造業40%以上の取り組みとなっており、運輸・建設、不動産、教育・医療・その他サービス業でも31%~約34%となっています。取り組んでいる企業の40%以上の従業員が「休暇取得の推進」「働かい方改革に対するトップマネジメントの発信」や「労働時間の見える化」などの実施内容について継続を要望しています。改革を取り組むうえで「就業時間外の同僚・上司からの緊急性のないメールや電話の対応あり」30%以上の人が対応せざるえないと答えており、社内コミュニケーションや会議のありかた、ルール化の検討が必要としています。

 

 

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2018年

7月

18日

働き方改革関連の助成金について

画像;復興された相馬市大洲海岸

 暑い日が続きますが少しでも涼しく感じるように、写真は復興された相馬市大洲海岸の湾岸道路からの撮影です。この道路を走ってみると東日本大震災の凄さを改めて感じるとともに、あの日から福島県を含む被災県の自然や生活環境は大きく変わったことを実感せずにはいられません。西日本の豪雨災害でも多くの方々が被災され大変な思いをされていますが、震災当時の全国からのご支援を思い出し、感謝の気持ち、微力ですが自分ができることからしました。早期の復旧・復興を願っています。

 

 最近の人手不足や働き方改革を巡る時代の変化に、人手不足の対策や制度の改定、規則の変更などのコンサルタントの仕事が増えています。特に多くの企業で深刻なのが、人手不足の対応で小規模な企業であればあるほど一人の力が大きいのでより良い職場環境にするために何をすべきかを経営者と相談しながら進めています。私の大きな変化として、制度を変えるにしても新たな仕組みを導入するにしても、使える助成金がないか調べるようになったことです。以前は、助成金ありきのコンサルタントはしないことにしていたのですが、人手不足で労務コストの上昇や働き方改革推進から、前向きに人事労務の改革を進める企業様に対して、もし要件にあう働き方改革関連の助成金があれば申請することをお勧めしています。

 

 

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2018年

7月

13日

急増する人手不足倒産!

 さまざまな業界で人手不足を訴える企業が増える中、帝国データーバンクでは、従業員の離職や採用難により収益が悪化したことを要因とする倒産(負債1000万以上、個人事業含)を「人手不足倒産」と定義し2013年より集計・分析しています。

 2018年(1~6月)では、70件発生し件数では3年連続で前年同期を上回り、調査開始以降、半期ベースで最多となり年間合計でも最多となりそうな勢いです。業種別では「サービス業」が最多の19件で前年同期比26.7%増加となり、調査開始以降の累計でも「道路貨物運送業」「老人福祉事業」「木造建築工事」と人手不足の苦しむ業界が上位になっています。

 

 業種別の倒産要因として、「道路貨物運送業」では景気回復や通販市場の拡大など配送需要が高まってもドライバーの確保が追い付かず新規受注難から指揮繰りの悪化をまねくケース、「老人福祉事業」でも、スタッフの確保が追い付かず十分な介護サービスが提供できなかった理由などがあります。「木造建築工事」では、施工現場での職人不足による受注減や外注費の増加など理由となりますが、人手不足に陥る企業の特徴として勤務する中間管理職の離職に端を発しての離職連鎖が多くみられます。「人手不足」は企業にとって大きな問題ですが、労働者にとっては「転職バブルの到来」で給与アップの機会でもあり、政府がすすめる「働き方改革」の目指すところでもあります。

 

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2018年

7月

05日

2018年度賃上げの動き

 6月26日、厚生労働省の中央最低賃金審査会(厚労相の諮問機関)は2018年度の最低賃金改定に向けた議論を始めました。2017年度は全国平均で前年度比25円増の時給848円となりましたが、地方と大都市の格差は拡大し、地方を中心に働き手の流出を防ぐために格差是正を必要とする声が広がっており、今年度の対応が注目されるところです。そんな折、28日に全労連や中央労連でつくる国民春闘共闘委員会は、単産・地方代表者会議を開き2018年春闘の中間総括を確認しました。

 

 5月25日時点の登録組合の賃上げ集計としながらも、前年同期で190円増の5479円(回答を引き出した467組合)、全体の賃上げ集計でも単純平均で前年386円プラスの5075円(回答額提示のあった883組合)となりました。非正規労働者の状況についても、時間額での引上げ報告があった単純平均額が22.8円となり前年より3.1円増えています。全体の4分1で定期昇給+ベアを獲得した実績を踏まえ、「賃上げの動きが産業・規模・地域を超えて広がっている」と評価しています。

 今後の最低賃金改定に向けた動きに、何らかの影響及ばすことは間違いありません。

 

 

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2018年

6月

27日

地方都市の若者が働く場の問題について

 生産年齢人口の減少が大きな課題になっていますが、全国的に雇用情勢の改善傾向が続くものの、東京一極集中の傾向は継続し、地方では人口減少、過疎化は特に深刻になってきています。地方からの若年者流失、人口減少傾向は地域社会の存立危機の課題と意識せざるを得ない状況になっています。若者が地域に定着しない大きな問題の一つは地域の就業機会であり、地元に働く場のないことが一つの要因とされ、行政、企業に対して若者が地域に定着していける「仕事づくり」が求められています。

 

 地方都市における課題と取り組みについては、賃金・労働時間などの労働条件面で求人と求職者の希望が折り合わないミスマッチが顕在化しているといわれます。賃金水準が低いこともありますが、地方では事務職等のオフィス勤務の仕事が限られ、医療福祉、介護や飲食店など夕方・夜間勤務や土日勤務のともなう仕事の割合が大きくなってきます。2018年「子供・若者白書」でも報告されていますが、仕事より家庭・プライベートを優先したい若者が増える傾向にあり、働き方は暮らし方そのものと考えています。働き方改革関連法案の審議を待つまでもなく、AI活用、時短など若者定着に向けた企業の取り組みは直ぐにでも必要なようです。

 

 

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2018年

6月

20日

ハマキョウレックス事件と賃金制度

画像;渋滞する高速道路

 6月1日、非正規労働者の待遇格差を巡る裁判(ハマキョウレックス事件)の最高裁判決が言い渡されました。契約社員やパート、嘱託社員などのいわゆる非正規社員と正社員との不合理な待遇格差を禁じる労働契約法第20条(以下、「労契法」)を巡る裁判で、手当の格差について「一部・不合理」とする判断を示しました。正社員と非正規社員では、就業規則が別個に作成されていましたが、労契法20条に違反する場合でも、正社員の就業規則と同一になるものではないと、地位確認請求は退けられました。

 

 今回の判例では、労契法20条に定める不合理判断について、正社員に支給される手当について非正規社員を不支給とするのは違反として、高裁にて認定された4手当と新たに「通勤手当」について高裁判決を破棄し、差戻しました。労契法20条では「職務内容(業務・責任)」「職務内容・配置(人材活用の仕組み)「その他の事情」を考慮して判断することになっていましたが、今回の判決で業務・責任と人材活用のしくみに違いがあった場合でも、均衡待遇は求められることが示されました。支給に合理的な理由がなければ、非正社員にも手当など支払う必要がありますし、支給内容に方向性・合理性を持った賃金制度でなければ裁判で負けることがわかりました。

 

 

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2018年

6月

12日

人材不足時代のシニア戦力期待

 国会で審議中の「働き方改革関連法案」には、少子高齢化による労働人口減少、人手不足を見据え高齢者雇用の制約要因の減少など高齢者活躍のための法案も多く含まれています。この方向性は、人手不足に悩まれる中小企業・小規模事業者の人手不足のチャンスと取られてよいのではないでしょうか。平成29年高齢社会白書によりますと、労働力人口に占める高齢者の比率は上昇をつづけ、平成28年の労働力人口6,673万人に対し、65~69歳450万人、70歳以上336万人で労働力総数に占める高齢者は11.8%となっています。

 

 現在仕事をしている高齢者の4割は、「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しています。70歳くらいまでもしくはそれ以上との回答を合計すれば約8割が高齢期であっても高い就業意識をもっていることがうかがえます。リーマンショック以降の数年間は、特に60~64歳の完全失業率は上昇していましたが、2016年以降は15歳以上の全年齢計と同水準になっています。今後、人手不足からシニ活用が注目されることは予測できる同時に、働き方改革においても2020年まで65歳定年引上げ、70歳までの継続雇用義務が予定され、シニアの求人市場でも不足感が高まると思われます。

 

 

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2018年

6月

04日

変わる!新入社員の意識

 日本生産性本部は5月24日、2018年春に実施した新入社員意識調査の結果を発表しました。この調査は、1990年より継続的に実施しており今回が29回目、有効回答数は1914通と経年の新入社員の意識の変化を知るのには有効な調査かと思います。今年の新入社員へ「あなたにとって、今の会社は第何志望でしたか?」の質問に対し「第一志望」4年連続で上昇し初の8割超え(80.6%)過去なりました。過去20年間で最低であった2000年(50.5%)に比べ30,5ポイント増加しています。「今の会社に一生努めようと思っている」に質問には、50.8%と2000年に比べて30ポイント以上上昇しています。この傾向は過去10年変わっていません。

 

 今年の新卒者の傾向として大手・安定の志向が強いといわれています。2000年は、長い不況時代と就職氷河期などのつらい時代を目の当たりにして、職業生活や将来に希望が見いだせずに就職に対する意識に大きな変化が生まれたと年といわれています。近年の新卒者への質問で、「職場の人たちから職場の飲み会に誘われました。同時に友人からも同日の飲み会の誘いがありました。このとき、あなたは・・」・「職場の飲み会に出る」(2018年:82.3%、2000年:57.5%)、「友人と飲み会に出る」(2018年:17.7%、2000年:42.5%)と社内コミュニケーションを大事にしていることが分かります。

 

  

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2018年

5月

29日

4月の正社員不足は過去最高。

画像;駅エスカレーターでホームへ向かう人々

 2017年度の有効求人倍率が44年ぶりに高水準を記録するなど、例年、4月は人手不足感が緩和する傾向がみられる一方で企業の人手不足間は継続、労働需給はひっ迫度を増しています。この度、帝国データーバンクでは、人手不足に対する企業の動向調査を実施、約1万社の回答についての結果を発表しました。人手不足に伴う供給制約が出始め、生産年齢人口の減少が日本経済成長の懸念材料として現実性を帯び始めています。労働環境は求職者側に明るい状況となっており。就業機会の拡大や労働者の賃金上昇につながる好材料となっています。

 

 正社員が不足している企業は49.2%(昨年比5.5P、一昨年比11.6P上昇)となり4月としては過去最高を更新しました。業種別ではソフト受託開発などの「情報サービス」(69.2%)でトップとなり、「運輸・倉庫」「建設」「飲食店」など6業種で6割台、1年前より10P以上増加する企業があるなど人不足が急速に高まっています。非正社員では企業の32.1%(昨年比2.5P、一昨年比7P上昇)が不足していると感じています。「飲食店」「飲食料小売り」で7割を超え、上位10業種中6業種が小売りや個人向けサービスでの不足感が強まっていまう。規模別では大企業の不足感が一段と強まっているなか、小規模企業でも人手不足が拡大、深刻化しています。

 

 

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2018年

5月

23日

ヤマ場を迎える「働き方改革」関連法案

画像;工場で働く人

 国会は今日23日、安倍晋三首相が今国会の最重要法案と位置付ける「働き方改革」関連法案の衆院厚生労働委員会での採決をめぐり、与野党の攻防が終盤国会最初のヤマ場を迎えます。野党の立憲民主党と国民民主党は8日、政府の「働き方改革」関連法案の対案を国会にそれぞれ提出しました。高収入の専門職を残業時間規制から外す高度プロフェッショナル制度(高プロ)を導入せず、終業から始業まで一定の休息時間を空ける勤務間インターバル制度の導入を企業に義務付ける。いずれも労働者保護を前面に打ち出した内容となっています。

 

 政府は「働き方改革」を経済再生に向けたチャレンジと位置づけ、働く人の視野の立って、労働制度の抜本的改革を行うことで、働く人一人ひとりが将来の展望を持ち得る企業文化や風土の変革を目指すことを、基本的な考え方に置いています。政府の諮問機関である「働き方改革実現会議」では、働く人の賃金などの処遇改善や時間・場所などの制約の克服、キャリアの構築を進めるうえで働く人の視点に立った5つの課題を洗い出しています。それを踏まえて9つの検討テーマと現状の分析を行い、19の対応策を提示、2,017年から10年間のガイドライン、ロードマップを提示しています。今回の働き方改革では、ガイドラインが先行して後追いで法改正の準備を進めるという異例の対応を行っています。

 

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2018年

5月

11日

専門的・技術的分野の外国人人材の受け入れ

 4月26日、日本・東京会議所は、新たな在留資格「中間技能人材」の創設に向けて、「専門的・技術的分野の外国人材受け入れに関する意見」を公表しました。日本商工会議所が今年3月に実施した調査において、人手不足と回答した企業が、4年連続上昇し66.7%に達しています。また、調査では中小企業が求める外国人材は、「一定の技術を有した専門職種」または「即戦力になるミドル人材」多く、各業界、企業から受け入れを求める「生の声」が、多く聞かれる背景があるようです。これらの要望に沿った外国人材を、「中間技能人材(仮称)」として、新たな在留資格を創設することを提案しています。

 

 2017年11月28日、改正「主入国管理及び難民認定法」において在留s資格に「介護」が創設され(後日、解説します)、偽装滞在者に関わる罰則の整備を含めた対策の強化がされました。外国人労働者の雇用に当たっては、「専門的・技術的分野の外国人」を原則とし17種類の分野が限定されており、中小企業の求める人材との要件との不一致が今回の政府・関係省庁への要望・意見となったようです。具体的には、全業種を対象とせず、人手不足の深刻な業種・分野を受け入れの可否を含め総量を検討し、有効求人倍率等の調査結果により、人手不足の一過性でなく将来改善の見込みがないことを判断基準にすべきことを提案しています。

 

 

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2018年

5月

03日

適材適所に関する実態調査

画像;夕暮れのビル

 リクルートマネジメントソリューションズでは、300人以上の企業にが勤務する25歳から49歳までの一般社員・管理職を対象に「職場における適材適所に関する実態調査」の調査報告の結果を発表しました。

 規模の大きい企業特性ということだけではなく、経営側と一般従業員との関係において中小企業の人事制度にも有益な情報と思われます。

 自分にとって適材適所の実現状況について「会社・職場・仕事・上司」の4項目ついてその適合度をたずねた所、そのすべてで「とても合っている」との回答は1割に満たない結果となりました。

特に上司については、3人に1人は合っていないと考えているようです。

 

 管理職が部下の適材適所をどのように支援しているかについて質問では、「それぞれの部下に合った仕事の割当を行うように心がけている」(肯定意見91.8%)「部下の強み弱みを理解するようにしている(肯定:86.1%)「部下の志向を理解するようにしている」(肯定:80.7%)の上位結果となりました。

 キャリア意識が高い上司か低い上司かの違いが部下に対する支援行動の差に表れ「部下の強み弱みを理解する・・」ではキャリア意識高群(95.7%)に対してキャリア意識低群(68.4%)と明らかな違いがあります。「部下の今後のキャリアについて話し合う機会を持つようにしている」では、87.2%(意識高群)、47.4%(意識低群)となり、コミュニケーションの違いが明らかです。

 

 

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2018年

4月

18日

介護助手事業について

 今月9日、経済産業省から「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会」の報告書が公表されました。高齢者介護に関しての所管は厚生労働省ですが、経産省では日本の生産年齢人口の減少に伴い各産業では深刻な労働力不足を招く可能性があることを危惧しています。この流れは、高齢化に伴い需要増加が見込めれる介護サービス分野において顕著で介護サービス不足が、家族介護を理由とした離職を招き、各産業における労働力不足に拍車をかけるとしています。

 

 具体的な検討の方向性としては、社会参加を中心とした介護予防の促進を一つの柱として、介護サービスにおける高齢者を中心とした就労促進(人材確保)の方策を検討するとしています。高齢者が参加したいと思うような社会参加の場、サービスの開発を民間事業者などの民間活力を活用したコンテンツ、新事業の創出などが提案されています。地域の社会参画の場やサービスの一元的情報提供ツールの構築など、議論は始まったばかりで今後の対応に期待するところです。

 

 

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2018年

4月

14日

春闘から見る中小企業の雇用対策

 連合は4月6日、2018年春闘の第3回回答集計結果を公表しました。従業員300人未満の中小企業が300人以上の企業を賃上げ率で上回る結果となりました。単純な比較はできませんが、ベースアップなどの賃上げ率の明確な1643組合で、300人以上が額1681円(率0.54%)、300人未満では額1570円(率0.62%)となり、中小企業が働き手不足の現状から、賃金水準にこだわって交渉を進めている結果とみています。「働き方の見直し」でも、長時間労働の是正うあ均等待遇に向けた取り組みなどで前進回答がみられています。

 

 非正規労働者の時給引き上げ状況では、単純平均賃上げ額で25.67円となり、平均時給は単純平均で989.90円となっています。今回の集計では、すべての労働者の立場にたった「働き方」の見直しに関する取り組みについても、要求と回答、妥結状況をまとめています。長時間労働の是正の関する取り組みでは、「36協定の点検や見直し」について、1388件の要求があり、618件が回答、妥結しています。「時間外・休日割増引き上げの取り組み」640件の要求、81件の回答、妥結を得ています。「無期転換の促進、ルールの周知徹底、雇い止め防止」1210件の要求、674件の回答・妥結など職場の均等待遇実現に向けた取り組みでも一定の前進が図られています。

 

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2018年

4月

04日

働き手不足時代の雇用の変化

画像;自転車置き場

 この度、労働政策研究・研修機構(JILPT)

では多様な就業実態に関する政府統計である「就業形態の多様化に関する総合的実態調査」(平成15年~平成26年の過去4回)の個票データーの再分析から将来的な影響などを検証する報告が発表されました。様々な「雇用の多様化」に進展がみられる中、契約社員、派遣労働者、パートの非正規形態が3つとも活用されている事業所はごくわずかで、パートのみ活用されているの事業所が全体の半数程度、以外は一つまたは二形態を活用している事業所はわずかという結果が見えました。

 

 企業の従業員全体に占める3つ非正規形態で、将来の雇用影響について興味ある予測をされています。「契約社員」は教育・学習支援業、社保・福祉・介護などの業種で活用されることが多いようですが、臨時・季節的業務量の変化や雇用量調整、賃金の節約などの理由が多いようです。良質な人材確保、仕事の責任感維持がプラス傾向として動くようです。「派遣社員」情報通信業や金融・保険業に活用が多く、長い営業時間・景気に応じた対応のためや正社員の重要業務の特化などが挙げられます。良質な人材の確保が見込まれているようです。「パート」宿泊・飲食サービス、小売業などのサービス業に多く、営業時間や景気に応じた雇用量の調整として活用されることが多いようです。マイナス面の課題として、正社員との人間関係や職務分担が挙げられます。

 

 

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2018年

3月

27日

宿泊業の人手不足対策について

 宿泊業は若者の力が不可欠な業界ですが、宿泊・飲食サービス業の新卒者の3年以内離職率が

全産業の中で最も高く、50.2%と全産業平均32.2%を大きく上回っています。(平成28年雇用動向調査:厚労省)離職率の高い課題としては、休日日数が少なく連続した休みがとれないことや宿泊業特有な夜勤や早朝シフトなど長時間労働をせざるを得ない過酷な勤務体制にあるようです。仕事だけではなく生活も重視しできる働き方を希望する若者が増える中、彼らの要望に応えることが宿泊業に課せられた課題ではないでしょうか。

 

 とは言っても具体的な経営課題として、施設の老朽化や宿泊単価の低下、資金不足など設備投資の必要性を意識しながら対応が困難とする事業者が多いとする調査結果もあります。震災以後、年間宿泊者数を年々増加傾向にありますが、業界労働者数はほぼ横ばいにあり仕事の増加に人手が追いつかない現状のようです。しかし、宿泊者が予約の際重視することは「宿泊料金」「食事内容」「部屋の内容」などの全体的なバランスがとれていること、コストパフォーマンスの高い施設が望まれます。顧客の高い品質サービス提供の期待に応える企業の対策は従業員一人ひとりの就業意欲、サービスマインド、スキルを恒常的に高めることだと思います。

 

 

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2018年

3月

20日

仕事の課題解決力を磨く

 仕事で発生する多くの問題で、そのままに放置すれば現在、将来に大きな影響を及ぼす可能性がある問題、解消すべき問題を課題といいます。問題とは経営理念や企業の目標などから、組織の「あるべき姿」と「実際の姿(現状)」のギャップのことです。日常業務でのあるべき姿は、「決められた方法で正しく仕事を行うこと」です。決められた手順で決められた成果に達しているか検証し、改善を行う。事実を正確につかむことが課題解決力を磨く第一歩です

 

 現代のAI技術等の急激な進展などの環境変化は、既存の解決策では通用しないことも多くあり、現状の仕事を良しとせず将来発生するであろう問題も視野にいれ、課題を見つけていく必要があります。時系列で考えれば「今起きている問題」と「あるべき仕事のギャップによる近未来の問題」「将来の企業存続に影響ある問題」の3つが考えられると思います。

 階層役割別に課題解決への取り組みが違うと思われがちですが、社員数の少ない会社では、問題を共有し「構造化」して、組織として解決する方が課題の本質も見えスピード感をもって取り組むことができます。

 

 

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2018年

3月

15日

企業の成長はシニアに活躍なしに考えられない?

画像:スーパーで働くシニア世代

 急速に進む少子高齢化ですが、福島県では既に65歳以上の高齢化比率が30%を超え、労働力人口の減少が明らかになってきました。全国的にも現在の傾向が進むのであれば、今から42年後の2060年の総労働人口は現在の4割も減る予測がされています。そんな状況下で、近年注目されているのが「シニアの労働力」です。平成25年4月施行されています「高年齢者雇用安定法」により、企業に課せられた65歳までの雇用に関する努力義務によって60歳~64歳の男性72.8%が就業しています。今後は65歳以上の高齢者雇用も増え、またシニア労働者の積極的に活用することが企業の成長に結びつくものと思います。

 

 労働力不足がさらに深刻化する中、ミドル・シニア層(40~54歳、55~69歳)には企業組織を支える中核的な役割を期待する傾向が強まっています。石山恒貴・パーソナル総合研究所(2017)「ミドル・シニアの躍進実態調査」によれば、仕事上の役割・責任の達成度、成果やパフォーマーとしての役割に関する5設問について、すべてイエスと答えた「躍進層」が21.2%(回答2300)の回答を得たそうです。年齢層では、55歳後半以上60歳代では、躍進層が全体平均を超える結果となり、部長など上位役職者にその傾向が強いようです。シニアには「過去の経験を通じて得た教訓により、自己のノウハウとして築き、違った局面でも適応できる行動特性」をもっています。

 

 

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2018年

3月

07日

働き方改革は仕事時間の使い方から

画像;パソコンに向かうメタボタイプの男性会社員

 働き方改革には、主婦や高齢者、短時間労働者など根本的な働き方の多様性が必要だといわれます。中小零細の企業では、人材の不足や中途採用の困難さから正社員の長時間労働の問題が浮き彫りになってきています。働き方改革の目指す方向は、労働の時間から「ジョブ型(職務)」への雇用転換を図り、あなたはこれとこれをやってくださいという仕事の単位「タスク(課業)」を分担管理することです。

 

 工場などでは「職務記述」による課業管理は比較的取り入れやすいですが、例えばホワイトカラーである営業職で詳細な職務記述で管理しようとすれば「それ以外はやらない」仕事の進め方になりかねません。役割による「権限と責任」からも包括的、抽象的な概念としての職務の記述は必要になりますが、その職務範囲は厳格に特定せずに、バランスに気をつけながら弾力的に自己決定ができる制度にする必要があると思います。欧米のように「ジョブ型」の雇用管理になれていない日本人にはわかりにくい働き方ですが、仕事時間の使い方の意識改革から始めるのが良いかもしれません。

 

 

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2018年

3月

02日

若手社員と創るイノベーション

画像;ワークショップの風景

 平昌オリンピックの日本選手の活躍は素晴らしく、私もそうですが、多くの日本人が感動したことと思います。今の若者の新しい時代を見据えた価値観は、私たち大人といわれる世代にも学ぶべきことが、多くあると思っています。様々な情報があふれる時代ですが、彼らの考え方はどんどん本質的になっている印象があります。「この仕事は何のために?」にという問いに適切に応えられないと動けないことも・・理解すれば、良い動きをしますし、学びを重ねていきます。過去4年間、社会福祉法人での研修講師を務めた経験を書きたいと思います。

 

 当然ですが、社会における経験が不足している若手社員は仕事に対する自信はありませんが、「社会のために役立ちたい」「自分の能力・個性を生かしたい」「技術を覚えたい」という意識は年々高まっています。(日本生産性本部調査)私の研修は、現状課題の要因の分析から解決まで対策をグループで協力しあって作り、発表します。ファシリテーターによる全員合意によるブレストルールによる会議です。経験がないとできない会議の進め方ですので、事前の導入研修で、ドラッカーのマネジメント思考と演習、職務行動評価のビデオ演習を行います。この事前研修で、企業のミッション、ビジョンと自分たちの役割行動の方向性が腑に落ちるようです。

 

 

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2018年

2月

23日

2019年、新卒者採用傾向

 2018年3月卒業予定の求人倍率は、大卒者で推計で1,78倍、高卒で2,08倍となり人手不足が新卒採用にも現れてきました。この傾向は、当分続くようで就職情報サイトのディスコによると「人数の確保より学生の質を確保する」と答えた企業は74.4%と就職氷河期(2010~2011)に90%超えていた同質問に対して20ポイント下落、初めて7割台になりました。売り手市場が続き採用人数が確保できない企業が事業(人材)計画に差しさわりが出始めていると分析しています。

 

 

 新卒者採用に関して今年より「増やす」と答えた企業が30.8%、「減少」8.5%を大きく上回っています。この傾向は、リーマンショック後の8年連続で、2019年卒の採用活動の予定時期については、面接開始のピークは「3月下旬~4月中旬」、内定出しは「6月上旬」に開始が最も多かったようです。学生優位の「売り手市場」が続いていますが、リクルートホールディングス調べのデーターでは、大手企業と中小企業では求人倍率での差があり、2018年の大手企業では、前年より「買い手市場」化が進み、むしろ狭き門となっています。

 

 

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2018年

2月

18日

65歳以降の就業促進と企業対応

画像;駅の改札

 先日、政府が新たな高齢社会対策大綱として、65歳以降も長く働き続けてもらい経済の支え手として活躍できるエイジレス社会を目指すことを宣言しました。公的年金の受給開始年齢の選択制や高齢者の起業支援などが盛り込まれるようですが、当事務所にも65歳以降の継続雇用や中途採用の質問・相談など、近年の「働き手不足」から一つの対策として検討を始める企業様が増えています。ハローワークの求人申し込みでは、特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)対象として65歳以上の中途採用を積極的の推進していますし、来年度の助成金制度でも、継続されるのことで話し合われているようです。

 

 総務省の労働力調査では、65歳以上で働く人の7割以上が非正規社員で自分の都合の良い時間に働くことを希望する社員が多いようです。労働政策・研修機構の2015年「60代の雇用・生活調査」では、65歳以降の継続雇用で労働条件や健康面などで何らかの基準を設けている企業が5割を超えているとの調査結果が報告されています。65歳以降に雇用される社会を形成するためには、継続雇用あるいは中途採用による労働市場は、企業の雇用管理の在りようによって決定されるもの面が大きく、企業が必要とする知識や能力など将来に向けた議論が活発化すると思われます。

 

 

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2018年

2月

13日

今年の中途採用は・・より困難に!?

 このほど、リクルートワークス研究所では、正規社員の2017年度上半期の中途採用実績、2018年度の中途採用の見通しに関する調査結果を公開しました。2018年度の中途採用は大企業を中心に増加の見通しで、2017年度上半期は、人員を「確保できなかった」企業が「確保できた」企業を上回り、業種により人員の確保が難しい企業の割合が高くなっている現実が明らかになりました。「確保できた」から「確保できなかった」を引いた「中途採用確保D.I.」は、建設業(-31,6%)、飲食サービス業(ー29,2%)、運輸業(-27,7%)などが低い水準にあります。

 

 中途採用における人員確保の経年比較を見てみますと、2013年上半期調査開始から、2017年上半期の「中途採用確保D.I.」では、調査開始以来、初めてマイナスポイントとなり、あらゆる業種で正規社員の中途採用が困難な状況が明らかになりました。中途採用において、人材が確保できなかった企業に対して、影響を調査した結果、全体として「事業に深刻な影響がでている」(5,9%)、「事業に影響が出ているが対処できている」(32,9%)、「現在影響がないが、継続すれば影響がでてくる」(50,6%)と、人材不足に関する企業の影響は避けられない現実で、AIなどの代替が難しい労働集約型の業種では深刻なようです。

 

 

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2018年

2月

06日

福沢諭吉の考えるビジネスとは・・

 「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」のフレーズで始まる「学問のすすめ」は、あまりにも有名で多くの人が知っていると思います。天が人を生み出すにあたって、人は同じ権利を持ち、生まれによる身分の上下はない・・・と言われていますが、現実は貧しい者も富める者もいて、雲泥の差ほどの違いがあるのは「学ぶものと学ばぬものの差」であるというのが、福沢のいう「学問のすすめ」です。始まりのフレーズの印象から、政治や哲学の本かと思いきや内容は日々の仕事に使えるビジネス書といっても過言でないかと思います。具体的に学ぶ学問は「実際に生かせる学問」つまり実学を奨めています。

 

 「読書で学んだことは実際に行動に移してこそ価値がある」課題を解決するために学び、行動することの大事さを訴えています。また現場での問題の観察や当事者へのインタビューなどの「観察をすること」や、物事の道理を推し量って「推理すること」、人に自分の考えを伝え知見を交換する「他人との議論」の重要性も唱えています。幕末から明治へと欧米列強と対峙しながらも、様式建築や鉄道、産業の振興など多くの文明を開花させた当時の政府に敬意を払いながらも、学問をやるものの使命を実際の事業として実行することを勧めています。

 

 

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2018年

1月

29日

ストップ!・・残業ありきの働き方。

画像:駅のタクシー乗り場

 今国会でも注目の働き方改革の残業時間の規制法案です。通常期は従来の月45時間として、繁忙期は月平均60時間を超えないことを前提の月100時間を上限とする内容です。野放し状態の、特別条項付き36協定から考えれば改善とする意見もありますが、繁忙期の100時間は過労死ラインと言えます。月45時間、年間360時間の残業時間についても考えてみれば、家族にすれば平日はほとんど一緒に食事がとれない状態で、会社も働く人も当たり前のように受け入れています。欧米では考えられない日本人に働き方・・本当にこれでよいのでしょうか?

 

 最近、注目されているのが社員7人の町工場「吉原精工」の吉原会長が書かれた「町工場の全社員が残業ゼロで年収600万円以上もらえる理由」(ポプラ社)です。1980年創業、順調な経営から繁忙期は月80時間の残業が当たり前の今なら「ブラック企業」から、3度の倒産危機を乗り越えて実行した働き方改革の実話です。倒産危機のたびに苦渋の選択でリストラを進めながら融資を受けてきたのですが、2008年のリーマンショックはさすがにリストラをせずに社長含め全員が月30万円で乗り切ろうとしたそうです。お金がないのなら時間をくださいとの社員の声に残業ゼロの働き方改革を推し進めたそうです。

 

 

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2018年

1月

22日

中小企業の人材育成と未来像

画像;足場解体をする建設作業員たち

 中小企業基本法では、資本金および常時使用している従業員数によって中小企業の定義していますが、一般的には従業員300人以下の企業を言うようです。その中小企業の大半を占めるのが従業員数20名未満の「スモール・ビジネス」と呼ばれる企業群です。日本の就業者数の中で相当な比重をしめる企業群ですが、能力開発やキャリア形成の実態や働き方に着目した調査・研究、大企業との比較・課題を明らかにしたものが少ないのが現状です。昨年、JILPTにおいてアンケート調査の結果より課題と可能性についての報告がされています。

 

 スモール・ビジネス20人未満の企業数の推移は1999年から15年間で102万社が減少し、そのほとんどが10人未満の企業(97%)というのが実態です。同様に有業者指数の推移では、全就業者数は2012年以前20年間で2%の減少ですが、従業員10人未満では30%の減少です。スモールビジネスの大半を占める従業員10人未満の企業セクターでは50歳以上の有業者の比率が6割に達し、20年前の日本の産業社会における経営者・従業員のモチベーションの高さから「活力ある多数派」と呼ばれた過去から大きく変わったようです。それは、スモール・ビジネスの人材育成・能力開発の取り組みにも現れています。

 

 

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2018年

1月

19日

有能な人材は会社が育てる。

画像;スマートフォンに上にビジネスマンの人形

 つい最近、グーグルの元人材開発担当者で、現在は人材育成のコンサルティングで活躍されている方の記事を見ました。彼に言わせると出身大学は仕事のパフォーマンスとは関係がなく、有能な人材を生かすも殺すも会社や上司の考え方次第と指摘しています。日本の企業が長年理想としてきた「コミュニケーション能力」「リーダーシップ」「協調性」は、多くの日本企業の特性として、目が届かないと部下が何をするかわからない「性悪説」が根本にあるのではないかと考えているようです。

 

 グーグルは自由を重視して、社員が好きなことを情熱をもってやってもらい、それで結果が出ればよいという、真逆の「性善説」に基づいて社員それぞれの得意分野での活躍の場を提供しているそうです。日本の学校教育では、同じカリキュラムを学び、就職活動(職につく)ではなく、就社活動(会社に入る)を通じて、入社後に自分の仕事が決まるのが一般的ですのです。欧米では「モンテッソーリ教育」といい子供時代から自主性や知的好奇心を伸ばす教育方法があり、そのせいか早くから自分の得意分野を探すのが当たり前のようです。

 

 

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2018年

1月

15日

働き手の確保に向けて採用方法を考える

 人手を確保するために中小企業は求人に関する取り組みについて、厳しさを口にする経営者の方が増えている気がします。新卒者採用のみならず中途採用難に状況は、年々厳しさを増し昨年の有効求人倍率はバブル期を超える水準で推移しています。また、最近の求職者は、業界、業種、職種といったことよりも労働条件などを重視する傾向が強くなっています。今は、働き方のイメージや将来の人生設計などのイメージ、福利厚生や有給休暇が取りやすいかなど務めた後、自分の生き方に合う会社なのかを考える人が増えているようです。

 

 今、多くの企業ではハローワークの求人募集や求人広告への募集など求職者からのアプローチを待ち、連絡があって面接、採用へとつなぐる活動が一般的だと思います。採用側の企業より応募者側が少ない現状では、採用側の論理よりも需給関係の変化で求職者側が考える働き方のイメージにあった企業としなければ、働き手の確保はますます難しくなってくるのではないでしょうか。しかし、考え方を変えれば中小企業でも自社の魅力をしっかりと打ち出して、そこで働くイメージや将来像などが想像させることができれば厳しい採用環境の中でも十分戦えると思います。

 

 

 

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2018年

1月

08日

企業の多様な採用に関しての現状について

画像;会議風景

 労働政策研究・研修機構では昨年末に全国の民営法人を対象に、2018年春の新規大卒採用を
考えている企業4366社からの回答を得て、多様な採用に関する実態調査を実施、速報を発表しました。企業合計を見ると,「新規学卒採用に重点を置いている」割合は約 33.2%、「中途採用に重点を置いている」割合は約 27.4%、両者に「ほぼ同じ程度に重点を置いている」割合は約 32.0%でした。 従業員数で見た企業規模の大きな企業ほど新規学卒採用に、規模の小さな企業ほど中途採用に重点を置く傾向があることがわかりました。
 

 100人未満の企業では、38.4%が中途採用に重点を置いており、新規学卒採用に重点をおいている企業(22.0%)を大きく上回っています。(事業規模比率:回答企業4366社/1566社:35.8%)企業の地域展開の状況別にみると1事業所1企業(32.2%)が最も多く、続いて1つの地域ブロックにのみ展開している企業(29.9%)と続いています。全国的に展開している企業でも地域限定正社員や職務限定正社員の導入が要因と思われる中途採用に重点が置かれつつあるようです。(27.7%)今後は、地方の中小企業でも優秀な人材獲得を巡って、大手企業との採用合戦が激化すると思われます。

 

 

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2018年

1月

05日

2018年明けましておめでとうございます。

画像;初詣

 明けましておめでとうございます。

 

 昨日の東京株式市場の大発会は、550円以上の値上がりで幸先の良いスタートがきれたようです。このまま今年の景気も右肩上がりに推移してくれることを願っています。私も昨日が仕事始めでした。今日の面談の資料準備や行政への届け出書類の作成・整理など事務所での仕事がメーンでしたが、天候不順の折、年明け早々仕事があることに感謝です。

 

 今年の抱負は、福島県の企業様の発展、そして働く従業員の皆さんの賃金を含めた労働環境の向上に貢献することです。社会保険労務士としての専門性とコンサルタントとしての課題解決の能力をより一層の磨きながら、汗を流して、企業の経営者様と従業員の皆さんと共に考え提案していきたいと決意しています。

 

 今年もよろしくお願いいたします。

 

 

2017年

12月

29日

2017年を振り返って

画像;雪だるま

 今年は、数年前では考えられないくらいに「働き手不足対策」としてのコンサルタントの依頼が多い年でした。人口の構造変化による働き手不足は予測できるところでしたが、意外に対策を打てなかった企業が多く、現在の仕事をこなしながら将来に向けた人事制度の構築や働き方を変える取り組みを行ってきました。ひとつずつ出来ることから進んでいけば、何とかなる事を実感できた年でした。

 

 社会福祉法人での管理職研修の一コマに初めて「職務分析」を取り入れてみました。厚生労働省ではキャリアパスの導入を推進していますが、現場では課業分担ができずに、仕事のできる職員の業務負担が増し離職者が止まらないのが現実です。介護施設の「食事介助」保育園の「食事保育」を課業の洗い出しから要件定義、難易度の設定を行い高齢者、主婦パートができる仕事をまとめてもらいました。キャリアパスのテクニカル・スキルは仕事基準で現場の職員とコンサルタントがつくるのが一番です。役割分担ができれば業務負担が減ることを多くの人が理解できたようです。この研修はやってよかったです。

 

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2017年

12月

21日

来年の景気は「人手不足」が最大の懸念材料

画像;正月の縁起物

 12月8日に発表された7-9月期のGDP成長率2次速報では前期比(4-6月)に比べ0.6%増、年率換算でも2.5%増と7四半期連続のプラス成長になっています。2018年の景気見通しに関する企業の見解について、帝国データバンクは14日、「2018年の景気見通しに対する企業の意識調査」結果を発表しました。2017年の景気動向、「回復」局面だったと判断する企業は 21.2%となり、前回調査(2016 年 11 月)から 15.5 ポイント増加し、 4 年ぶりに2割台に回復しましたが、地方においては景気回復の実感がないとの声もあがっています。地域、業種で景気回復の濃淡がみられるものの、2017年は景気動向が上向き傾向が強まった年となったようです。

 

 2018年の景気について「回復」局面を見込む企業(20.3%)が、2017年見通しを聞いた前回調査(11.0%)より10ポイント近く増加しています。回復を見込む企業からは「東京五輪のインバウンド効果」を期待する声が多く、半導体やスマホ、自動運転関連など好調な業界からの積極的な設備投資に期待する声や適切な財政政策に実施の要望が多いようです。他方「悪化」をとする企業からは、イギリスのEU離脱や日銀総裁任期満了など景気を左右するマイナス材料や人手不足が深刻化して注文に応えられないという声も上がっています。ネット通販の台頭によりリアル店舗業界の厳しさが増す、地方から関東圏に集中するだけなどの地方企業の意見もありました。

 

 

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2017年

12月

18日

イノベーションを生む人材育成と組織

 日本の経済社会の現状は、少子高齢や労働者の不足などの人口問題という構造的課題に加え、イノベーション欠如による生産性向上の低迷、革新技術への投資不足の問題を抱えています。よく経済の指標として、OECD(経済開発協力機構)の統計が使われますが、OECD諸国の中でも日本の労働生産性は低いほうにあり、起業家の開業率の低さも指摘されるところです。政府もフリーランス(個人起業家)の開業などの力を入れているところですが、企業にとってもイノベーション人材の育成は急務と考えます。

 

 イノベーションというと「今までにない斬新な商品や使いたくなるサービス」など新しい価値を創造することと解釈されがちです。一般的に「技術革新」と理解されるようですが、ドラッカーはそれだけではなく、人的・物的、社会的資源に対して、新しいより多くの富を生み出す能力を与える仕事と定義しました。短期的な事業の成果をもたらすマーケティング(市場開発)と長期的な成果を生み出すイノベーション(革新)の人材の育成と推進組織の構築の両輪を操ることがマネジメントであり企業の目的(機能)ではないでしょうか。

 

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2017年

12月

12日

「働き方改革」実感していない!

画像:駅の改札、ビジネスマン。

 日本能率協会は4日、職場や仕事に対する考えについての意識調査「第8回『ビジネスパーソン1000人調査』(働き方改革編)」結果を発表しました。この調査は、働く人たちに焦点をあて、その時々に旬の話題をデーターとして紹介しています。今回は、政府の最重要課題の一つと位置付ける「働き方改革」について取り上げていますが、有給休暇の取得や残業減が改革のイメージとして多い中、実感していない人が8割を超える結果となりました。

 

 働き方改革を実感していない理由は、上位から「有給休暇が取りにくい」「給料格差がなくならない」「残業が減らない」などの理由を挙げています。今後、改革に向けて職場に臨むことは、男女とも「有給休暇」がトップになりました。2位以下は、男性が「長時間労働の是正」「管理者の意識改革」、女性は「非正規社員から正社員への登用」「週休3日制」となっています。2位以下で男女で差が見られますが、働き方改革のイメージでも3位以下で差がありますので、このような傾向がみられたものと思われます。

 

 

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2017年

12月

08日

地方企業の労働生産性向上に向けた取り組み

画像;地方都市の交差点風景

 人手不足感が強まり、長時間労働是正が求められるもとで、日本の経済の成長率を維持・強化するためには、女性・高齢者の活躍推進などの労働力強化、労働生産性の向上が重要視されています。そんな中、日本銀行は1日、企業ヒアリング等を通じた各地域の経済金融情勢に関する調査結果を取りまとめている「地域経済報告」(さくらレポート)の別冊として、「非製造業を中心とした労働生産性向上に向けた取り組み」を公表しました。

 

 

 労働生産性向上に向けた企業の取り組みは、全体として積極化しているようで、その動機は以下の2点に整理できるようです。

1、人手不足感の強まりと、そのもとで賃金上昇圧力を、労働生産性向上

  で吸収しようとする動き。

2、各種の環境変化に直面する中で、長中期的・戦略的な視点で労働生産

  性、ひいては収益力向上に取り組もうとする動き。

 具体的には以前にもこのブログで書きましたが、労働投入量(分母)の節約と付加価値額(分子)の増大になります。

 

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2017年

12月

05日

新社会人になる君たちへ

画像;桜咲く学校の校舎

 明日は来春、新社会人になる高校生に働くことの心構えや労働保険や社会保険の仕組みなどの話を90分セミナーですることになっています。いま、パワーポイントのスライドとテキストとして使う冊子での内容の確認をしているところです。これから働き始める高校生には、まだ理解するのが難しい内容であったり、興味を持ちにくい点も多く基本的なことをポイントを絞って話そうかと思いスライドも数枚加えました。

 

 このセミナーは福島県の社会保険労務士会主催で毎年行っている新社会人となる高校生支援のセミナーです。学校卒業後、3年以内に就職した会社を辞めてしまう若者が、その後ニートと呼ばれる未就労者になることが多く、安心して働くことができるためにルールや制度の理解促進のために行っています。事前に学校の担当教諭との打ち合わせもすましてますが、メンタル・マネジメントの話を少しいれることで了解を頂いています。

 

 

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2017年

12月

01日

中途採用・面接のコツ

 外資系人材紹介会社のヘイズ・ジャパンは10月27日、世界33か国の労働市場における人材の需要効率を評価・分析した調査研究を発表しました。発表によれば、日本の人材ミスマッチはワースト2位、特にIT分野では、業務以外で求められるスキルの自主的学習が他国と比べて低くAIなどのグローバルで成長が見込める分野の人材が決定的に不足しているそうです。また、2017年10月の人手不足に対する企業の動向調査(帝国データーバンク)の結果発表でも、正社員不足が過去最高49.1%になり、情報サービスでは、7割超の企業で正社員が不足しているようです。

 

 中長期的には、社内施策として将来必要となるスキルを見据えた教育や研修、成果重視の人事評価の制度、同一労働同一賃金による人材配置の適正化などのジョブ型の人事の仕組みが必要になると思われます。帝国データーバンクに調査では、企業規模が大きいほど従業員の不足感を感じているようですが、今後、中小企業においても正社員、非正社員とも不足感が増してくることが考えられます。新卒者採用について、年々、厳しさを増す現実で、中途採用者の募集が増えくることが予測されますが、せっかく来てくれた優秀な応募者を面接で逃すようなことはしたくないものです。

 

 

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2017年

11月

28日

働き方改革の課題は仕事のブラックボックス

画像;携帯電話で話すビジネスマン

 労働力人口の継続的現象は、将来における人材不足の中で、いかに生産性を高めるかが企業の課題になっています。労働力不足への対応策として、女性や高齢者の就業を促進するために、プチ勤務などの短時間労働やテレワークなどの在宅勤務など多様な働き方を採用する企業も増えてきています。しかし、長時間労働や残業を組み入れた正社員に対する労働慣習からなかなか抜け出せない現実もあり、個々の仕事が組織として管理されない状況、「仕事の属人化」、「仕事のブラックボックス」からの脱却が課題となっています。

 

 上司や担当者個人の主観や経験で、仕事が決められ、判断されているために、誰が何をそのようにやっているのか、どこまでやれば良いのかが管理されていないため、必要以上に過剰な仕事や無駄な仕事が行われています。日本では従来から生産性改善といえば、時間短縮やコストダウンなどを中心とした取り組みが多いですが、労働生産性の統計からみれば、価値のある仕事と価値のない仕事あるいは低い仕事を選別し、限られたリソースを選択・集中するスタイルの変更が求められています。日本人は労働の4割を価値のないことに費やしている言われています。

 

 

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2017年

11月

24日

副業・兼業に関する就業規則等の企業対応について

画像;横断歩道と出社風景

 厚生労働省は20日に開催された「第4回柔軟な働き方に関する検討会」資料をHPで公表しました。副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子(案)のほか、モデル就業規則の改定(副業・兼業部分)の方向性等が示されています。副業・兼業を希望する人は年々増加傾向にありますが、7割以上の企業で副業・兼業を禁止しているのが実態です。副業・兼業の明確な定義はありませんが、労働者自身の主たる職務以外に、フリーランス、アルバイトなどの従属的な仕事につくことを指すようです。副業・兼業を行う理由としてやりたい仕事であることやスキルアップ、資格の活用など様々です。

 

 企業が、副業・兼業を認めない理由として、社員の長時間労働・過重労働の助長が最も多く、次に情報漏洩リスク、労働時間の把握・管理の困難であることを挙げています。今回の検討会における副業・兼業の議論は社会全体のオープンイノベーションや起業の手段としての有効性の観点から

推進の方向へ進むものと考えられます。今後、増加すると予想される副業・兼業は会社員が終業後にコンビニでアルバイトをするなどの「雇用型」ではなく、「委託型」のフリーランス的な副業を持つ会社員が増えるということが考えられます。

 

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2017年

11月

21日

事業承継と後継者の育成

画像;工場に向かう社員

 帝国データバンクは11月15日、「事業承継に関する企業の意識調査(2017年)」を発表しました。事業承継への考え方について、「経営上の問題のひとつと認識している」57.5%、「最優先の経営上の問題と認識している」13.6%と合わせ、71.1%の企業が事業承継を経営上の問題として認識しているようです。事業承継を円滑に行うために必要なことでは、「現代表(社長)と後継候補者との意識の共有」が60.4%で最高になりました。具体的な企業の意見として、自社の強み・弱み・課題などの適正な理解や将来像などの議論を通して、それぞれの立場での行動と着実に承継を進めることが重要としています。

 

 調査では企業の4割超が事業承継の計画があるものの、具体的に進めている企業は22.9%になりました。中小企業庁では、7月に今後5年程度を事業承継支援の集中実施期間とする「事業継承5ヶ年計画」を策定しました。昨年12月には、中小企業・小規模事業者の円滑な事業承継を実現するための指針である「事業承継ガイドライン」を10年ぶりに改訂しています。事業継承に関しては、自社株式の集中化などの経営権の分散防止対策や税金負担対策などの課題も多くありますが、ここでは後継者に対する教育や育成にスポットをあてたいと思います。

 

 

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2017年

11月

15日

自ら進める働き方改革

 「働き方改革」の名のもとに長時間労働の是正、ワーススタイル変革、テレワーク、イクメン・イクボス、女性の活躍の推進など政府は次々と施策を打ち出してきていますが、企業では何から着手すべきか悩ましいのが現実かと思います。長時間労働の是正など労働時間の短縮が最優先課題のように叫ばれていますが、この改革の最重要課題は生産性向上にあります。労働時間に捉われる働き方から職務基準へ・・今までの日本の労働観を根本的に変える変革になることでもあり、しばらくは混乱が続くかもしれません。

 

 人手不足の現状で、今の仕事で手一杯で自己改革まで考えられないと先延ばししていると、今の仕事もなくなるのではと不安がよぎることはありませんか?それでなくても日本人は、与えられた仕事を所定の労働時間ギリギリまできっちり使って丁寧に行う傾向があります。勤勉さゆえか何度も時間の許す限り確認を怠らないような仕事の進め方が、好感度が高く組織内で共感・共有されると長時間労働を容認する残業体質の企業風土が醸成されることになります。このような場合、業務を最短で仕上げる目標を持ち、個人の仕事の効率化を図り業務の改善を図る必要があります。

 

 

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2017年

11月

10日

職場ストレスと健康経営について

  連合総研は10月31日、第34回「勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート(勤労者短観)」調査結果を発表しました。それによると1年前と比べて賃金に改善の動きが見られるほか、業務の繁忙によるストレスが増えた人は3割超(33.0%)と回答しています。9 月に所定外労働(残業および休日 出勤)を行ったとする割合は 33.8% であり、その平均所定外労働時間は 36.1 時間でした。特に男性正社員は、45.0%が所定外労働を行い、所定外労働時間の平均は42.3時間におよび約1年前(前回)調査よりやや減少したものの依然長時間労働が多くみられます。

 

 1年前と比べて職場での人間関係を原因とするストレスが増えたと回答した割合も3割を超え、業務多忙からくるストレスと比べてて、年齢による大きな違いが見えないとも特徴のようです。5割超の人がストレスによる心身の不調を感じたことがあると回答し、男性では40歳代、女性では20歳代での割合が高かったようです。政府の第12次労働災害防止計画ではメンタルヘルス対策が重点課題として推進していますが、今回の調査では「メンタルヘルスケアが十分行われている」との回答は5.2%にとどまり、「まったく行われていない」との回答が24.9%と残念な結果になっています。

 

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2017年

11月

03日

「介護離職ゼロ」と介護休業法

画像;介護離職ゼロの理解調査結果

 政府が掲げる「介護離職ゼロ」は、多くの国民にあまり浸透していないとする調査結果を、有料老人ホームなどを運営するオリックス・リビングが発表しました。「介護離職ゼロ」の意味を尋ねた質問では、本来の意味である「仕事と介護の両立が出来ず、介護のため離職する人をなくす政策」と回答した人が43.9%でした。「介護職員の離職を防いで、介護業界の人手不足を解消するための政策」21.8%、「わからない」34.9%と意味を理解していない人が半数を超えました。

 

 日本は本格的な高齢化社会を迎え、高齢者人口の増加は家族の介護問題の抱える労働者の仕事と介護の両立、職業生活上の大きな課題と言えます。育児・介護休業法では、同一対象家族について複数回の介護休業制度利用が可能ですが、現実には介護休業を取らずに有給休暇で対応することが多く、育児休業のように企業内や社会の理解も不足しているようです。オリックス・リビングの調査でも「聞いたことがあるが内容まではわからない」49.2%、「知らない」29.2%となんと8割近い人が制度の内容を知らなかったようです。

 

 

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2017年

10月

27日

イノベーションの促進と人材活用の課題

 先日、「平成29年版労働経済の分析」(「労働経済白書」)が公表されました。

 分析テーマは「イノベーションの促進とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた課題」で、少子高齢化により労働供給制約下にある日本で、経済成長を実現するためには労働生産性の向上とともに供給制約の解消を図ることが重要であるとの認識下で、イノベーションの進展への対応及びワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組などについて分析を行っています。

 

 少子高齢化による労働力の不足、経済成長の低下の現状から、日本では、イノベーションの進展と女性等(高年齢者)の働き方の多様化の対応を「車の両輪」として双方を取り組む必要性を訴えています。一つは、産業の高付加価値化、人材の活用・能力開発の強化、所謂「労働生産性の向上」です。もう一方は、AI等による業務の効率化、育児・介護等の制約を抱える雇用者に対する働き方の選択可能な就労環境の実現、所謂「ワーク・ライフ・バランスの実現です・

 

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2017年

10月

24日

経営課題、人材は質・量とも不足感

画像:ビル

 日本能率協会は18日、「第38回当面する企業経営課題に関する調査『日本企業の経営課題2017』調査」結果(速報)を発表しました。人材については、量的充足が36.2%、質的充足が20.2%と、質・量ともに不足感が強いことがわかりました。また、「働き方改革についての取組状況」については、「残業時間の削減」84.3%が最も多く、「休暇取得の促進」76.2%などと続いています。

 2017年現在の主要事業の事業形態、ビジネスモデルの今後の見通しについて、今後3年間においては「通用する見通し」(44.5%)が最も多く、今後5年間のスパンでは、「通用するか懸念がある」(53.4%)「大きく異なる形態に転換する必要がある」(19.3%)という結果でした。

 7割以上の企業で現在の主要事業、ビジネスモデルに関して5年の見通しがつかない状況になっています。業務の効率化や付加価値向上に向けてビッグデーターたAI・IoTなどのデジタル技術の取り組むに1割以上の企業が、また3割前後の企業が取り組み計画を持ってるようです。しかし、その中、社内人材の確保については、既に取り組みまたは予定は3割に満たない状況です。

 

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2017年

10月

18日

中小企業庁が公開した人手不足対応事例

 厚生労働省の発表によりますと、今年7月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント上昇の1.52倍でした。これは、バブル絶頂期であった1990年7月の有効求人倍率である1.46倍を超えており、企業における人手不足はどの業界においても深刻な状況となっています。労働の担い手の中心である生産年齢人口(15~64 歳の人口)は減少を続けています。生産人口の減少は人手不足に今後もさらに大きな影響を与えていきます。

 

 従業員にバイトが占める割合の高い飲食店やコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどでは、深刻な人手不足も問題となっています。アルバイト・パートの求人倍率は1.80倍(2017年6月)に上り、求人数が求職者数を上回る「売り手市場」となっています。長時間労働やバイト代の未払いなど「ブラック企業」とされる事例は少なくなっていますが、募集しても集まらない、入社してもすぐ辞めるなどでパートタイマー、アルバイトに対しても、勤務時間やシフトなどで過保護になってきている状況もあります。募集、採用が難しい中小企業の正社員の育成、定着の施策に悩まれる経営者の方も多いのではないでしょうか。

 

 

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2017年

10月

14日

職場の悩み相談

 日本産業カウンセラー協会は11日、連合と協力して9月8日から10日まで開設した第11回「働く人の電話相談室」の結果を発表した。集計総数は940件でした。相談内訳は、例年通り「職場の悩み」が全体の約38.9%で最多となっています。「職場の悩み」の内訳別にみると、「人間関係」31.7%、「労働条件・待遇」20.8%など、「労働条件・待遇」は昨年比約2.6倍に増えています。

 

 「労働条件・待遇」に関する相談は、働き方改革の社会的風潮からと思われますが、相談内容の上位にあった「パワハラ」をうわまっています。しかし、相談内容にはサービス残業や長時間労働の強要、グループからの仲間外れや強制的な退職勧奨などハラスメントに関する相談も多いようです。このような悩みの相談相手として、最も多いのが「公的機関」で、続いて「知人・友人」「家族」なっており、職場内の上司・同僚といった業務との関係性の高い相手には相談しにくいと推察されています。

 

 

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2017年

10月

10日

勤務間インターバル制度と就業規則

画像;夜の駅

 尊い命を犠牲に、日本の働き方に大きな一石を投じることとなった電通の違法残業事件で東京簡易裁判所において、先週、労基法違反の判決がでました。この事件から、労働者の長時間労働の是正に向けて大きな流れがあります。長時間労働の弊害として脳・心疾患・精神疾患など労働者の健康への影響や仕事と家庭生活の調和の欠如は良く知られるところですが、人手不足の影響もあって長時間労働の軽減、労働条件改善に苦慮する企業も多くあるようです。

 

 政府では今年3月、働き方実行計画案を発表し、自動車運転、建設事業等の現行制度下において労働時間基準の適用除外とされている業種については、長時間労働を是正するための環境整備を強力に推進するとしています。また、発注企業からの短納期要請、顧客からに取引の際の要求などの商慣習の見直し、適正化に向けた取り組むの推進を掲げていますが、勤務間インターバル制度の法制化というよりも、各企業の任意の取組みを促す方向性にあるようです。

 

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2017年

10月

01日

企業の生産性向上とイノベーション・雇用との関係

画像;露に光るシダ類の葉

 厚生労働省は9月29日、「イノベーションの促進とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた課題」と題する2017年(平成29年)版「労働経済の分析」(労働経済白書)を公表しました。少子高齢化による労働力供給制約の解消や労働生産性の向上に向け、IoT、AIなどのイノベーションの進展への対応や、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組などについて分析を行っています。イノベーションというワードは頻繁に使われるようになってきていますが、「革新」「一新」とい意味を持ち、これまでの常識が変わるほどの社会に大きな影響を及ぼす技術革新や新たな概念を指します。

「イノベーション」は、最近では、サービスやマーケティングなどの分野にも広がり、「新機軸のサービス」や「新たな価値観の提案」という意味でも使われるようになりました。日本の経済成長の現状は、先進主要国と比べてもGDP0%台と低い水準にとどまり、資本や労働などの要因以外の成長要因(イノベーションなど)の寄与度が低いことが指摘されています。企業においては研究開発の促進、先進的機械の導入などが成長要因と考えているようですが、現実は「能力ある従業員の不足」「目先の売上・利益の追求」「技術力・ノウハウの限界」などが阻害要因なっているようです。

 

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2017年

9月

24日

優秀な人材が辞めていく会社について

画像;仕事をてきぱきとこなす会社員

 直近のアンケート調査結果でも、業種を問わず半数以上の会社で正社員の人材不足が指摘されています。採用もさることながら、定年退職や家庭の事情、都合の事実によって社員が辞めてゆく場合は致しかたないにしても、そのようなやむを得ない事情ではなく会社に見切りをつけて辞めてしまうケースがあります。このようなケースが多いようであれば、会社にとって大変な問題であり、早急な解決策が必要です。優秀な人材(中核人材)が辞めていく特徴と対応策の一部についてご紹介したいと思います。

 

1、仕事上の権限と責任が明確に示さず、仕事上のチャンスを与えない

「優秀な人材」の特徴として、向上心が強く、仕事の目標が明確に持っている意欲ある社員が多いようです。経験や職位上の立場も大時ですが、業務の達成度合い、社員の能力を見極めて、失敗も織り込む済みでチャンスを与えることも必要です。

 

2、評価基準が曖昧で、経営者・上司の個人的裁量に委ねられている

経営理念等、会社の方針が浸透して使命・ビジョンを共有している会社であれば問題はないのですが、人事考課などの評価基準が曖昧であると、公平に評価されていないことに不平・不満を抱きます。評価の目的をはっきりさせ、個人の裁量にどうしても誤差がでるので、2次考課等で個人的な私見・評価を薄める対策が必要です。

 

 

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2017年

9月

19日

パワハラ対策と退職者の防止について

画像;悩む会社員

 厚生労働省は7月、職場のパワーハラスメント(以下、パワハラと言います)の予防・解決に向けた取組を推進するため、「パワーハラスメント対策導入マニュアル」(第2版)を作成、公表しました。 都道府県労働局に寄せられた企業と労働者の紛争に関する相談で、平成14年度のが約6,600件(全体の5.8%)であった「いじめ・嫌がらせ」の相談が10年後の平成24年度には、51,670件(全体の17%)となりました。「解雇」「労働条件の引き下げ」「退職勧奨」など、従来から多い相談内容を抜いて相談件数のトップとなりました。現在も増加傾向にあり職場環境の悪化、メンタル不全等、労働安全衛生上、放置できない状況にあります。

 

 パワハラが企業にもたらす影響は創造以上に大きく、パワハラを受けた人にとっては、人格を傷つけられ仕事をへの自信、意欲を失い、健康不良、休職退職につながります。同じ職場の人にとっても、パワハラを見聞きすることで、仕事の意欲を失い、職場全体の生産性にも悪影響を及ぼしかねません。ガイドラインでは24年度の従業員実態調査の結果の報告がされていますが、パワハラを受けた従業員の13.5%が会社を退職し、5.4%が会社を休み、パワハラを受けても、46.7%が誰かに相談することもなく「何もしなかった」と回答しています。

 

 

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2017年

9月

07日

プチ勤務

  最近、週1あるいは2日や1日1時間~3時間という短い時間の勤務体系で求人広告を出している企業が多いことにお気づきですか?なかでも飲食・サービス業界でこの傾向は顕著です。背景には、労働力人口の絶対的現象による人手不足が大きな要因です。この傾向は年を追うごとに悪化します。34歳以下の若年層の減少、65歳以上のシニア層の増加などがありますが、働きたいのに働かない理由として「自分が希望する時間や日数で働ける仕事がない」と考えている人が多いようです。(リクルートジョブス調査)

 

 

 このブログでも「パートで働く主婦・ママ」の話で総務省の調査を紹介させてもらいましたが、内閣府が高齢者に行った調査では「短時間なら働きたい」「仕事を通じて友達や仲間、生きがいを得たい」の回答が多かったようです。「社会と繋がりを得たい」と考えている主婦の方も多く、実際の面接でもそのような回答が多いようです。主婦層、シニア層とも「自分で希望する時間や日数」いわゆる「プチ勤務」を希望する人が増えていることと「人手不足」の企業の労働力確保が、この流れを作っています。そういう私も多くの企業様に提唱していますが・・問題も・・。

 

 

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